2 / 7
第一章
第2話:シャリーフ王太子殿下
しおりを挟む
「転校生の紹介をする。
ネーデル王国からやって来た、ルクセン公爵家令嬢のセシル嬢だ。
急な入学となったから、色々と分からない事があると思う。
みんな親切にするように。
シャリーフ殿、貴公にとっては自国家臣の令嬢だ。
特に親切にしなければ、貴公子の面目にかかわるぞ」
あら、困りましたね、シャリーフ王太子殿下と同じクラスになるとは思っていませんでした。
殿下は長年こちらに留学されているので、急な入学になった私とは学力が違い過ぎると思ったのですが、どうなっているのでしょうか?
本気で試験を受けずに、適当に間違えればよかったのかもしれませんが、それでは合格できないか可能性もありましたから、これは仕方がない事と諦めましょう。
本当は孤独な読書生活に耽溺したかったのですが……
「セシル嬢、学院内を案内するからついてきなさい」
「はい、シャリーフ王太子殿下」
「ああ、ここでは敬称はある程度省略するのが暗黙の了解になっている。
古の魔力量絶対主義の影響なのか、それとも魔法を探求する者に身分の上下はないという考えなのかは分からないが、令嬢は家名と爵位を省いて嬢、令息は家名と爵位を省いて殿をつける。
だから私の事はシャリーフ殿と呼ぶように」
「承りました、シャリーフ殿」
私がそう返事をすると、殿下は上機嫌になって、案内してくれます。
長年学院で勉強されているので、こちらのやり方の方が気楽なのでしょう。
国内にいると、どうしても主君と家臣の関係に縛られます。
ですが学院では、完全に同格の王族もいれば、指導者の魔導師もいます。
利害の絡まない漢気のある遠国の貴族が相手なら、友情すら育めるでしょう。
殿下にとって学院は理想郷なのかもしれません。
「ここが一番世話になるかもしれない食堂だ。
独りで食べたい者や、食堂の料理が口に合わない者は、寮や借りている家に戻って食べている」
なるほど、確かに貴族なら眉を顰めるマナーのなっていない生徒も多いですから、食堂で食べるのが苦痛という人も多いでしょう。
まあ、私もあまり酷い食べ方の人と一緒に食べるのは嫌ですが、前世ではクチャクチャ喰いの上司と一緒の食べるのも我慢できましたから、ここでも少々のマナー違反は我慢はできるでしょう。
「シャリーフ殿はどうされているのですか?」
「私か、私は基本食堂で食べる事にしている。
いちいち借りている屋敷に戻っていると、研究の時間が少なくなってしまうからな、マナーが悪いなど研究に比べれば些細な事だ。
師事する魔導師殿の中には、とんでもないご仁もいるからな」
殿下は結構付き合い易い人のようですね、安心しました。
ネーデル王国からやって来た、ルクセン公爵家令嬢のセシル嬢だ。
急な入学となったから、色々と分からない事があると思う。
みんな親切にするように。
シャリーフ殿、貴公にとっては自国家臣の令嬢だ。
特に親切にしなければ、貴公子の面目にかかわるぞ」
あら、困りましたね、シャリーフ王太子殿下と同じクラスになるとは思っていませんでした。
殿下は長年こちらに留学されているので、急な入学になった私とは学力が違い過ぎると思ったのですが、どうなっているのでしょうか?
本気で試験を受けずに、適当に間違えればよかったのかもしれませんが、それでは合格できないか可能性もありましたから、これは仕方がない事と諦めましょう。
本当は孤独な読書生活に耽溺したかったのですが……
「セシル嬢、学院内を案内するからついてきなさい」
「はい、シャリーフ王太子殿下」
「ああ、ここでは敬称はある程度省略するのが暗黙の了解になっている。
古の魔力量絶対主義の影響なのか、それとも魔法を探求する者に身分の上下はないという考えなのかは分からないが、令嬢は家名と爵位を省いて嬢、令息は家名と爵位を省いて殿をつける。
だから私の事はシャリーフ殿と呼ぶように」
「承りました、シャリーフ殿」
私がそう返事をすると、殿下は上機嫌になって、案内してくれます。
長年学院で勉強されているので、こちらのやり方の方が気楽なのでしょう。
国内にいると、どうしても主君と家臣の関係に縛られます。
ですが学院では、完全に同格の王族もいれば、指導者の魔導師もいます。
利害の絡まない漢気のある遠国の貴族が相手なら、友情すら育めるでしょう。
殿下にとって学院は理想郷なのかもしれません。
「ここが一番世話になるかもしれない食堂だ。
独りで食べたい者や、食堂の料理が口に合わない者は、寮や借りている家に戻って食べている」
なるほど、確かに貴族なら眉を顰めるマナーのなっていない生徒も多いですから、食堂で食べるのが苦痛という人も多いでしょう。
まあ、私もあまり酷い食べ方の人と一緒に食べるのは嫌ですが、前世ではクチャクチャ喰いの上司と一緒の食べるのも我慢できましたから、ここでも少々のマナー違反は我慢はできるでしょう。
「シャリーフ殿はどうされているのですか?」
「私か、私は基本食堂で食べる事にしている。
いちいち借りている屋敷に戻っていると、研究の時間が少なくなってしまうからな、マナーが悪いなど研究に比べれば些細な事だ。
師事する魔導師殿の中には、とんでもないご仁もいるからな」
殿下は結構付き合い易い人のようですね、安心しました。
15
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
さよなら初恋。私をふったあなたが、後悔するまで
ミカン♬
恋愛
2025.10.11ホットランキング1位になりました。夢のようでとても嬉しいです!
読んでくださって、本当にありがとうございました😊
前世の記憶を持つオーレリアは可愛いものが大好き。
婚約者(内定)のメルキオは子供の頃結婚を約束した相手。彼は可愛い男の子でオーレリアの初恋の人だった。
一方メルキオの初恋の相手はオーレリアの従姉妹であるティオラ。ずっとオーレリアを悩ませる種だったのだが1年前に侯爵家の令息と婚約を果たし、オーレリアは安心していたのだが……
ティオラは婚約を解消されて、再びオーレリア達の仲に割り込んできた。
★補足:ティオラは王都の学園に通うため、祖父が預かっている孫。養子ではありません。
★補足:全ての嫡出子が爵位を受け継ぎ、次男でも爵位を名乗れる、緩い世界です。
2万字程度。なろう様にも投稿しています。
オーレリア・マイケント 伯爵令嬢(ヒロイン)
レイン・ダーナン 男爵令嬢(親友)
ティオラ (ヒロインの従姉妹)
メルキオ・サーカズ 伯爵令息(ヒロインの恋人)
マーキス・ガルシオ 侯爵令息(ティオラの元婚約者)
ジークス・ガルシオ 侯爵令息(マーキスの兄)
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
今、婚約破棄宣言した2人に聞きたいことがある!
白雪なこ
恋愛
学園の卒業と成人を祝うパーティ会場に響く、婚約破棄宣言。
婚約破棄された貴族令嬢は現れないが、代わりにパーティの主催者が、婚約破棄を宣言した貴族令息とその恋人という当事者の2名と話をし出した。
悪役令嬢と呼ばれた彼女の本音は、婚約者だけが知っている
当麻月菜
恋愛
『昔のことは許してあげる。だから、どうぞ気軽に参加してね』
そんなことが書かれたお茶会の招待状を受け取ってしまった男爵令嬢のルシータのテンションは地の底に落ちていた。
実はルシータは、不本意ながら学園生活中に悪役令嬢というレッテルを貼られてしまい、卒業後も社交界に馴染むことができず、引きこもりの生活を送っている。
ちなみに率先してルシータを悪役令嬢呼ばわりしていたのは、招待状の送り主───アスティリアだったりもする。
もちろん不参加一択と心に決めるルシータだったけれど、婚約者のレオナードは今回に限ってやたらと参加を強く勧めてきて……。
※他のサイトにも重複投稿しています。でも、こちらが先行投稿です。
※たくさんのコメントありがとうございます!でも返信が遅くなって申し訳ありません(><)全て目を通しております。ゆっくり返信していきますので、気長に待ってもらえたら嬉しかったりします。
私の婚約者でも無いのに、婚約破棄とか何事ですか?
狼狼3
恋愛
「お前のような冷たくて愛想の無い女などと結婚出来るものか。もうお前とは絶交……そして、婚約破棄だ。じゃあな、グラッセマロン。」
「いやいや。私もう結婚してますし、貴方誰ですか?」
「俺を知らないだと………?冗談はよしてくれ。お前の愛するカーナトリエだぞ?」
「知らないですよ。……もしかして、夫の友達ですか?夫が帰ってくるまで家使いますか?……」
「だから、お前の夫が俺だって──」
少しずつ日差しが強くなっている頃。
昼食を作ろうと材料を買いに行こうとしたら、婚約者と名乗る人が居ました。
……誰コイツ。
悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。
三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。
何度も断罪を回避しようとしたのに!
では、こんな国など出ていきます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる