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第1章
第18話:罠
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老中田沼意次の上屋敷から戻った勝三郎は精力的に動いた。
変装の得意な密偵を水野出羽守の中屋敷に出入りしている商人と入れ替えて、江戸家老や磯部宗次郎に罠を仕掛けた。
「なんだと、中根姉妹が中屋敷を襲うだと?!」
朝早く出入りの商人から江戸に広まっている噂を聞いた、磯部宗次郎と親しい下級藩士が驚きの声をあげた。
「そうなんです、強力な助太刀を得た中根姉妹が、堂々と中屋敷に乗り込んで仇討をするという噂が江戸中に広まってますんで」
「馬鹿を申すな、大名屋敷に押し入っての仇討などできるものか!」
「それができるんですよ、助太刀を約束した御武家様が唯者じゃないんです」
「無理だ、絶対に無理だ、何所の誰であろうと無理だ」
「いえ、いえ、あの家の方々なら、大名が相手でも尻尾を巻いたりしませんや」
「誰だ、何所の誰が助太刀するのだ」
「南町奉行所と火付け盗賊改め方の与力をつとめられる佐久間一族ですよ」
「佐久間一族だと、知らん、何所の誰かと思ったら、たかが与力ではないか」
「旦那は何も御存じないのですか?」
「馬鹿にするとただでは置かんぞ、某が何を知らんというのだ!」
「つい先日、江戸で知らぬ者のない香具師の元締め、智傳院の化三郎を捕らえただけでなく、後ろ盾になっていた増上寺の法主様まで辞めさせた方々ですよ」
「なんだと、あの大事件が佐久間一族の仕業だと言うのか?!」
「旦那は本当に何も知らないのですね、江戸っ子は全員知っていますよ」
「やかましい、それがどうした、どれほどの手柄を立てた与力であろうと、大名屋敷に押し入る事はできん」
「旦那、佐久間一族には徒目付組頭までいるんですよ。
増上寺の境内に押し入って役僧を捕らえ、厳しい拷問を加えた一族ですよ。
町奉行と火付け盗賊改めの御頭を動かして、仇を匿っているから屋敷を改めさせていただきたいと御殿様に申し上げたら、簡単に入れるんじゃありませんか?
あっしは日頃付き合いのある旦那に死んで欲しくないから言っているんですよ」
「……それは、かたじけない、かたじけないが、それでもそんな事が……」
「旦那、旦那の御殿様は、将軍家菩提寺の法主様よりも御偉いのですか?」
「それは……若年寄をつとめられておられるから、法主様よりは……」
「将軍家菩提寺の増上寺法主様を咎めて辞めさせるのと、若年寄様の屋敷を改めさせてもらうのと、どちらの方が簡単だと思われますか?」
「それは……屋敷改めの方が簡単だ……」
「旦那、あっしがこんな話をしたのは黙っていてくださいよ。
佐久間一族が助太刀している仇を逃がしたとなったら……怖い怖い」
急に怖くなったのか、出入りの商人が飛ぶように逃げていった。
その後ろ姿を呆然と見送っていた下級藩士は、急いで磯部宗次郎が隠れ暮らしている中間部屋に向かった。
半刻後、旅装の武士五人が水野出羽守の中屋敷から出てきた。
五人は脇目も振らず西に向かって行った。
何かに追われるように急ぐ五人は、旅慣れた者よりも早足で西に向かう。
「お待ちいただこう、磯部宗次郎殿」
五人の武士が品川宿を素通りして川崎宿まで行こうとしていた時、品川北本宿一丁目の橋の前で誰何された。
「誰だ、佐久間一族か?!」
橋の近くにある寺に隠れて待っていた勝三郎達が、前後左右を封じる。
捕物出役の出で立ちの、与力同心小者を合わせて二十人もが、磯部宗次郎達五人を囲んだので、とてもではないが逃れられない。
「流石裏世界で有名な火付け盗賊、大浜の宗次郎だ、我らの手配りを見抜いたか」
「誰が火付け盗賊だ、そんな事は知らん」
「とぼけても無駄だ、もう調べはついている、神妙にしろ!」
「我らは大浜藩水野家の藩士だ、火付け盗賊改め方如きに捕らえられる謂れはない」
磯部宗次郎と一緒にいた下級藩士が咆えるが……
「藩の国家老を斬って出奔し、仇として狙われている磯部宗次郎を中屋敷に匿った。
表沙汰になれば水野家の面目は丸潰れで、若年寄を罷免されるどころか、再び改易されても可笑しくない罪悪だ。
そのような事に加担するのは、よほどの絆、仲間であるからであろう。
御府内を荒らし回った大浜の宗次郎一味でなければ絶対にやらぬ!」
勝三郎は磯部宗次郎達を火付け盗賊として捕らえる覚悟だった。
磯部宗次郎だけを仇討で殺すのなら、元藩士の浪人として捕らえれば済む。
だが、江戸家老と藩士の半数を殺そうと思えば、並のやり方では不可能だった。
火付け盗賊の一味として捕らえなければ、水野出羽守を黙らせられない。
「おのれ、そのような罠に嵌るか、斬りぬけるぞ!」
「「「「おう!」」」」
もはやこれまでと、五人の藩士が眦を決して斬りかかって来る。
何としてでも大浜領内に逃げ込もうと、火のような勢いで斬りかかって来る。
だが、勝三郎達は悠々と迎え討つ。
火付け盗賊改め方に助っ人として増員される与力や同心は、御先手組でも評判の武辺者ばかりで、並の武士では全く相手にならない。
まして勝三郎が率いている供侍や小者は、元盗賊で数々の修羅場をくぐっている。
闇討ちでしか人を殺せないような卑怯者が、斬り破れる相手ではない。
「盗賊を運ぶ鶤鶏駕籠を問屋場から借りて来い」
五人を叩きのめして縄で縛った後で、勝三郎が小者に命じる。
「お待ちください、この者達は大浜藩水野家の藩士だと名乗っておりました。
それなりの駕籠、せめて辻駕籠を用意すべきなのではありませんか?」
捕物に同行した、本当の火付け盗賊改め方同心が注意した。
「少なくとも一人は、出奔して藩士ではなくなっている。
他の四人も、昨日追放されていた事にしなければ、水野様の面目が立たぬ。
ここで藩士として扱えば、逆に水野様の不興を買う事になるぞ」
「なるほど、分かりました、某が問屋場に行って参ります」
「うむ、任せたぞ、大いに噂を広めてくれ」
「御任せ下さい」
世慣れた同心が急いで品川宿の問屋場に向かった。
火付け盗賊改め方が、大浜の宗次郎一味を捕らえたという噂を広めるのだ。
増上寺の一件で名を揚げた火付け盗賊改め方一同は、火盗に選ばれなかった御先手組の与力同心からは羨ましがられ、町方からは持て囃されて好い気分になっていた。
だがどうせなら、実際の捕物出役に参加した方が自慢になると考えていたのだ。
今回捕物出役に同行した同心が、大浜の宗次郎一味捕縛が、江戸中の評判になって欲しいと思うのは当然だった。
勝三郎達は品川宿でゆっくりと休んだ。
物見高い江戸っ子が、火付け盗賊大浜の宗次郎一味の捕り物を聞き、見物に集まる余裕を与える為に、品川宿の脇本陣百足屋で泊まった。
ただ泊まっただけでなく、厳しい尋問をして宗次郎達を責め立てた。
爪と肉の間に釘を打ち込み、先を蠟燭で炙って地獄の苦しみを味あわせた。
箒尻での笞打や石抱くらいは覚悟していた藩士達だが、釘を打ち込まれた上で焼かれるほどの責め苦は想像もしていなかった。
闇討ちを指示した江戸家老と一味の藩士を全員を白状した。
翌日は脇本陣を遅立ちして江戸に向かった。
しかも、先触れを出して火付け盗賊大浜の宗次郎一味を護送すると言い触らした。
昨日から噂を広めていたので、江戸中で評判となり野次馬が集まった。
当然だが、勝三郎の配下が大浜藩の屋敷にも噂が届くようにした。
宗次郎を匿っていた中屋敷だけでなく、江戸家老の居る上屋敷でも蜂の巣をつついたような大騒動となり、賄賂をもらうしか能のない江戸家老は狼狽の極みだった。
藩主である勝手掛若年寄の水野出羽守は、月番ではなかったが、重要な勝手掛に任じられているのと、月番に関係なく登城して上様の信任を得ている田沼意次を見倣うのもあって、ほぼ毎日登城していた。
「おお、出羽守殿、少々内密で話したい事があるのだが、宜しいかな?」
「はい、何でございましょうか?」
「ここで話すのは憚られるので、下城して某の屋敷で話をしたい、宜しいかな?」
「分かりました、伺わせていただきます」
「では揃って上様に下城の挨拶に参りましょう」
変装の得意な密偵を水野出羽守の中屋敷に出入りしている商人と入れ替えて、江戸家老や磯部宗次郎に罠を仕掛けた。
「なんだと、中根姉妹が中屋敷を襲うだと?!」
朝早く出入りの商人から江戸に広まっている噂を聞いた、磯部宗次郎と親しい下級藩士が驚きの声をあげた。
「そうなんです、強力な助太刀を得た中根姉妹が、堂々と中屋敷に乗り込んで仇討をするという噂が江戸中に広まってますんで」
「馬鹿を申すな、大名屋敷に押し入っての仇討などできるものか!」
「それができるんですよ、助太刀を約束した御武家様が唯者じゃないんです」
「無理だ、絶対に無理だ、何所の誰であろうと無理だ」
「いえ、いえ、あの家の方々なら、大名が相手でも尻尾を巻いたりしませんや」
「誰だ、何所の誰が助太刀するのだ」
「南町奉行所と火付け盗賊改め方の与力をつとめられる佐久間一族ですよ」
「佐久間一族だと、知らん、何所の誰かと思ったら、たかが与力ではないか」
「旦那は何も御存じないのですか?」
「馬鹿にするとただでは置かんぞ、某が何を知らんというのだ!」
「つい先日、江戸で知らぬ者のない香具師の元締め、智傳院の化三郎を捕らえただけでなく、後ろ盾になっていた増上寺の法主様まで辞めさせた方々ですよ」
「なんだと、あの大事件が佐久間一族の仕業だと言うのか?!」
「旦那は本当に何も知らないのですね、江戸っ子は全員知っていますよ」
「やかましい、それがどうした、どれほどの手柄を立てた与力であろうと、大名屋敷に押し入る事はできん」
「旦那、佐久間一族には徒目付組頭までいるんですよ。
増上寺の境内に押し入って役僧を捕らえ、厳しい拷問を加えた一族ですよ。
町奉行と火付け盗賊改めの御頭を動かして、仇を匿っているから屋敷を改めさせていただきたいと御殿様に申し上げたら、簡単に入れるんじゃありませんか?
あっしは日頃付き合いのある旦那に死んで欲しくないから言っているんですよ」
「……それは、かたじけない、かたじけないが、それでもそんな事が……」
「旦那、旦那の御殿様は、将軍家菩提寺の法主様よりも御偉いのですか?」
「それは……若年寄をつとめられておられるから、法主様よりは……」
「将軍家菩提寺の増上寺法主様を咎めて辞めさせるのと、若年寄様の屋敷を改めさせてもらうのと、どちらの方が簡単だと思われますか?」
「それは……屋敷改めの方が簡単だ……」
「旦那、あっしがこんな話をしたのは黙っていてくださいよ。
佐久間一族が助太刀している仇を逃がしたとなったら……怖い怖い」
急に怖くなったのか、出入りの商人が飛ぶように逃げていった。
その後ろ姿を呆然と見送っていた下級藩士は、急いで磯部宗次郎が隠れ暮らしている中間部屋に向かった。
半刻後、旅装の武士五人が水野出羽守の中屋敷から出てきた。
五人は脇目も振らず西に向かって行った。
何かに追われるように急ぐ五人は、旅慣れた者よりも早足で西に向かう。
「お待ちいただこう、磯部宗次郎殿」
五人の武士が品川宿を素通りして川崎宿まで行こうとしていた時、品川北本宿一丁目の橋の前で誰何された。
「誰だ、佐久間一族か?!」
橋の近くにある寺に隠れて待っていた勝三郎達が、前後左右を封じる。
捕物出役の出で立ちの、与力同心小者を合わせて二十人もが、磯部宗次郎達五人を囲んだので、とてもではないが逃れられない。
「流石裏世界で有名な火付け盗賊、大浜の宗次郎だ、我らの手配りを見抜いたか」
「誰が火付け盗賊だ、そんな事は知らん」
「とぼけても無駄だ、もう調べはついている、神妙にしろ!」
「我らは大浜藩水野家の藩士だ、火付け盗賊改め方如きに捕らえられる謂れはない」
磯部宗次郎と一緒にいた下級藩士が咆えるが……
「藩の国家老を斬って出奔し、仇として狙われている磯部宗次郎を中屋敷に匿った。
表沙汰になれば水野家の面目は丸潰れで、若年寄を罷免されるどころか、再び改易されても可笑しくない罪悪だ。
そのような事に加担するのは、よほどの絆、仲間であるからであろう。
御府内を荒らし回った大浜の宗次郎一味でなければ絶対にやらぬ!」
勝三郎は磯部宗次郎達を火付け盗賊として捕らえる覚悟だった。
磯部宗次郎だけを仇討で殺すのなら、元藩士の浪人として捕らえれば済む。
だが、江戸家老と藩士の半数を殺そうと思えば、並のやり方では不可能だった。
火付け盗賊の一味として捕らえなければ、水野出羽守を黙らせられない。
「おのれ、そのような罠に嵌るか、斬りぬけるぞ!」
「「「「おう!」」」」
もはやこれまでと、五人の藩士が眦を決して斬りかかって来る。
何としてでも大浜領内に逃げ込もうと、火のような勢いで斬りかかって来る。
だが、勝三郎達は悠々と迎え討つ。
火付け盗賊改め方に助っ人として増員される与力や同心は、御先手組でも評判の武辺者ばかりで、並の武士では全く相手にならない。
まして勝三郎が率いている供侍や小者は、元盗賊で数々の修羅場をくぐっている。
闇討ちでしか人を殺せないような卑怯者が、斬り破れる相手ではない。
「盗賊を運ぶ鶤鶏駕籠を問屋場から借りて来い」
五人を叩きのめして縄で縛った後で、勝三郎が小者に命じる。
「お待ちください、この者達は大浜藩水野家の藩士だと名乗っておりました。
それなりの駕籠、せめて辻駕籠を用意すべきなのではありませんか?」
捕物に同行した、本当の火付け盗賊改め方同心が注意した。
「少なくとも一人は、出奔して藩士ではなくなっている。
他の四人も、昨日追放されていた事にしなければ、水野様の面目が立たぬ。
ここで藩士として扱えば、逆に水野様の不興を買う事になるぞ」
「なるほど、分かりました、某が問屋場に行って参ります」
「うむ、任せたぞ、大いに噂を広めてくれ」
「御任せ下さい」
世慣れた同心が急いで品川宿の問屋場に向かった。
火付け盗賊改め方が、大浜の宗次郎一味を捕らえたという噂を広めるのだ。
増上寺の一件で名を揚げた火付け盗賊改め方一同は、火盗に選ばれなかった御先手組の与力同心からは羨ましがられ、町方からは持て囃されて好い気分になっていた。
だがどうせなら、実際の捕物出役に参加した方が自慢になると考えていたのだ。
今回捕物出役に同行した同心が、大浜の宗次郎一味捕縛が、江戸中の評判になって欲しいと思うのは当然だった。
勝三郎達は品川宿でゆっくりと休んだ。
物見高い江戸っ子が、火付け盗賊大浜の宗次郎一味の捕り物を聞き、見物に集まる余裕を与える為に、品川宿の脇本陣百足屋で泊まった。
ただ泊まっただけでなく、厳しい尋問をして宗次郎達を責め立てた。
爪と肉の間に釘を打ち込み、先を蠟燭で炙って地獄の苦しみを味あわせた。
箒尻での笞打や石抱くらいは覚悟していた藩士達だが、釘を打ち込まれた上で焼かれるほどの責め苦は想像もしていなかった。
闇討ちを指示した江戸家老と一味の藩士を全員を白状した。
翌日は脇本陣を遅立ちして江戸に向かった。
しかも、先触れを出して火付け盗賊大浜の宗次郎一味を護送すると言い触らした。
昨日から噂を広めていたので、江戸中で評判となり野次馬が集まった。
当然だが、勝三郎の配下が大浜藩の屋敷にも噂が届くようにした。
宗次郎を匿っていた中屋敷だけでなく、江戸家老の居る上屋敷でも蜂の巣をつついたような大騒動となり、賄賂をもらうしか能のない江戸家老は狼狽の極みだった。
藩主である勝手掛若年寄の水野出羽守は、月番ではなかったが、重要な勝手掛に任じられているのと、月番に関係なく登城して上様の信任を得ている田沼意次を見倣うのもあって、ほぼ毎日登城していた。
「おお、出羽守殿、少々内密で話したい事があるのだが、宜しいかな?」
「はい、何でございましょうか?」
「ここで話すのは憚られるので、下城して某の屋敷で話をしたい、宜しいかな?」
「分かりました、伺わせていただきます」
「では揃って上様に下城の挨拶に参りましょう」
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