妹に婚約者を寝取られた悪役令嬢の言い分

克全

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8話

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「クラリス!
 貴女は姉ではありませんか!
 許してやる事はできなかったのですか?
 内々で済ましてやる事はできなかったのですか?
 殺さずに修道院に入れることぐらいできたはずです!
 なんて情け知らずなんでしょう!
 そのような人間だから、王太子殿下にもエレノアにも憎まれたのです!
 全部あなたの責任です!
 王太子殿下がエレノアを愛したのも貴女に可愛げがないからで!
 エレノアが王太子殿下に愛されたのも、エレノアが誘惑したからではありません。
 貴女に魅力がないからです!
 ええ、そうですとも!
 全部あなたが悪いのです!」

「やめなさい!
 やめないか!」

 父上が危険を察したようですね。
 私の燃えあがる殺意を感じたのでしょう。
 私は持って行き場のない怒りと哀しみで悶え苦しんでします。
 私は、愚かだったのです。
 両親から愛されていると思い込みたかったのです。

 今でも、ここまで理不尽に罵られた後でも、全然愛されていなかったとは思いませんが、妹のエレノアのようには愛されていなかった……
 たぶん、私がいないところで、両親はエレノアを溺愛していたのでしょう。
 私のように、公爵令嬢に相応しい躾や勉学をさせていなかったのでしょう。
 ただひたすら愛玩動物のように可愛がったのでしょう。

 エレノアがあれほど身勝手で愚かに育ったのは、両親の責任です。
 まあ、今馬脚を露したのは母上だけです。
 ですが、その母上の愚行を見逃していた無能の責任は、父上も逃れられません。
 いえ、政務を取り仕切る父上は有能です。
 将来のために父上の政務を確認している私には分かります。

 なのに、エレノアと母上の事を見逃すわけがないのです。
 一緒になって溺愛したのでしょう。
 激務に耐えるための愚行だったのかもしれませんが、私にとっては最悪です。
 いえ、ファンケン公爵家当主として許されない最低最悪の行いです。
 処分しなければいけません。
 国王陛下に貸しがある間に、時間稼ぎができる間に、処分するのです。

「待て、待ってくれ!
 今回の件は確かに私の落ち度だ!
 公爵家の当主なら、子弟教育に手を抜くことは許されない事だった。
 自分の弱さを紛らわせるために、エレノアを溺愛するのなら、何の権限を与えるべきではなかった。
 反省して改める!
 だから許してくれ!」

「貴男?
 いったい何を言っておられるの?
 公爵家の当主が娘に詫びる必要など、どこにあるのですか?!
 謝るのではなく厳罰に処してください!
 私たちの可愛いエレノアを殺したこの者を、断罪してください!」

 胸が、心が痛い。
 まるで剣で刺し貫かれたよう痛む。
 ドクンドクンと、鼓動に合わせて胸が痛む!
 私は……ファンケン公爵家の令嬢として、決断しなければならない!
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