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第一章
第4話:意気投合
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「セシル嬢、今から研究室に行くのだが、君も来ないかい?」
この一カ月で親しくなった、平民出身の下級生達と食事をしていると、シャリーフ王太子殿下が話しかけてきました。
ここ最近熱心に研究されている、転移魔法の改良を一緒にやろうと誘ってくださっているのでしょう。
確かに転移魔法の研究は面白いですが、今日は他にやりたい事があるのです。
「せっかくの御誘いですが、今日は創作に時間を使いたいのです。
創作のアイデアに行き詰まったら、気晴らしに行かせていただきますが、今日はいい話が書けそうなので、多分行かないと思います」
「そうか、なんでも勢いのある時に進めた方がいいからな。
いい物語が書けるといいな、では私はこれで失礼するよ」
「シャリーフ殿、ちゃんと食事はとられたのですか?
時間がないのも熱中するのも分かりますが、せめてサンドイッチとジュースを購入されて、研究室に持って行ってください。
集中から覚めた時に、食堂が閉まっていては大変です。
侍従や侍女に負担をかけることになりますよ」
「分かった、助言に従って多めにサンドイッチとジュースを買って行くよ」
この一カ月で、シャリーフ王太子殿下とも随分と親しくなりました。
君臣の隔たりが完全になくなった訳ではありませんが、ある程度は身分を気にせずに軽口を叩きあえる関係にはなれました。
性が合うというのか、馬が合うというのか、趣味嗜好が一緒のようです。
殿下が熱中されている、細かい魔術文字を幾何学的に組み合わせて創り上げる魔法陣は、私も興味があります。
「あの、セシル嬢、本当に行かなくてもよろしいのですか。
シャリーフ殿はセシル嬢のお国の王太子殿下なのでしょ?」
一緒に食事をしていた下級生の一人が心配してくれています。
下級生とはいっても、私よりも年上です。
彼女達は、家にいた時もここに来てからも、精一杯努力して学力をつけました。
でも私には前世の記憶と知識があるので、編入試験で一気に彼女達を追い抜き、上級クラスになりました。
ズルをしたようで、少々気が引けてしまいます。
「シャリーフ殿は、ここのやり方が気に入っておられるようで、身分を取り払って交友するのが大好きなのです。
今くらい正直に話した方が、むしろ喜んでいただけるのですよ
ただ私も最後の一線は超えないように気をつけていますから、大丈夫です」
「まあ、そのような方が王太子殿下におられるなんて、とても羨ましいです」
彼女が心底羨ましそうに口にしました。
恐らく彼女の国の王侯貴族は、学院のしきたりを無視して、平民や下級貴族に無理難題を押し付けてくるのでしょう。
今度この子を困らせるようなら、少し懲らしめてやりましょうか?
この一カ月で親しくなった、平民出身の下級生達と食事をしていると、シャリーフ王太子殿下が話しかけてきました。
ここ最近熱心に研究されている、転移魔法の改良を一緒にやろうと誘ってくださっているのでしょう。
確かに転移魔法の研究は面白いですが、今日は他にやりたい事があるのです。
「せっかくの御誘いですが、今日は創作に時間を使いたいのです。
創作のアイデアに行き詰まったら、気晴らしに行かせていただきますが、今日はいい話が書けそうなので、多分行かないと思います」
「そうか、なんでも勢いのある時に進めた方がいいからな。
いい物語が書けるといいな、では私はこれで失礼するよ」
「シャリーフ殿、ちゃんと食事はとられたのですか?
時間がないのも熱中するのも分かりますが、せめてサンドイッチとジュースを購入されて、研究室に持って行ってください。
集中から覚めた時に、食堂が閉まっていては大変です。
侍従や侍女に負担をかけることになりますよ」
「分かった、助言に従って多めにサンドイッチとジュースを買って行くよ」
この一カ月で、シャリーフ王太子殿下とも随分と親しくなりました。
君臣の隔たりが完全になくなった訳ではありませんが、ある程度は身分を気にせずに軽口を叩きあえる関係にはなれました。
性が合うというのか、馬が合うというのか、趣味嗜好が一緒のようです。
殿下が熱中されている、細かい魔術文字を幾何学的に組み合わせて創り上げる魔法陣は、私も興味があります。
「あの、セシル嬢、本当に行かなくてもよろしいのですか。
シャリーフ殿はセシル嬢のお国の王太子殿下なのでしょ?」
一緒に食事をしていた下級生の一人が心配してくれています。
下級生とはいっても、私よりも年上です。
彼女達は、家にいた時もここに来てからも、精一杯努力して学力をつけました。
でも私には前世の記憶と知識があるので、編入試験で一気に彼女達を追い抜き、上級クラスになりました。
ズルをしたようで、少々気が引けてしまいます。
「シャリーフ殿は、ここのやり方が気に入っておられるようで、身分を取り払って交友するのが大好きなのです。
今くらい正直に話した方が、むしろ喜んでいただけるのですよ
ただ私も最後の一線は超えないように気をつけていますから、大丈夫です」
「まあ、そのような方が王太子殿下におられるなんて、とても羨ましいです」
彼女が心底羨ましそうに口にしました。
恐らく彼女の国の王侯貴族は、学院のしきたりを無視して、平民や下級貴族に無理難題を押し付けてくるのでしょう。
今度この子を困らせるようなら、少し懲らしめてやりましょうか?
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