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第二章
第52話:籠城
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転移76日目:山本光司(ミーツ)視点
「「「「「モォオオオオオ、モォオオオオオ、モォオオオオオ」」」」」
「「「「「ブゥウウウウウ、ブゥウウウウウ、ブゥウウウウウ」」」」」
元売春街に魔境の草食魔獣、双角野牛と連角突犀が闊歩する。
元売春街の外側、飲食街との境目になっている通路には防御力の高い連角突犀、元売春街の内側にある通路には双角野牛が闊歩している。
売春宿の主人や手下達をぶち殺し、賄賂を貰って出動してきた王都警備隊を追い返したので、最悪の場合は王国軍が出張って来る。
勝つだけなら簡単だが、勝った後の事を考えないといけない。
売春街で殺されかけていた女子供のような人をこれ以上ださないように、新しい国にすると決めた以上、今からその心算で戦わないといけない。
「いい、こ、いい、こ、ネイの、ともだち、いいこ、いい、こ、ネイの、ともだち」
俺が魔境で集めた餌、野草を食べている双角野牛を、ネイが撫でてスキンシップしている、実にうれしそうだ。
王都に強力な魔獣を連れてきたのはいいが、十分な食事を与え適度な運動をさせないと病気になってしまう。
「院長? 全部食べて好いのですか?」
助けた女子供に孤児院の院長と名乗ったが、信じられないようだ。
彼女達が安心できるように戦う姿を見せたが、鬼神のような戦い方が、孤児院の院長と繋がらないのだろう。
「構わないと、みんなろくなものを食べていなかったのだろう?
痩せ細っているから、しっかり食べて健康な身体になるんだ。
魔術で病気や怪我は治したが、治すのにも体力が必要だ。
治した怪我は、自分の血や肉を使って元通りにしている。
しっかり食べて、使った血肉を補充しなさい」
「「「「「……はい……」」」」」
「俺の言ったことが分からなくて良い、お腹一杯食べなさい」
「「「「「はい!」」」」」
俺は売春街の通りでバーベキューを始めた。
まだ誰が何をできるのか全く分からないので、俺自ら安い鳥肉と魔獣肉を焼く。
この世界には箸がないので、アルミ製のトングを使って焼く。
「「「「「おいしい!」」」」」
直ぐに焼けるように、鳥肉と魔獣肉は薄く切ってある。
火の通り難い鳥肉は、金網ではなく鉄板で焼いている。
焼き上がった肉を食べた子供達が歓声をあげる。
この世界にはトングもないのだが、箸よりは使いやすいようで、子供だけでなく女も嬉しそうに使っている。
世話好きで心優しい女は、焼けた肉を木皿に取って子供達に渡している。
母親のような女に甘えて取ってもらう子供もいれば、トングを使うのが楽しくて、自分で肉を取っては食べる子供もいる。
温かい季節なので、生肉を常温で放置していると危険だ。
清浄水と氷と木樽をだして肉を放り込み、何時でも好きな時に好きなだけ肉を焼いて食べられるようにした。
「おいしい! みずもおいしい!」
「ほんとうだ!」
「俺にも飲ませてくれ!」
「ほんとうだわ、水がこんなに美味しいなんて!」
王都の水は基本汚くて、前世日本の人間だったら、煮沸して飲んでもお腹をこわしてしまう確率が高い。
王都の民は長年飲んでいるので、体力が低下していなければ腹を壊さない。
いや、腹を壊すような人間は、幼い内に死んでしまっている。
生き残って大人になった人間は、胃腸が強いのだ。
そんな、とてもきれいと言えない水を飲み続けた女子供には、魔術で空気から作った清浄な水は、思わず声が出るほど美味しいようだ。
そんな女子供には、異世界間スーパーで買った牛乳やソフトドリンクを飲ませてあげたくなるのだが、彼女達が努力しても手に入らないので、出さなかった。
自分の魔力で魔術陣を起動させたら飲める清浄水なら、努力すれば今後も飲めるので、清浄水だけを作って木樽に入れておいてやる。
「疲れたので少し寝ます、皆さんはこのまま食べられるだけ食べてください。
腐れ外道や王都の警備隊が襲ってくるかもしれませんので、外周部には出ないでください、この通りと通りに面した家にだけいてください」
「「「「「はい!」」」」」
とてもいい返事だった、女子供も、元の主人や王都の警備隊が怖いのだ。
魔境の魔獣が守ってくれると俺が言っても、普通は信じられない。
俺の言う通りに、魔獣が外周部を見廻ってくれていても、信じ切れないのだ。
そんな不安を抱えた女子供だから、できるだけ中心部に集まろうとする。
俺がバーベキューをする場所にした売春街の通りは、売春街の中心にある。
敵が襲って来る場合は、必ず1つ以上の通りを渡らないといけない。
その通りには、王家の騎士でも全く歯が立たない、魔境の猛獣がいる。
女子供は、魔獣が自分達を守ってくれるとは信じられないが、魔獣が目にした人間を襲うのは常識なので、魔獣のいる通りより内側に集まっている。
それと、疲れたから眠ると言うのは嘘だ。
やらなければいけない事が多過ぎるのだ。
どうしても女子供の相手をしてあげられない時間がある。
「テレポート」
魔境の隠れ家、魔境都市ロアノークの元貴族館、魔境都市リアルトの3ケ所で放し飼いにしている魔獣に餌をあげて、スキンシップしなければいけない。
魔獣を割り切って使える俺には意味のない事なのだが、ネイには必要なのだ。
まだ俺にしか心を許していないネイには、最悪の事態が起きた時の為に、心を通わせた存在が、魔獣でも良いから必要だと思う。
「テレポート」
魔境都市ロアノークでの餌やりが終わったら、王都の孤児院に瞬間移動する。
何時ものように、抱っこ紐でネイを胸に抱いて瞬間移動する。
「寝過ごしてしまった、何か問題はなかったかい?」
「何も問題ありませんでした」
王都孤児院の世話役の1人が報告してくれる。
俺が売春街で戦っている間に朝となり、予定通り解体した鳥と小動物、料理した焼鳥と焼肉の販売を行っていた。
孤児院の女子供を守る事を最優先に考えれば、販売は休止すべきだ。
だが、孤児院での食料販売、労働を対価にした食料の提供を休止したら、多数の人が飢えに苦しみ、最悪餓死者が出かねなかった。
それに、孤児院に深夜の強襲を仕掛けてきた腐れ外道共は、親分も含めて全員ぶち殺してやったので、同じ組織を使っての襲撃は不可能となっている。
何より、俺が襲撃壊滅させた売春街は王都の北側にあり、前宰相のジェームズ・アンダーソン侯爵のお膝元になる。
ジェームズが王城の北塔に幽閉されたままで、アンダーソン侯爵家は良識派貴族だけでなく、元は自派閥だった貴族家とも戦争状態となっている。
これ以上孤児院程度に戦力を投入できるとは思えなかった。
だから、絶対に安全とは言い切れなかったが、販売をさせたのだ。
「よくやってくれた、この後も困っている人の為に販売を続けてくれ」
「はい、やらせていただきます」
「私は部屋に籠って商売の書類を確認してくる、任せたよ」
「はい、御任せ下さい」
孤児院の私室に籠る言い訳をして、1度私室に戻ってから、大切な人達を住ませている魔境都市リアルトに向かう。
「テレポート」
リアルトにいる寡婦や孤児には瞬間移動を見られても大丈夫なので、女子供が居る居間や食堂に直接瞬間移動する。
「何か問題はなかったか?」
魔境都市リアルトに移住して、心から安心する事ができたロアノーク出身の寡婦や孤児に、心配事がないか確かめる。
「何も問題はありません、平穏無事な夜を過ごさせていただきました。
これが、御主人様がもどられるまでに解体した鳥と小動物になります。
こちらが料理して魔法袋に保存しておいた鳥と小動物になります」
アビゲイルが報告してくれる。
「ありがとう、みんなが食べる分を除いて持って行く。
王都には餓死しそうな人がたくさんいる。
今日もたくさん解体と料理をして欲しい」
「お任せください、できる限りの解体と料理をさせていただきます」
アビゲイルが力強く答えてくれる。
もう彼女達は、俺の家臣と言ってもいい存在となった。
寡婦や孤児と考えてしまうと、王都に新しく作った孤児院と被ってしまう。
俺の心中でだけで考えるなら好いが、これから誰かに説明したり、指示したりする場合に重大な間違い、勘違いを生んでしまうかもしれない。
だから、アビゲイル達をリアルトの家臣と考え呼ぶ事にした。
「テレポート」
「大魔術師様、伏してお願いいたします!」
魔境都市ロアノークの元貴族や館に行くと、正門だった場所の外側から大声が聞こえて来た。
「「「「「モォオオオオオ、モォオオオオオ、モォオオオオオ」」」」」
「「「「「ブゥウウウウウ、ブゥウウウウウ、ブゥウウウウウ」」」」」
元売春街に魔境の草食魔獣、双角野牛と連角突犀が闊歩する。
元売春街の外側、飲食街との境目になっている通路には防御力の高い連角突犀、元売春街の内側にある通路には双角野牛が闊歩している。
売春宿の主人や手下達をぶち殺し、賄賂を貰って出動してきた王都警備隊を追い返したので、最悪の場合は王国軍が出張って来る。
勝つだけなら簡単だが、勝った後の事を考えないといけない。
売春街で殺されかけていた女子供のような人をこれ以上ださないように、新しい国にすると決めた以上、今からその心算で戦わないといけない。
「いい、こ、いい、こ、ネイの、ともだち、いいこ、いい、こ、ネイの、ともだち」
俺が魔境で集めた餌、野草を食べている双角野牛を、ネイが撫でてスキンシップしている、実にうれしそうだ。
王都に強力な魔獣を連れてきたのはいいが、十分な食事を与え適度な運動をさせないと病気になってしまう。
「院長? 全部食べて好いのですか?」
助けた女子供に孤児院の院長と名乗ったが、信じられないようだ。
彼女達が安心できるように戦う姿を見せたが、鬼神のような戦い方が、孤児院の院長と繋がらないのだろう。
「構わないと、みんなろくなものを食べていなかったのだろう?
痩せ細っているから、しっかり食べて健康な身体になるんだ。
魔術で病気や怪我は治したが、治すのにも体力が必要だ。
治した怪我は、自分の血や肉を使って元通りにしている。
しっかり食べて、使った血肉を補充しなさい」
「「「「「……はい……」」」」」
「俺の言ったことが分からなくて良い、お腹一杯食べなさい」
「「「「「はい!」」」」」
俺は売春街の通りでバーベキューを始めた。
まだ誰が何をできるのか全く分からないので、俺自ら安い鳥肉と魔獣肉を焼く。
この世界には箸がないので、アルミ製のトングを使って焼く。
「「「「「おいしい!」」」」」
直ぐに焼けるように、鳥肉と魔獣肉は薄く切ってある。
火の通り難い鳥肉は、金網ではなく鉄板で焼いている。
焼き上がった肉を食べた子供達が歓声をあげる。
この世界にはトングもないのだが、箸よりは使いやすいようで、子供だけでなく女も嬉しそうに使っている。
世話好きで心優しい女は、焼けた肉を木皿に取って子供達に渡している。
母親のような女に甘えて取ってもらう子供もいれば、トングを使うのが楽しくて、自分で肉を取っては食べる子供もいる。
温かい季節なので、生肉を常温で放置していると危険だ。
清浄水と氷と木樽をだして肉を放り込み、何時でも好きな時に好きなだけ肉を焼いて食べられるようにした。
「おいしい! みずもおいしい!」
「ほんとうだ!」
「俺にも飲ませてくれ!」
「ほんとうだわ、水がこんなに美味しいなんて!」
王都の水は基本汚くて、前世日本の人間だったら、煮沸して飲んでもお腹をこわしてしまう確率が高い。
王都の民は長年飲んでいるので、体力が低下していなければ腹を壊さない。
いや、腹を壊すような人間は、幼い内に死んでしまっている。
生き残って大人になった人間は、胃腸が強いのだ。
そんな、とてもきれいと言えない水を飲み続けた女子供には、魔術で空気から作った清浄な水は、思わず声が出るほど美味しいようだ。
そんな女子供には、異世界間スーパーで買った牛乳やソフトドリンクを飲ませてあげたくなるのだが、彼女達が努力しても手に入らないので、出さなかった。
自分の魔力で魔術陣を起動させたら飲める清浄水なら、努力すれば今後も飲めるので、清浄水だけを作って木樽に入れておいてやる。
「疲れたので少し寝ます、皆さんはこのまま食べられるだけ食べてください。
腐れ外道や王都の警備隊が襲ってくるかもしれませんので、外周部には出ないでください、この通りと通りに面した家にだけいてください」
「「「「「はい!」」」」」
とてもいい返事だった、女子供も、元の主人や王都の警備隊が怖いのだ。
魔境の魔獣が守ってくれると俺が言っても、普通は信じられない。
俺の言う通りに、魔獣が外周部を見廻ってくれていても、信じ切れないのだ。
そんな不安を抱えた女子供だから、できるだけ中心部に集まろうとする。
俺がバーベキューをする場所にした売春街の通りは、売春街の中心にある。
敵が襲って来る場合は、必ず1つ以上の通りを渡らないといけない。
その通りには、王家の騎士でも全く歯が立たない、魔境の猛獣がいる。
女子供は、魔獣が自分達を守ってくれるとは信じられないが、魔獣が目にした人間を襲うのは常識なので、魔獣のいる通りより内側に集まっている。
それと、疲れたから眠ると言うのは嘘だ。
やらなければいけない事が多過ぎるのだ。
どうしても女子供の相手をしてあげられない時間がある。
「テレポート」
魔境の隠れ家、魔境都市ロアノークの元貴族館、魔境都市リアルトの3ケ所で放し飼いにしている魔獣に餌をあげて、スキンシップしなければいけない。
魔獣を割り切って使える俺には意味のない事なのだが、ネイには必要なのだ。
まだ俺にしか心を許していないネイには、最悪の事態が起きた時の為に、心を通わせた存在が、魔獣でも良いから必要だと思う。
「テレポート」
魔境都市ロアノークでの餌やりが終わったら、王都の孤児院に瞬間移動する。
何時ものように、抱っこ紐でネイを胸に抱いて瞬間移動する。
「寝過ごしてしまった、何か問題はなかったかい?」
「何も問題ありませんでした」
王都孤児院の世話役の1人が報告してくれる。
俺が売春街で戦っている間に朝となり、予定通り解体した鳥と小動物、料理した焼鳥と焼肉の販売を行っていた。
孤児院の女子供を守る事を最優先に考えれば、販売は休止すべきだ。
だが、孤児院での食料販売、労働を対価にした食料の提供を休止したら、多数の人が飢えに苦しみ、最悪餓死者が出かねなかった。
それに、孤児院に深夜の強襲を仕掛けてきた腐れ外道共は、親分も含めて全員ぶち殺してやったので、同じ組織を使っての襲撃は不可能となっている。
何より、俺が襲撃壊滅させた売春街は王都の北側にあり、前宰相のジェームズ・アンダーソン侯爵のお膝元になる。
ジェームズが王城の北塔に幽閉されたままで、アンダーソン侯爵家は良識派貴族だけでなく、元は自派閥だった貴族家とも戦争状態となっている。
これ以上孤児院程度に戦力を投入できるとは思えなかった。
だから、絶対に安全とは言い切れなかったが、販売をさせたのだ。
「よくやってくれた、この後も困っている人の為に販売を続けてくれ」
「はい、やらせていただきます」
「私は部屋に籠って商売の書類を確認してくる、任せたよ」
「はい、御任せ下さい」
孤児院の私室に籠る言い訳をして、1度私室に戻ってから、大切な人達を住ませている魔境都市リアルトに向かう。
「テレポート」
リアルトにいる寡婦や孤児には瞬間移動を見られても大丈夫なので、女子供が居る居間や食堂に直接瞬間移動する。
「何か問題はなかったか?」
魔境都市リアルトに移住して、心から安心する事ができたロアノーク出身の寡婦や孤児に、心配事がないか確かめる。
「何も問題はありません、平穏無事な夜を過ごさせていただきました。
これが、御主人様がもどられるまでに解体した鳥と小動物になります。
こちらが料理して魔法袋に保存しておいた鳥と小動物になります」
アビゲイルが報告してくれる。
「ありがとう、みんなが食べる分を除いて持って行く。
王都には餓死しそうな人がたくさんいる。
今日もたくさん解体と料理をして欲しい」
「お任せください、できる限りの解体と料理をさせていただきます」
アビゲイルが力強く答えてくれる。
もう彼女達は、俺の家臣と言ってもいい存在となった。
寡婦や孤児と考えてしまうと、王都に新しく作った孤児院と被ってしまう。
俺の心中でだけで考えるなら好いが、これから誰かに説明したり、指示したりする場合に重大な間違い、勘違いを生んでしまうかもしれない。
だから、アビゲイル達をリアルトの家臣と考え呼ぶ事にした。
「テレポート」
「大魔術師様、伏してお願いいたします!」
魔境都市ロアノークの元貴族や館に行くと、正門だった場所の外側から大声が聞こえて来た。
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