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第二章
第50話:放火と奇襲とバカ天使
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転移75日目:山本光司(ミーツ)視点
「ネイ、お友達を呼ぼうか?」
「ほん、とう、うれ、しい」
今夜にでも王都の孤児院に敵の襲撃があるかもしれない。
応援を頼んだ南冒険者ギルドも腐っていて、完全には信用できない。
かと言って、表立って魔術を使う事もはばかられる。
「テレポート」
なので、俺とネイが支配下に置いている魔獣を使う事にした。
魔境の秘密拠点に瞬間転移して、外庭に放し飼いにしている魔獣を連れて来た。
あまり大きな魔獣を連れて来ると居場所がないので、小さくて強い奴にした。
「テレポート」
「いい、こ、いい、こ、ともだち、わたし、ともだち」
王都に連れて来た魔獣、一角突兎をネイが愛しそうになでている。
一角突兎も、撫でられるのがうれしいようで、目を細めて身を任せている。
1羽では安心できないので、護衛の控室と寝室に50羽ほど待機させた。
ネイは50羽全部にブラッシングをして疲れたのか、いつもよりも早く熟睡してくれたので、大きなベットに寝かせた。
俺は夜襲を警戒して右脳と左脳を交互に休ませならが不寝番をする。
「ホー、ホー、ホー、ホー」
ネイが熟睡した後、前世を参考にすれば夜の10時頃、外を見張っていた冒険者が、フクロウの声真似で敵の接近を知らせて来た。
弓を使える者達は、既に外で敵を待ち構えている。
剣や槍、魔術を使う冒険者は孤児院内で敵を待ち構えている。
一角突兎50羽を使うと決めたので、作戦を変更したのだ。
姉御のような、対人戦に慣れた優秀な冒険者は、放火されるのを恐れて外で迎え討つと言ったのだが、俺が強引に止めさせた。
「トランスバレンシー、リプレーサー・プレゼンス、デオドラント」
味方にも魔獣を使役しているのを知られないように、一角突兎の姿も気配も臭いも消したが、それだけではない。
「ストレング・ディフェンス・パワー」
防御力を高めて少々の攻撃では傷つかないようにした。
俊足や加速、身体強化の魔術もかけられるのだが、そんな事をすると、普段の動きと違うので、まともに戦えなくなる。
人間なら、事前に身体強化した状態で鍛錬しておくことで、実戦でも使いこなせるようになるが、ぶっつけ本番で身体強化なんてしたら、逆に弱くなってしまう。
敵の宰相、いや、前宰相の手先が四方八方から近づいて来る。
最悪の想定通り、手に松明と油を持っている。
遠くから火を放って俺達を焼き殺す気だ、思っていた通り最低の連中だ!
「手に松明か油を持っている人間を皆殺しにしなさい」
「「「「「ぶっ、ぶっ、ぶっ、ぶううううう」」」」」
ひと声返事をして、一角突兎50羽が一斉に敵を迎え討つ。
見えない、気配を感じられない、臭いもないのだから、避けようがない。
卑怯下劣な襲撃者達は、不意を打たれて一撃で心臓を刺し貫かれる。
「「「「「うわぁああああ!」」」」」
襲撃者達がパニックを起こして大混乱している。
敵が見えない状態で、味方の胸に大穴が開き、血が吹き出して死んでいくのだ。
何者かに心臓を刺されて次々と死んでいくのだ、恐怖するのも仕方がない。
急いで逃げようとするが、魔境でも素早い方の一角突兎からは逃れられない。
瞬く間に全員が心臓を貫かれて絶命した。
これで孤児院を守れた、油断はできないが、ひとまず安心だ。
「光司様、連中のアジトを調べてきました。
アジトは売春街にあり、多くの女子供が苦しめられています」
何度消滅させても諦めないクソ天使がまた現れた!
「もう2度と現れるなと何度言ったらわかるんだ!
さっさと糞神の所に行け、また消滅させるぞ、クソ天使!」
「また消滅させてくださって結構でございます。
ただ、腐れ外道共に苦しめられている女子供を助けてからにしてください。
連中のアジトに案内させていただきます」
糞神がクソ天使に知恵を授けたのか?
的確に俺の弱点を突いてきやがった!
知らなければ、想像はしていても、女子供を助けずに見捨てられた。
だが知ってしまったら、不完全な良心が疼いて助けずにはおられない。
売春街にある地回りのアジトを襲って、そこで苦しめられている女子供を助けるとしたら、アジトにいる女子供だけという訳には行かない。
不完全な良心が疼いて、売春街で苦しんでいる全ての女子供を助ける事になる。
「売春街の女子供を助けたら消滅させる、それでも良いんだな?」
「かまいません、不幸な女子供を助けられたら、それで満足です」
「スリープ」
ネイを孤児院に寝かせたまま出ていくのは心配なので、スリープで熟睡させてから胸に抱き、戦う準備をした。
「ディスタント・ビュウ、パーフェクトホークアイ、プレゼンス・ディテクション、インフラレド・ディテクション、アルトゥラサニク・ディテクション、クレアヴォイアンス……」
ネイを胸に抱いた状態で、敵に不意討ちされる訳にはいかない。
使える索敵系の魔術は全て使って、どのような敵であろうと寄せ付けない。
「トランスバレンシー、リプレーサー・プレゼンス、デオドラント」
先ずは敵に見つからないようにする。
「フリート・フッティド、フィジカル・エンハンスメント、ストレング・ディフェンス・パワー」
足を速くするだけじゃなく、身体全体を強化し、攻撃を受けても傷つかないようにして、万全を期して敵のアジトに向かう。
「テレポート」
「最初に門番をしている2人組を斃さないといけません」
売春街に瞬間転移した直後に、バカ天使が囁くような声で言う。
地回りの親分が隠れ家にするくらいだから、警備が厳重なのは当然だろう。
バカ天使が2人組と言うなら、20人が待ち伏せしている覚悟で行く!
俊足と身体強化の効果は絶大で、補強された鉄製のドアを一撃で破壊しただけでなく、味方に危険を知らせる声も出させずに瞬殺した。
こんな連中に情けはかけない、問答無用で殺す。
珍しくバカ天使の言う通り、入り口の見張りは2人しかいなかった。
バカ天使の事だから、1番大切な所で失敗するに違いない。
その覚悟で、慎重に、だが素早く地回りの親分を探す。
バカ天使が案内する順路に従って、地下の隠し部屋に向かう。
斃した入口の見張りを発見されたら、警報が鳴り響くかもしれない。
だから一気呵成に地下の隠し部屋に行きたいのだが、そうはいかない。
隠し部屋までの部屋で、腐れ外道共が女子供を痛めつけているのだ。
ここは特殊な性癖を満たせるようにした売春宿だった。
激しく痛め過ぎて毎日死者が出るような、生き地獄だった。
とてもではないが、素通りなんてできない。
不完全な良心が疼いて、女子供を痛めつけている客達の顎と腰椎を砕き、両の目玉を引きずりだして口に叩き込んでしまった。
「パーフェクトヒール」
ここでは絶対に魔術を使わない心算だった。
ダニエルズ辺境伯家の黒幕である魔術師、ミーツ・ヤーマだと思われないように、魔術は使わない心算だった。
だが、殴られ蹴られ、焼き鏝などの道具を使って痛めつけられ、見るも無残な姿にされた女子供を見てしまうと、回復魔術を使わずにはおられなかった。
回復魔術を使いながら、腹の底から怒りが湧いて来た。
「パーフェクトヒール」
吐き気がするほどの残虐な行為を繰り返しているのは1部屋だけじゃなかった。
腐れ外道の隠し部屋までの間にある、全ての部屋で行われていた。
両眼を潰されている子供、全ての歯を折られている女性、身体中に酷い火傷の跡がある子供、口を裂かれ乳房を切り取られ身体中に切り裂き傷のある女性……
「パーフェクトヒール……」
もう、力を隠してなどいられない!
女子供をいたぶっている腐れ外道共の全員が、貴族士族だった。
服装を見れば俺にだって身分くらいは分かる、もう面倒などと言ってられるか!
王家王国を滅ぼしたら、責任を取って国を治めなければいけない。
国を壊して戦国乱世にしてしまう方が、悪臣に好き勝手させるよりも害がある。
そう思って、目の前にいる弱者を救うだけにしていた。
だが、こんな胸糞の悪い現場を見たら、働くのが嫌だから、責任を背負うのが嫌だから、引き籠りたいなんて言えない。
「この腐れ外道が、楽に死ねると思うな!」
地下の隠れ家にいた地回りの親分を半殺しにした。
楽に死なせるのは、ここで苦しめられた女子供に悪いから、半殺しだ。
こいつらを殺す権利は俺にはない、殺す権利はここにいる女子供にある。
「マジック・リリース」
自分にかけていた魔術を解除して、助けた女子供に姿を見せた。
女子供を助ける人間がいるのだと、しっかりと目に見える形でしらせた。
胸に眠っているネイを抱いているのは御愛嬌だ。
「こいつらは身動きできないように半殺しにした、お前たちの好きにするが良い」
俺は完全回復させた女子供に言った。
彼らは自分が痛めつけられ続けた、焼き鏝や鞭、ナイフやハサミを手に取った。
「ネイ、お友達を呼ぼうか?」
「ほん、とう、うれ、しい」
今夜にでも王都の孤児院に敵の襲撃があるかもしれない。
応援を頼んだ南冒険者ギルドも腐っていて、完全には信用できない。
かと言って、表立って魔術を使う事もはばかられる。
「テレポート」
なので、俺とネイが支配下に置いている魔獣を使う事にした。
魔境の秘密拠点に瞬間転移して、外庭に放し飼いにしている魔獣を連れて来た。
あまり大きな魔獣を連れて来ると居場所がないので、小さくて強い奴にした。
「テレポート」
「いい、こ、いい、こ、ともだち、わたし、ともだち」
王都に連れて来た魔獣、一角突兎をネイが愛しそうになでている。
一角突兎も、撫でられるのがうれしいようで、目を細めて身を任せている。
1羽では安心できないので、護衛の控室と寝室に50羽ほど待機させた。
ネイは50羽全部にブラッシングをして疲れたのか、いつもよりも早く熟睡してくれたので、大きなベットに寝かせた。
俺は夜襲を警戒して右脳と左脳を交互に休ませならが不寝番をする。
「ホー、ホー、ホー、ホー」
ネイが熟睡した後、前世を参考にすれば夜の10時頃、外を見張っていた冒険者が、フクロウの声真似で敵の接近を知らせて来た。
弓を使える者達は、既に外で敵を待ち構えている。
剣や槍、魔術を使う冒険者は孤児院内で敵を待ち構えている。
一角突兎50羽を使うと決めたので、作戦を変更したのだ。
姉御のような、対人戦に慣れた優秀な冒険者は、放火されるのを恐れて外で迎え討つと言ったのだが、俺が強引に止めさせた。
「トランスバレンシー、リプレーサー・プレゼンス、デオドラント」
味方にも魔獣を使役しているのを知られないように、一角突兎の姿も気配も臭いも消したが、それだけではない。
「ストレング・ディフェンス・パワー」
防御力を高めて少々の攻撃では傷つかないようにした。
俊足や加速、身体強化の魔術もかけられるのだが、そんな事をすると、普段の動きと違うので、まともに戦えなくなる。
人間なら、事前に身体強化した状態で鍛錬しておくことで、実戦でも使いこなせるようになるが、ぶっつけ本番で身体強化なんてしたら、逆に弱くなってしまう。
敵の宰相、いや、前宰相の手先が四方八方から近づいて来る。
最悪の想定通り、手に松明と油を持っている。
遠くから火を放って俺達を焼き殺す気だ、思っていた通り最低の連中だ!
「手に松明か油を持っている人間を皆殺しにしなさい」
「「「「「ぶっ、ぶっ、ぶっ、ぶううううう」」」」」
ひと声返事をして、一角突兎50羽が一斉に敵を迎え討つ。
見えない、気配を感じられない、臭いもないのだから、避けようがない。
卑怯下劣な襲撃者達は、不意を打たれて一撃で心臓を刺し貫かれる。
「「「「「うわぁああああ!」」」」」
襲撃者達がパニックを起こして大混乱している。
敵が見えない状態で、味方の胸に大穴が開き、血が吹き出して死んでいくのだ。
何者かに心臓を刺されて次々と死んでいくのだ、恐怖するのも仕方がない。
急いで逃げようとするが、魔境でも素早い方の一角突兎からは逃れられない。
瞬く間に全員が心臓を貫かれて絶命した。
これで孤児院を守れた、油断はできないが、ひとまず安心だ。
「光司様、連中のアジトを調べてきました。
アジトは売春街にあり、多くの女子供が苦しめられています」
何度消滅させても諦めないクソ天使がまた現れた!
「もう2度と現れるなと何度言ったらわかるんだ!
さっさと糞神の所に行け、また消滅させるぞ、クソ天使!」
「また消滅させてくださって結構でございます。
ただ、腐れ外道共に苦しめられている女子供を助けてからにしてください。
連中のアジトに案内させていただきます」
糞神がクソ天使に知恵を授けたのか?
的確に俺の弱点を突いてきやがった!
知らなければ、想像はしていても、女子供を助けずに見捨てられた。
だが知ってしまったら、不完全な良心が疼いて助けずにはおられない。
売春街にある地回りのアジトを襲って、そこで苦しめられている女子供を助けるとしたら、アジトにいる女子供だけという訳には行かない。
不完全な良心が疼いて、売春街で苦しんでいる全ての女子供を助ける事になる。
「売春街の女子供を助けたら消滅させる、それでも良いんだな?」
「かまいません、不幸な女子供を助けられたら、それで満足です」
「スリープ」
ネイを孤児院に寝かせたまま出ていくのは心配なので、スリープで熟睡させてから胸に抱き、戦う準備をした。
「ディスタント・ビュウ、パーフェクトホークアイ、プレゼンス・ディテクション、インフラレド・ディテクション、アルトゥラサニク・ディテクション、クレアヴォイアンス……」
ネイを胸に抱いた状態で、敵に不意討ちされる訳にはいかない。
使える索敵系の魔術は全て使って、どのような敵であろうと寄せ付けない。
「トランスバレンシー、リプレーサー・プレゼンス、デオドラント」
先ずは敵に見つからないようにする。
「フリート・フッティド、フィジカル・エンハンスメント、ストレング・ディフェンス・パワー」
足を速くするだけじゃなく、身体全体を強化し、攻撃を受けても傷つかないようにして、万全を期して敵のアジトに向かう。
「テレポート」
「最初に門番をしている2人組を斃さないといけません」
売春街に瞬間転移した直後に、バカ天使が囁くような声で言う。
地回りの親分が隠れ家にするくらいだから、警備が厳重なのは当然だろう。
バカ天使が2人組と言うなら、20人が待ち伏せしている覚悟で行く!
俊足と身体強化の効果は絶大で、補強された鉄製のドアを一撃で破壊しただけでなく、味方に危険を知らせる声も出させずに瞬殺した。
こんな連中に情けはかけない、問答無用で殺す。
珍しくバカ天使の言う通り、入り口の見張りは2人しかいなかった。
バカ天使の事だから、1番大切な所で失敗するに違いない。
その覚悟で、慎重に、だが素早く地回りの親分を探す。
バカ天使が案内する順路に従って、地下の隠し部屋に向かう。
斃した入口の見張りを発見されたら、警報が鳴り響くかもしれない。
だから一気呵成に地下の隠し部屋に行きたいのだが、そうはいかない。
隠し部屋までの部屋で、腐れ外道共が女子供を痛めつけているのだ。
ここは特殊な性癖を満たせるようにした売春宿だった。
激しく痛め過ぎて毎日死者が出るような、生き地獄だった。
とてもではないが、素通りなんてできない。
不完全な良心が疼いて、女子供を痛めつけている客達の顎と腰椎を砕き、両の目玉を引きずりだして口に叩き込んでしまった。
「パーフェクトヒール」
ここでは絶対に魔術を使わない心算だった。
ダニエルズ辺境伯家の黒幕である魔術師、ミーツ・ヤーマだと思われないように、魔術は使わない心算だった。
だが、殴られ蹴られ、焼き鏝などの道具を使って痛めつけられ、見るも無残な姿にされた女子供を見てしまうと、回復魔術を使わずにはおられなかった。
回復魔術を使いながら、腹の底から怒りが湧いて来た。
「パーフェクトヒール」
吐き気がするほどの残虐な行為を繰り返しているのは1部屋だけじゃなかった。
腐れ外道の隠し部屋までの間にある、全ての部屋で行われていた。
両眼を潰されている子供、全ての歯を折られている女性、身体中に酷い火傷の跡がある子供、口を裂かれ乳房を切り取られ身体中に切り裂き傷のある女性……
「パーフェクトヒール……」
もう、力を隠してなどいられない!
女子供をいたぶっている腐れ外道共の全員が、貴族士族だった。
服装を見れば俺にだって身分くらいは分かる、もう面倒などと言ってられるか!
王家王国を滅ぼしたら、責任を取って国を治めなければいけない。
国を壊して戦国乱世にしてしまう方が、悪臣に好き勝手させるよりも害がある。
そう思って、目の前にいる弱者を救うだけにしていた。
だが、こんな胸糞の悪い現場を見たら、働くのが嫌だから、責任を背負うのが嫌だから、引き籠りたいなんて言えない。
「この腐れ外道が、楽に死ねると思うな!」
地下の隠れ家にいた地回りの親分を半殺しにした。
楽に死なせるのは、ここで苦しめられた女子供に悪いから、半殺しだ。
こいつらを殺す権利は俺にはない、殺す権利はここにいる女子供にある。
「マジック・リリース」
自分にかけていた魔術を解除して、助けた女子供に姿を見せた。
女子供を助ける人間がいるのだと、しっかりと目に見える形でしらせた。
胸に眠っているネイを抱いているのは御愛嬌だ。
「こいつらは身動きできないように半殺しにした、お前たちの好きにするが良い」
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