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第二章
第38話:目には目を歯には歯を2
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転移58日目:山本光司(ミーツ)視点
7人の王子王女と側近護衛に呪いのような魔術をかけるのに丸1日かかった。
無罪の者に、狂うような呪いや魔術をかける訳には行かないので、バカ天使の報告が正しいのか確認するのに、何日もかかると思っていた。
だが、バカ天使の報告通り、救いようのない下劣な王子と王女だった。
その場で殺したくなるような悪行を毎日のようにやっているので、たった1日で有罪判定を下す事ができた。
王族に罰を与えてから家に戻った。
俺はともかく、ネイに野営なんてさせられない。
もう2度と苦しい生活も寂しい思いもさせないと誓っている。
「おは、よう」
スリープから目覚めたネイがうれしそうに言う。
同じ部屋に寝ているとはいえ、普段はネイを先に寝させて、俺は狩り集めた魔獣や猛獣、香辛料や香料、材木や木材の整理をしていた。
ネイが起きている時は、好き勝手にできないので良い人を演じた。
ネイが起きている間は、自分勝手にアニメやラノベを楽しめない。
幾ら俺でも、自分1人の世界に没入してネイを放りだす身勝手さはない。
とはいえ、俺の忍耐力など障子紙のように薄い。
どうしても耐えられない時は、ネイが寝てからこっそりとアニメやラノベに耽溺してストレスを解消していた。
「おはよう、歯を磨いて口をきれいにしよう」
この世界の庶民には歯磨きの習慣がなく、貴族階級が木片や革で歯を磨く程度だ。
貴族階級は社交が大切なので、口臭を予防するためにうがいが始まり、歯磨きが行われるようになったが、歯ブラシはまだ発明されていなかった。
だから俺とエマは、異世界間スーパーで買った歯ブラシと歯磨き粉を使っている。
アビゲイル達には、魔樹に魔獣の毛を植え付けた歯ブラシを使わせた。
俺が死んだ後も続けられるように、歯磨き粉の代わりに魔樹の葉を使っている。
口臭プンプンの状態で侍女をされても、臭過ぎて困るのだ。
前世の鍼灸柔道整復師時代は、患者さんの体臭や口臭も診断基準だった。
脂漏性皮膚炎に罹っていると、あぶらっぽい皮脂臭がする。
糖尿病 尿に罹っていると、尿だけでなく汗も甘酸っぱい臭いアセトン臭がする。
腎機能の低下や全身疲労などがあると、汗にアンモニア臭がする。
魚臭症と呼ばれる酵素欠損による代謝異常があると、魚臭い体臭になる。
甲状腺機能亢進症やパーキンソンは、皮脂腺が活発になり独特の体臭になる。
便秘症だと、便の腐敗臭が汗と共に漂ってくる。
だから、医者に診てもらう時は変に体臭を誤魔化さない方が良い。
身体の異常を臭いから見つけてくれる医者や医療従事者もいる。
たから少々の臭いは気にしないのだが……
だが、俺に仕える全侍女が、歯周病や歯槽膿漏が原因のメチルメルカプタンによる玉葱の腐ったような臭いや、硫化水素による卵の腐ったような臭いや、ジメチルサルファイドによる生ごみのような臭いをプンプンさせているのは耐えられない。
御主人命令で強制的に1日5度の歯磨きをさせている。
可愛いエマはまだ上手く歯ブラシを使えないので、俺が磨いてやる。
初めて歯磨きをしてあげた時に上手くできなかったので、手伝ってあげたのだが、あまりにも嬉しそうにしたので、それ以降ずっと手伝っている。
歯磨きを終えてから朝の魔術訓練をした。
弟子にした孤児達も集めて、俺がいなくなっても大丈夫なように魔術訓練する。
夜討ち朝駆け、就寝中に奇襲を受けても対処できるように、朝食を食べる前の空腹時でも十分に戦えるように、朝食前に魔術訓練をする。
「じゃあご飯を食べようか」
「うん」
ネイが微妙な表情で返事をする。
俺と一緒に食事するのは嬉しいが、テーブルマナーが苦手なのだ。
俺も仕方なくやっているから気持ちは分かるが、エマが身分のある男性と恋に落ちた時に困らないように、心を鬼にして練習させている。
「今日も王都に行ってくる、留守は任せたぞ」
館ですべき事を全部終えてから王都に向かった。
王族への天罰は終わったが、宰相への天罰がまだ終わっていない。
「行ってらっしゃいませ、お早いお帰りをお待ちしております」
「「「「「行ってらっしゃいませ、お早いお帰りをお待ちしております」」」」」
アビゲイル達に見送られて王都の宰相屋敷に向かった。
宰相の家族は問答無用で全員に天罰を与えるべきだ。
基本はそうなのだが、もしかしたらとても善良な人間がいるかもしれない。
俺は神様ではないので、人々のために雌伏している人間を見分けられない。
少なくとも見ただけで見分ける力はない。
鑑定魔術を使えばある程度分かるが、心の奥底までは分からない。
だから一日中尾行して言動を確認するのだ。
バカ天使が集めた情報はあるが、肝心な所を勘違いしている可能性がとても高いので、最終確認をして冤罪で人を苦しめないようにする。
「母上、聞かれましたか、王子王女が7人も呪いをかけられたそうです」
バカ天使の集めた情報が正しければ、宰相と同じくらい悪逆非道な長男が、ケバケバしく着飾った母親に話しかけていた。
「呪いで死んでくれたら、殺す手間が省けるのだけれど、まだ生きているようね」
「はい、父上の話では、オースティン伯爵軍を全滅させた田舎魔術師が、報復に王子王女を狙ったそうです」
「まあ、大丈夫なのですか、私達も狙われるのではありませんか?」
「田舎者に私達の事は分からないのでしょう。
この国の真の支配者が、王家ではなく私達だと言う事が分からないのです」
「凄い洞察力ですね、感心しました。
とても頼もしい事、あなたのような後継者を得た我が家は安泰ですね」
下劣な母子はひとしきり自慢話をする。
領民を苦しめて贅沢三昧をするだけで、統治者として本来すべき開発も政治も行わない、搾取しかしない悪辣非道な連中だ。
「母上、兄上、そのような退屈な話はやめてください。
それよりも舞踏会はどうなるのですか?
王子王女が呪われたからと言って、舞踏会を中止にしないで欲しいですわ」
心優しい貴族令嬢を何人も自殺に追い込んだ、性悪な長女が言う。
宰相派の貴族を集めて舞踏会を開くのを楽しみにしていたようだ。
普通に舞踏会を楽しむのなら罰など与えないのだが、また心優しい令嬢を陥れようとしていると、バカ天使が報告していた。
宰相夫人と長男長女が品性下劣なのは確認できた。
他家に養子に入った次男三男の本性も確認しに行った。
宰相の兄弟姉妹の家にも行って、罰を与えるべきか確認した。
王家には、天罰を与えるべき悪逆非道な王子王女だけでなく、王族らしく世間知らずで普通に我儘な者や、俺から見ても善良な者がいた。
だが宰相の縁者は、どいつもこいつも最低の連中だった。
王子王女は、少なくとも民を直接苦しめたりしなかった。
自分たちの周りにいる貴族士族、王家に仕える者達を苦しめていただけだ。
だが宰相の一族は、領地の民を苦しめていた。
酷政と搾取で領民を餓死させる程度は普通で、人妻や乙女を獣欲に任せて輪姦するなど、許し難い蛮行を繰り返していた。
それどころか、領民をハンティングしていたのだ!
魔獣や猛獣を狩るほどの実力がないから、絶対に逆らえない領民を狩猟の獲物に見立てて殺すという、人として許し難い蛮行を繰り返していた。
「サプレーション、ハイパーアルジーズィア」
1日で宰相の6親等血族と3親等の姻族を調べて、天罰を下すべきと判断した者に、身体を化膿させる魔術と痛覚を過敏にさせる魔術を使った。
一瞬で殺して楽にしてしまうのは、俺の正義感では正当な罰ではない。
痛くて苦しくて、どれほど死にたくても死ねない永劫の地獄こそ相応しい連中だ!
「宰相の一族が呪われたのは、王家に忠誠を尽くす領民思いの貴族に冤罪をかけたからで、天罰が下ったのだ」
俺は王都内の下町にある飯屋や酒場に行って、宰相の悪政が神の逆鱗に触れたと言う噂を流した。
ただ噂を流すのではなく、魔術を使って真実だと思い込ませた。
思い込ませただけでなく、噂を広めるようにと暗示魔術をかけた。
どれくらいの早さで広まるのかは分からないが、やれるだけやった。
王都の庶民だけでなく、王城内で働く貴族士族にも暗示をかけた。
宰相派に所属している貴族士族に暗示をかけて、宰相のせいで王子王女が呪いをかけられたと言う噂を、王城内に広めさせた。
その事を知った宰相が、自派閥の貴族や士族を処罰してくれたら最高だ。
自分の味方となっている者を自分の手で殺したら、宰相派の勢力が弱まる。
宰相が賢明なら俺の謀略だと見抜けるだろうが、愚か者だったら俺に暗示をかけられた貴族士族を殺して、自滅への道を歩んでくれる。
宰相一族への天罰は2日ですんだのだが、宰相一派を自滅させる暗示は2日で終わらせられなかったので、5日かけて噂を広めた。
7人の王子王女と側近護衛に呪いのような魔術をかけるのに丸1日かかった。
無罪の者に、狂うような呪いや魔術をかける訳には行かないので、バカ天使の報告が正しいのか確認するのに、何日もかかると思っていた。
だが、バカ天使の報告通り、救いようのない下劣な王子と王女だった。
その場で殺したくなるような悪行を毎日のようにやっているので、たった1日で有罪判定を下す事ができた。
王族に罰を与えてから家に戻った。
俺はともかく、ネイに野営なんてさせられない。
もう2度と苦しい生活も寂しい思いもさせないと誓っている。
「おは、よう」
スリープから目覚めたネイがうれしそうに言う。
同じ部屋に寝ているとはいえ、普段はネイを先に寝させて、俺は狩り集めた魔獣や猛獣、香辛料や香料、材木や木材の整理をしていた。
ネイが起きている時は、好き勝手にできないので良い人を演じた。
ネイが起きている間は、自分勝手にアニメやラノベを楽しめない。
幾ら俺でも、自分1人の世界に没入してネイを放りだす身勝手さはない。
とはいえ、俺の忍耐力など障子紙のように薄い。
どうしても耐えられない時は、ネイが寝てからこっそりとアニメやラノベに耽溺してストレスを解消していた。
「おはよう、歯を磨いて口をきれいにしよう」
この世界の庶民には歯磨きの習慣がなく、貴族階級が木片や革で歯を磨く程度だ。
貴族階級は社交が大切なので、口臭を予防するためにうがいが始まり、歯磨きが行われるようになったが、歯ブラシはまだ発明されていなかった。
だから俺とエマは、異世界間スーパーで買った歯ブラシと歯磨き粉を使っている。
アビゲイル達には、魔樹に魔獣の毛を植え付けた歯ブラシを使わせた。
俺が死んだ後も続けられるように、歯磨き粉の代わりに魔樹の葉を使っている。
口臭プンプンの状態で侍女をされても、臭過ぎて困るのだ。
前世の鍼灸柔道整復師時代は、患者さんの体臭や口臭も診断基準だった。
脂漏性皮膚炎に罹っていると、あぶらっぽい皮脂臭がする。
糖尿病 尿に罹っていると、尿だけでなく汗も甘酸っぱい臭いアセトン臭がする。
腎機能の低下や全身疲労などがあると、汗にアンモニア臭がする。
魚臭症と呼ばれる酵素欠損による代謝異常があると、魚臭い体臭になる。
甲状腺機能亢進症やパーキンソンは、皮脂腺が活発になり独特の体臭になる。
便秘症だと、便の腐敗臭が汗と共に漂ってくる。
だから、医者に診てもらう時は変に体臭を誤魔化さない方が良い。
身体の異常を臭いから見つけてくれる医者や医療従事者もいる。
たから少々の臭いは気にしないのだが……
だが、俺に仕える全侍女が、歯周病や歯槽膿漏が原因のメチルメルカプタンによる玉葱の腐ったような臭いや、硫化水素による卵の腐ったような臭いや、ジメチルサルファイドによる生ごみのような臭いをプンプンさせているのは耐えられない。
御主人命令で強制的に1日5度の歯磨きをさせている。
可愛いエマはまだ上手く歯ブラシを使えないので、俺が磨いてやる。
初めて歯磨きをしてあげた時に上手くできなかったので、手伝ってあげたのだが、あまりにも嬉しそうにしたので、それ以降ずっと手伝っている。
歯磨きを終えてから朝の魔術訓練をした。
弟子にした孤児達も集めて、俺がいなくなっても大丈夫なように魔術訓練する。
夜討ち朝駆け、就寝中に奇襲を受けても対処できるように、朝食を食べる前の空腹時でも十分に戦えるように、朝食前に魔術訓練をする。
「じゃあご飯を食べようか」
「うん」
ネイが微妙な表情で返事をする。
俺と一緒に食事するのは嬉しいが、テーブルマナーが苦手なのだ。
俺も仕方なくやっているから気持ちは分かるが、エマが身分のある男性と恋に落ちた時に困らないように、心を鬼にして練習させている。
「今日も王都に行ってくる、留守は任せたぞ」
館ですべき事を全部終えてから王都に向かった。
王族への天罰は終わったが、宰相への天罰がまだ終わっていない。
「行ってらっしゃいませ、お早いお帰りをお待ちしております」
「「「「「行ってらっしゃいませ、お早いお帰りをお待ちしております」」」」」
アビゲイル達に見送られて王都の宰相屋敷に向かった。
宰相の家族は問答無用で全員に天罰を与えるべきだ。
基本はそうなのだが、もしかしたらとても善良な人間がいるかもしれない。
俺は神様ではないので、人々のために雌伏している人間を見分けられない。
少なくとも見ただけで見分ける力はない。
鑑定魔術を使えばある程度分かるが、心の奥底までは分からない。
だから一日中尾行して言動を確認するのだ。
バカ天使が集めた情報はあるが、肝心な所を勘違いしている可能性がとても高いので、最終確認をして冤罪で人を苦しめないようにする。
「母上、聞かれましたか、王子王女が7人も呪いをかけられたそうです」
バカ天使の集めた情報が正しければ、宰相と同じくらい悪逆非道な長男が、ケバケバしく着飾った母親に話しかけていた。
「呪いで死んでくれたら、殺す手間が省けるのだけれど、まだ生きているようね」
「はい、父上の話では、オースティン伯爵軍を全滅させた田舎魔術師が、報復に王子王女を狙ったそうです」
「まあ、大丈夫なのですか、私達も狙われるのではありませんか?」
「田舎者に私達の事は分からないのでしょう。
この国の真の支配者が、王家ではなく私達だと言う事が分からないのです」
「凄い洞察力ですね、感心しました。
とても頼もしい事、あなたのような後継者を得た我が家は安泰ですね」
下劣な母子はひとしきり自慢話をする。
領民を苦しめて贅沢三昧をするだけで、統治者として本来すべき開発も政治も行わない、搾取しかしない悪辣非道な連中だ。
「母上、兄上、そのような退屈な話はやめてください。
それよりも舞踏会はどうなるのですか?
王子王女が呪われたからと言って、舞踏会を中止にしないで欲しいですわ」
心優しい貴族令嬢を何人も自殺に追い込んだ、性悪な長女が言う。
宰相派の貴族を集めて舞踏会を開くのを楽しみにしていたようだ。
普通に舞踏会を楽しむのなら罰など与えないのだが、また心優しい令嬢を陥れようとしていると、バカ天使が報告していた。
宰相夫人と長男長女が品性下劣なのは確認できた。
他家に養子に入った次男三男の本性も確認しに行った。
宰相の兄弟姉妹の家にも行って、罰を与えるべきか確認した。
王家には、天罰を与えるべき悪逆非道な王子王女だけでなく、王族らしく世間知らずで普通に我儘な者や、俺から見ても善良な者がいた。
だが宰相の縁者は、どいつもこいつも最低の連中だった。
王子王女は、少なくとも民を直接苦しめたりしなかった。
自分たちの周りにいる貴族士族、王家に仕える者達を苦しめていただけだ。
だが宰相の一族は、領地の民を苦しめていた。
酷政と搾取で領民を餓死させる程度は普通で、人妻や乙女を獣欲に任せて輪姦するなど、許し難い蛮行を繰り返していた。
それどころか、領民をハンティングしていたのだ!
魔獣や猛獣を狩るほどの実力がないから、絶対に逆らえない領民を狩猟の獲物に見立てて殺すという、人として許し難い蛮行を繰り返していた。
「サプレーション、ハイパーアルジーズィア」
1日で宰相の6親等血族と3親等の姻族を調べて、天罰を下すべきと判断した者に、身体を化膿させる魔術と痛覚を過敏にさせる魔術を使った。
一瞬で殺して楽にしてしまうのは、俺の正義感では正当な罰ではない。
痛くて苦しくて、どれほど死にたくても死ねない永劫の地獄こそ相応しい連中だ!
「宰相の一族が呪われたのは、王家に忠誠を尽くす領民思いの貴族に冤罪をかけたからで、天罰が下ったのだ」
俺は王都内の下町にある飯屋や酒場に行って、宰相の悪政が神の逆鱗に触れたと言う噂を流した。
ただ噂を流すのではなく、魔術を使って真実だと思い込ませた。
思い込ませただけでなく、噂を広めるようにと暗示魔術をかけた。
どれくらいの早さで広まるのかは分からないが、やれるだけやった。
王都の庶民だけでなく、王城内で働く貴族士族にも暗示をかけた。
宰相派に所属している貴族士族に暗示をかけて、宰相のせいで王子王女が呪いをかけられたと言う噂を、王城内に広めさせた。
その事を知った宰相が、自派閥の貴族や士族を処罰してくれたら最高だ。
自分の味方となっている者を自分の手で殺したら、宰相派の勢力が弱まる。
宰相が賢明なら俺の謀略だと見抜けるだろうが、愚か者だったら俺に暗示をかけられた貴族士族を殺して、自滅への道を歩んでくれる。
宰相一族への天罰は2日ですんだのだが、宰相一派を自滅させる暗示は2日で終わらせられなかったので、5日かけて噂を広めた。
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