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第二章
第48話:指嗾
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転移75日目:山本光司(ミーツ)視点
「まあ、全く方法がないわけではありません」
「なに! 良い方法があるのか?」
「はい、私が良い方法だと思うやり方はあります」
「どのような方法なんだ、教えてくれ、頼む」
「クラリス王女殿下は、王都に住む善良な民が巻き込まれるのを心配されている?」
「そうだ」
「だったら、王都の善良な民を逃がせばいいのですよ」
「なんだって?!」
「今の王都は、物価の高騰で善良な民は生きていけない状態ですよね?」
「ああ、そうだ、平気で他人から奪い殺せる人間でないと、生きていけない。
孤児院長殿が支援していなかったら、何千人が餓死していた事か……
いや、生きるために暴動を起こして、何万人もの民が王侯貴族に殺されていた」
「王都で生きていけないのなら、他の都市に逃げればいいのですよ」
「院長殿は簡単に言うが、他の都市に行っても奴隷にされるだけだ。
いや、他の都市に行きつく前に、盗賊や山賊に襲われて終りだ」
「姉御達のような、腕利きの冒険者が護衛についても襲われますか?」
「襲われるだろうが、よほどの集団でなければ撃退してみせる!」
「だったら大丈夫ではありませんか。
姉御が心服するほどの王女殿下なら、逃亡費用を用意してくださるでしょう?」
「いや、クラリス王女殿下は本当に善良だから、普段から貧民への救済をされているので、とても清貧に暮らしておられるのだ。
とてもではないが、王都10万の民を逃がすだけの金はない」
「そんな清貧な方なら費用負担は無理ですね、だったら私が出しましょう」
「なんだと、そんな莫大な金を用意できるのか?!
それは有難いが、金だけの問題じゃないんだ。
王都脱出費用があっても行く場所がないんだ」
「良識派の貴族領には行けないのですか?」
「行けないんだ、残念だが、良識派だけに貧しい方が多いんだ。
民を大切にされる貴族だからこそ、食糧も財力も余裕がない。
王都10万の民を救えるような良識派貴族は、どこにもいないんだ」
「分散してはいかがですか?
なにも1人の貴族に10万人全員を救ってもらう必要はない」
「良い提案をしてくださっている孤児院長殿に、反論ばかりして心苦しいのだが、長年苦楽を共にした民と、難民を同じようにあつかえる貴族はいない。
譜代の民の生活が少しでも苦しくなれば、その怒りは難民に向く。
どれほど慈悲深い良識派貴族でも、譜代の民を優先するしかない」
「確かに、姉御の言う通りですね。
だったら、人がいなくて困っている領地に行けばいい」
「人がいなくて困っている領地? そんな領地があるのか?」
「ダニエルズ辺境伯家を襲って滅んだオースティン伯爵家ですよ。
領都に住んでいた民は、全員ダニエルズ辺境伯領に移住したと聞いています。
数万の民が住める領都、リアルトが無人になっています。
近くに魔境があるので、その気になれば食料も確保できますよ」
「噂でしか知らないが、魔獣に支配されているのではないか?」
「姉御達なら、魔境から迷い出た魔獣くらい追い出せるのでは?」
「……やってみなければわからないが……」
「ギルドマスターや王女殿下に相談されては?
冒険者だけでなく、王女殿下に心を寄せる貴族士族も助けてくれるのでは?」
「それは……助けて下さるだろうが……今王女殿下の側から信頼できる貴族士族を遠ざける訳にはいかない」
「宰相派貴族士族の暗殺が怖いですか?」
「ああ、そう聞いている」
「何も王都にいる貴族士族を使う必要はないのですよ。
今領地にいる良識派貴族士族に手伝ってもらえば良いのです。
リアルトまでの道筋に領地を持つ貴族士族に護衛を頼み、リアルト周辺に領地を持つ貴族士族に魔獣退治を手伝ってもらえば良いのです。
宰相と敵対したダニエルズ辺境伯ですが、良識派貴族の方々に味方してくれるのではありませんか?
ダニエルズ辺境伯も、リアルトに民が住んで、税が手に入るのなら、喜んで迎え入れてくれるのではありませんか?」
「良い策だ、全く思いつかなかった妙案だ、直ぐに報告してくる!」
姉御はそう言うと蜂蜜酒を一気に飲ん出て行った。
「あなた方はこのまま休憩していてください」
他の冒険者が、どうしていいのか困っていたので言った。
安心してくれたようで、体の緊張が取れていった。
俺の誘導に乗ってしまった姉御と、とばっちりを受けた冒険者に、必要もない不安を与えるのは危険だった、だから早々に休憩室に行ってもらった。
問題は、襲って来た地回りは撃退したが、親分が残っている事だ。
もう1度襲ってくる可能性があるし、その時はもっと強力な兵隊を集めるだろう。
俺がいる時はいいが、いない時には冒険者に任せないといけない。
「地下室に新しい肉を納めますから、確認してください」
俺は孤児院世話役の1人に言った。
多くの不安はあるが、今やらなければいけない事を先にやる。
「はい、確認させていただきます」
大小十数軒の家と商家を買った時に、道に面した販売場所と共に、食料を保存する冷凍庫と冷蔵庫を地下に造った。
氷魔術で絶対零度にまで下げて長期保存する冷凍地下室と、周囲に氷を作って短期保存する冷蔵地下室の2種を造った。
鳥類は比較的痛みやすいので、食中毒を出さないように気を使う。
王都の貧民街では疫病や食中毒が普通に起こるようだが、ここでは起こさせない!
食中毒の原因には細菌やウイルス、有毒な物質などがある。
サルモネラ属菌、リステリア・モノサイトゲネス、腸炎ビブリオ、エルシニア菌等があるが、適切な対応をすれば食中毒は防げる。
サルモネラ菌などは、元々の食材にあった菌が増えてしまうケースだ。
黄色ブドウ球菌などは、人の鼻や口にいる菌を増やしてしまったケースだ。
サルモネラ属菌、リステリア・モノサイトゲネス、腸炎ビブリオ、エルシニア菌等の場合は、原因菌が腸管内でさらに増殖して発症するので、加熱で菌を殺して直ぐに食べたら食中毒は起こらない。
だが、黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌、セレウス菌、ウエルシュ菌等などが食品の中で増殖したら、菌内に毒を作ってしまうのだ、それが原因で食中道になるのだ。
だから加熱して菌を殺しても毒が残るので、料理して直ぐに食べたとしても食中毒になってしまう。
黄色ブドウ球菌は人、ボツリヌス菌、セレウス菌、ウエルシュ菌などは土壌を中心に広く存在しているので、清潔にする以外防ぐ方法がない。
だから、全部の孤児院に風呂とシャワールームを造った。
ただ、この世界、特に王都では清浄な水がとても貴重だ。
貧民が風呂やシャワーを使うなんて絶対にできなかった。
だから入浴やシャワーの習慣がないので、清潔にさせるのがとても難しい。
これはロアノークの寡婦や孤児も同じだったが、何とか習慣化させられた。
衣食住に不安の無い生活が保障されるなら、嫌でもやるしなかったのだろう。
王都の孤児院でも同じで、最初に俺が厳しく指導する事で習慣にさせる。
絶対に失いたくない豊かな生活を与える事で、嫌な事でもやるようになる。
俺のような風呂好きには考えられない事なのだが、前世でも意外と風呂嫌いが多くて、汚ギャルや風呂キャンセル界隈などと言われていた。
確かに、高温すぎるお風呂は体力を消耗する。
お風呂に入ると疲れが取れると言うが、実は逆で、疲れてよく眠れるだけだ。
とはいえ、疲れるのを知っていても、食品を扱うなら風呂は入らないといけない。
「これは、この国の王族でも使っていない、大国の王族だけが使っている、とても高価な入浴用の石鹸です。
魔境に咲く貴重で高価な花を練り込んだ、とても香りの良い石鹸です。
これを使って身体を清潔にして、下痢や嘔吐をしない、美味しい食事を作ってもらいます、いいですね?」
前世の知識をこの世界、特に貧民街で暮らしていた寡婦や孤児に伝えるのは難しいので、できるだけ噛み砕いて説明した。
この世界の言葉に変えられない、この世界にない品物は、遠い大国で使われているとても貴重で高価な物だと言って説明した。
使った事のない、不安に思う物でも、とても高価で王族しか使わない物だと言われると、使ってみたくなるのが人情だ。
そんな詭弁も使って、何とか寡婦と孤児に入浴と手洗いを習慣にさせる。
王都では貴重で高価な清浄水は、孤児院飲寡婦や孤児の魔力で作り出す。
魔法陣に手をかざしたら、空気中の酸素と水素、湿気から作り出す。
「まあ、全く方法がないわけではありません」
「なに! 良い方法があるのか?」
「はい、私が良い方法だと思うやり方はあります」
「どのような方法なんだ、教えてくれ、頼む」
「クラリス王女殿下は、王都に住む善良な民が巻き込まれるのを心配されている?」
「そうだ」
「だったら、王都の善良な民を逃がせばいいのですよ」
「なんだって?!」
「今の王都は、物価の高騰で善良な民は生きていけない状態ですよね?」
「ああ、そうだ、平気で他人から奪い殺せる人間でないと、生きていけない。
孤児院長殿が支援していなかったら、何千人が餓死していた事か……
いや、生きるために暴動を起こして、何万人もの民が王侯貴族に殺されていた」
「王都で生きていけないのなら、他の都市に逃げればいいのですよ」
「院長殿は簡単に言うが、他の都市に行っても奴隷にされるだけだ。
いや、他の都市に行きつく前に、盗賊や山賊に襲われて終りだ」
「姉御達のような、腕利きの冒険者が護衛についても襲われますか?」
「襲われるだろうが、よほどの集団でなければ撃退してみせる!」
「だったら大丈夫ではありませんか。
姉御が心服するほどの王女殿下なら、逃亡費用を用意してくださるでしょう?」
「いや、クラリス王女殿下は本当に善良だから、普段から貧民への救済をされているので、とても清貧に暮らしておられるのだ。
とてもではないが、王都10万の民を逃がすだけの金はない」
「そんな清貧な方なら費用負担は無理ですね、だったら私が出しましょう」
「なんだと、そんな莫大な金を用意できるのか?!
それは有難いが、金だけの問題じゃないんだ。
王都脱出費用があっても行く場所がないんだ」
「良識派の貴族領には行けないのですか?」
「行けないんだ、残念だが、良識派だけに貧しい方が多いんだ。
民を大切にされる貴族だからこそ、食糧も財力も余裕がない。
王都10万の民を救えるような良識派貴族は、どこにもいないんだ」
「分散してはいかがですか?
なにも1人の貴族に10万人全員を救ってもらう必要はない」
「良い提案をしてくださっている孤児院長殿に、反論ばかりして心苦しいのだが、長年苦楽を共にした民と、難民を同じようにあつかえる貴族はいない。
譜代の民の生活が少しでも苦しくなれば、その怒りは難民に向く。
どれほど慈悲深い良識派貴族でも、譜代の民を優先するしかない」
「確かに、姉御の言う通りですね。
だったら、人がいなくて困っている領地に行けばいい」
「人がいなくて困っている領地? そんな領地があるのか?」
「ダニエルズ辺境伯家を襲って滅んだオースティン伯爵家ですよ。
領都に住んでいた民は、全員ダニエルズ辺境伯領に移住したと聞いています。
数万の民が住める領都、リアルトが無人になっています。
近くに魔境があるので、その気になれば食料も確保できますよ」
「噂でしか知らないが、魔獣に支配されているのではないか?」
「姉御達なら、魔境から迷い出た魔獣くらい追い出せるのでは?」
「……やってみなければわからないが……」
「ギルドマスターや王女殿下に相談されては?
冒険者だけでなく、王女殿下に心を寄せる貴族士族も助けてくれるのでは?」
「それは……助けて下さるだろうが……今王女殿下の側から信頼できる貴族士族を遠ざける訳にはいかない」
「宰相派貴族士族の暗殺が怖いですか?」
「ああ、そう聞いている」
「何も王都にいる貴族士族を使う必要はないのですよ。
今領地にいる良識派貴族士族に手伝ってもらえば良いのです。
リアルトまでの道筋に領地を持つ貴族士族に護衛を頼み、リアルト周辺に領地を持つ貴族士族に魔獣退治を手伝ってもらえば良いのです。
宰相と敵対したダニエルズ辺境伯ですが、良識派貴族の方々に味方してくれるのではありませんか?
ダニエルズ辺境伯も、リアルトに民が住んで、税が手に入るのなら、喜んで迎え入れてくれるのではありませんか?」
「良い策だ、全く思いつかなかった妙案だ、直ぐに報告してくる!」
姉御はそう言うと蜂蜜酒を一気に飲ん出て行った。
「あなた方はこのまま休憩していてください」
他の冒険者が、どうしていいのか困っていたので言った。
安心してくれたようで、体の緊張が取れていった。
俺の誘導に乗ってしまった姉御と、とばっちりを受けた冒険者に、必要もない不安を与えるのは危険だった、だから早々に休憩室に行ってもらった。
問題は、襲って来た地回りは撃退したが、親分が残っている事だ。
もう1度襲ってくる可能性があるし、その時はもっと強力な兵隊を集めるだろう。
俺がいる時はいいが、いない時には冒険者に任せないといけない。
「地下室に新しい肉を納めますから、確認してください」
俺は孤児院世話役の1人に言った。
多くの不安はあるが、今やらなければいけない事を先にやる。
「はい、確認させていただきます」
大小十数軒の家と商家を買った時に、道に面した販売場所と共に、食料を保存する冷凍庫と冷蔵庫を地下に造った。
氷魔術で絶対零度にまで下げて長期保存する冷凍地下室と、周囲に氷を作って短期保存する冷蔵地下室の2種を造った。
鳥類は比較的痛みやすいので、食中毒を出さないように気を使う。
王都の貧民街では疫病や食中毒が普通に起こるようだが、ここでは起こさせない!
食中毒の原因には細菌やウイルス、有毒な物質などがある。
サルモネラ属菌、リステリア・モノサイトゲネス、腸炎ビブリオ、エルシニア菌等があるが、適切な対応をすれば食中毒は防げる。
サルモネラ菌などは、元々の食材にあった菌が増えてしまうケースだ。
黄色ブドウ球菌などは、人の鼻や口にいる菌を増やしてしまったケースだ。
サルモネラ属菌、リステリア・モノサイトゲネス、腸炎ビブリオ、エルシニア菌等の場合は、原因菌が腸管内でさらに増殖して発症するので、加熱で菌を殺して直ぐに食べたら食中毒は起こらない。
だが、黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌、セレウス菌、ウエルシュ菌等などが食品の中で増殖したら、菌内に毒を作ってしまうのだ、それが原因で食中道になるのだ。
だから加熱して菌を殺しても毒が残るので、料理して直ぐに食べたとしても食中毒になってしまう。
黄色ブドウ球菌は人、ボツリヌス菌、セレウス菌、ウエルシュ菌などは土壌を中心に広く存在しているので、清潔にする以外防ぐ方法がない。
だから、全部の孤児院に風呂とシャワールームを造った。
ただ、この世界、特に王都では清浄な水がとても貴重だ。
貧民が風呂やシャワーを使うなんて絶対にできなかった。
だから入浴やシャワーの習慣がないので、清潔にさせるのがとても難しい。
これはロアノークの寡婦や孤児も同じだったが、何とか習慣化させられた。
衣食住に不安の無い生活が保障されるなら、嫌でもやるしなかったのだろう。
王都の孤児院でも同じで、最初に俺が厳しく指導する事で習慣にさせる。
絶対に失いたくない豊かな生活を与える事で、嫌な事でもやるようになる。
俺のような風呂好きには考えられない事なのだが、前世でも意外と風呂嫌いが多くて、汚ギャルや風呂キャンセル界隈などと言われていた。
確かに、高温すぎるお風呂は体力を消耗する。
お風呂に入ると疲れが取れると言うが、実は逆で、疲れてよく眠れるだけだ。
とはいえ、疲れるのを知っていても、食品を扱うなら風呂は入らないといけない。
「これは、この国の王族でも使っていない、大国の王族だけが使っている、とても高価な入浴用の石鹸です。
魔境に咲く貴重で高価な花を練り込んだ、とても香りの良い石鹸です。
これを使って身体を清潔にして、下痢や嘔吐をしない、美味しい食事を作ってもらいます、いいですね?」
前世の知識をこの世界、特に貧民街で暮らしていた寡婦や孤児に伝えるのは難しいので、できるだけ噛み砕いて説明した。
この世界の言葉に変えられない、この世界にない品物は、遠い大国で使われているとても貴重で高価な物だと言って説明した。
使った事のない、不安に思う物でも、とても高価で王族しか使わない物だと言われると、使ってみたくなるのが人情だ。
そんな詭弁も使って、何とか寡婦と孤児に入浴と手洗いを習慣にさせる。
王都では貴重で高価な清浄水は、孤児院飲寡婦や孤児の魔力で作り出す。
魔法陣に手をかざしたら、空気中の酸素と水素、湿気から作り出す。
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