愛孫と婚約破棄して性奴隷にするだと?!

克全

文字の大きさ
47 / 48
第一章

第46話:実験狂

しおりを挟む
神暦3103年王国暦255年8月8日9時:ジャクスティン視点

 ミアは元女性だったからかもしれないが、想像以上に永遠の若さに喰いついた。
 若返りの秘術を教えてもらうためなら、どのような実験にも付き合うと言った。
 ジェネシスも愛するミアが永遠の若さを手に入れる事には賛成だった。

 二人以外に必要なのは、アルファの性質を持つオメガだった。
 オメガは全人口の一パーセントだから、結構少ないが全くいない訳ではない。
 特に力のあるアルファの元にはそれなりの人数がいる。

 俺様のハーレムにいるオメガだけでなく、セイントとオリビアのハーレムにいるオメガにも協力してもらわなければいけない。

 だがそんな事を無断でやったら、親子で殺し合いが勃発するほどの無礼になる。
 親兄弟であろうと、公王と家臣であろうと、払わなければいけない礼儀がある。
 遠隔地の村や街の支配と統治をしている二人に、急いで伝話魔術を使った。

「セイント、オリビア。
 俺様が、オメガになったジェネシスに、アルファの性質を持たせる実験をしていた事は知っているな」

「はい、父上」

 長男であるジェネシスがオメガ落ちした事は、セイントにも色々な想いがあったようで、返事が短く元気もない。

「ある程度成功されたと聞いていましたが、新たな展開があったのですか?」

 俺に比べれば若くて遠慮のないオリビアは興味津々だ。

「実験は大成功だった。
 アルファの性質を持ったジェネシスは、ミアを妊娠させた」

「本当ですか、オメガがアルファを妊娠させたのですか?!」

 普段冷静沈着なセイントが、喜びの余り興奮を抑えられないでいる。
 それくらいジェネシスの事で心を痛めていたのだろう。
 ここは全てを説明して安心させた方が良い。

「ミアと二人きりにさせて、互いの気持ちを打ち明けさせた。
 そのお陰で誤解が解けて相思相愛になった。
 なんと、史上初めて互いの首に番の印を刻み合うカップルとなった」

「なんと?!」
「なんですって?!」

「しかもジェネシスがミアを妊娠させただけでなく、ミアもジェネシスを妊娠させるという快挙を成し遂げた」

「「なんですと?!」」

「二人の子供がどんな性質を持って生まれてくるのか、俺様でも予測がつかない。
 最良の結果は、百パーセントの確率でアルファとして生まれて来る事だ。
 最悪の結果は、成人式でベータにしかならない事だ。
 確かめるには同じ条件で実験を繰り返すしかない」

「父上、二人を亜空間に閉じ込めて子作りに専念させると申されるのですか?」

 俺の実験好きを知っているセイントが呆れたような声で聞いてくる。

「その程度の実験で人間の未来を占えるか!
 全てのオメガをアルファ化させて、どのような結果になるのか確かめるのだ!」

「父上、互いの首の番の印を残せるのは、一対の夫婦だけです」

「そのような事は分かっている。
 比較実験をするのだから、番の印を付け合った夫婦だけでなく、片方にだけ印を付けたカップルや、印を付けなかったカップルでも実験をするのだ!」

「……私やオリビアにも実験に協力しろと言われるのですね?」

「ジェネシスとミアにはオメガの性奴隷がいない。
 幾ら人類に寄与する実験とはいえ、せっかく相思相愛に成ったのに、夫婦仲に亀裂を走らせるような実験は強制できない。
 二人に協力してもらうのが一番だ」

「……ジェネシスの幸せを考慮してくださったのは、父上にしては周りに配慮してくださっていますが、できれば私達にも配慮してもらいたかったです」

「上に立つ者には人類のために働く義務がある。
 アルファの数を増やす事は、他の全てに優先する事だ。
 それくらいは二人もわきまえているだろう!」

「分かりました、分かりました、こちらの事は家臣に任せて急ぎ戻ります」

「私も戻らなければいけませんか?
 私には一人しかオメガ性奴隷がいませんが?」

「絶対に戻ってもらわなければいけない。
 互いの首に番の印を付けた実験は、アルファ一人につき一つしかできない。
 普通にアルファの性質を持ったオメガを妊娠させるのとは比較にならない」

「分かりました、分かりました、私も戻りますよ、戻ればいいのでしょう」

「不服を言うな、愚か者!
 俺様だって大嫌いな事を我慢して実験に参加するのだ!
 誰が好き好んで男性器を持つオメガ男を抱きたいものか!」

「そうでしたね、父上はオメガを抱くのが苦手でしたね。
 私が生まれてからは、ベータの女しか抱かれていませんでしたね。
 そういえば、父上のハーレムには年配のオメガしかいないのではありませんか?」

 俺様の性分を思い出したセイントが本気で心配してくれている。
 息子に心配されると言うのは、こそばゆいような、何とも言えない感じだ。
 これが父親の幸せと言うのだろうか?

「その点は大丈夫だ。
 俺様が若返りの秘術を開発した事は覚えているだろう?
 教えるのに結構な時間がかかるが、時の流れを早めた亜空間なら何の問題もない。
 じっくりと鍛えて、年老いたオメガであろうと若さと強さを与えてやる」

「最近の父上は規格外過ぎてついて行けません。
 以前の父上も近寄り難い強さがありましたが、ジェネシスがオメガ落ちしてからの父上は、アルファ離れした強さと賢さがあります」

 流石俺様の息子だな、真実など何も知らないはずなのに、俺様が前世の記憶を取り戻した時期をぴたりと言い当てる。
 まあ、自分でも自重など考えもせずに好き放題やったと思う。

「ふん、当然であろう。
 愛しい初孫がオメガ落ちしたのだ。
 婚約者だったミアに性奴隷宣言されたのだ。
 これまでエマ女王に配慮して手加減していたのを止めただけだ」

「……とても嘘臭いですぞ。
 父上が誰かに配慮するなど考えられません。
 それが例えエマ女王であろうとです」

「余計な事を言っていないでさっさと戻ってこい!
 俺様が嘘をついていようがいまいが、やる事に変わりはない。
 アルファの数を増やすための方法を出来るだけ早く見つけるのだ。
 このままでは人間が絶滅してしまうぞ!」

「そんな事は父上に言われなくても分かっています。
 話が決まってから直ぐに、全速でそちらに向かっています」

「あっ、私も直ぐに戻ります」

 この辺がセイントとオリビアの差だな。
 オリビアには話しながら急いで戻ると言う発想がなかったのだ。

「父上、私とオリビアにも若返りの秘術を教えてください。
 人類のためにアルファの数を増やすと申されるのでしたら、亜空間で何度も子供を生み育ててから戻った方が良いのでしょう?」

「そうだな、ジェネシスは百年以上亜空間で鍛錬を重ねて今の強さを手に入れた。
 二人には十分な強さがあるが、まだ後継者に恵まれていない。
 後継者を得られるまで亜空間に留まるのもいいだろう」

「でも父上、永遠の若さを手に入れられるのなら、永遠に生き続けられるのですから、後継者なんて不要ではありませんか?」

「オリビアの言う事も正しい。
 だが何時何処で不慮の死を迎えるか分からないし、突然若返りの術が効果を無くすかもしれないのだ。
 最悪の状態に備えて二人以上の後継者を作っておくのがアルファの義務だ。
 子作りが嫌いで死ぬ気もないと言うのなら、二人子供を作った段階で実験を止めてもかまわない」

「いえ、そのような事を言っているのではありません。
 単に疑問に思っただけで、子供が嫌いな訳でも子作りが嫌な訳でもありません。
 父上が満足されるまで実験に協力させていただきます」

「ジェネシスとミアの子供がアルファとして生まれて来る事を願うのだな。
 そうすれば追加の実験など簡単に済ませられる。
 俺様とセイントで確認すれば十分だ」

「そんな言い方をしなくてもいいではありませんか!
 私だって父上に協力する気はあるのです」

 十八にもなって反抗したり拗ねたり、お前は三つ四つの子供か!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

過労死転生した公務員、魔力がないだけで辺境に追放されたので、忠犬騎士と知識チートでざまぁしながら領地経営はじめます

水凪しおん
BL
過労死した元公務員の俺が転生したのは、魔法と剣が存在する異世界の、どうしようもない貧乏貴族の三男だった。 家族からは能無しと蔑まれ、与えられたのは「ゴミ捨て場」と揶揄される荒れ果てた辺境の領地。これは、事実上の追放だ。 絶望的な状況の中、俺に付き従ったのは、無口で無骨だが、その瞳に確かな忠誠を宿す一人の護衛騎士だけだった。 「大丈夫だ。俺がいる」 彼の言葉を胸に、俺は決意する。公務員として培った知識と経験、そして持ち前のしぶとさで、この最悪な領地を最高の楽園に変えてみせると。 これは、不遇な貴族と忠実な騎士が織りなす、絶望の淵から始まる領地改革ファンタジー。そして、固い絆で結ばれた二人が、やがて王国を揺るがす運命に立ち向かう物語。 無能と罵った家族に、見て見ぬふりをした者たちに、最高の「ざまぁ」をお見舞いしてやろうじゃないか!

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

悪役令息(Ω)に転生したので、破滅を避けてスローライフを目指します。だけどなぜか最強騎士団長(α)の運命の番に認定され、溺愛ルートに突入!

水凪しおん
BL
貧乏男爵家の三男リヒトには秘密があった。 それは、自分が乙女ゲームの「悪役令息」であり、現代日本から転生してきたという記憶だ。 家は没落寸前、自身の立場は断罪エンドへまっしぐら。 そんな破滅フラグを回避するため、前世の知識を活かして領地改革に奮闘するリヒトだったが、彼が生まれ持った「Ω」という性は、否応なく運命の渦へと彼を巻き込んでいく。 ある夜会で出会ったのは、氷のように冷徹で、王国最強と謳われる騎士団長のカイ。 誰もが恐れるαの彼に、なぜかリヒトは興味を持たれてしまう。 「関わってはいけない」――そう思えば思うほど、抗いがたいフェロモンと、カイの不器用な優しさがリヒトの心を揺さぶる。 これは、運命に翻弄される悪役令息が、最強騎士団長の激重な愛に包まれ、やがて国をも動かす存在へと成り上がっていく、甘くて刺激的な溺愛ラブストーリー。

流れる星、どうかお願い

ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる) オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年 高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼 そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ ”要が幸せになりますように” オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ 王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに! 一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが お付き合いください!

【8話完結】いじめられっ子だった俺が、覚醒したら騎士団長に求愛されました

キノア9g
BL
いじめられ続けた僕は、ある日突然、異世界に転移した。 けれど、勇者として歓迎されたのは、僕を苦しめてきた“あいつ”の方。僕は無能と決めつけられ、誰からも相手にされなかった。 そんな僕に手を差し伸べてくれたのは、冷酷と恐れられる騎士団長・ジグルドだった。 なのに、あいつの命令で、僕は彼に嘘の告白をしてしまう――「ジグルドさんのことが、好きなんです」 それが、すべての始まりだった。 あの日から彼は、僕だけをまっすぐ見つめてくる。 僕を守る手は、やさしく、強くて、どこまでも真剣だった。 だけど僕には、まだ知られていない“力”がある。 過去の傷も、偽りの言葉も超えて、彼の隣にいてもいいのだろうか。 これは、いじめられっ子の僕が“愛されること”を知っていく、嘘と覚醒の物語。 全8話。

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

処理中です...