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第1章
第22話:筆算吟味
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「勝三郎、近々勘定奉行所で筆算吟味を行うから受けよ」
鶴亀姉妹が仇討ち本懐を遂げて三日目、酒と肴と菓子の手土産を持って挨拶に来た勝三郎に向かって、老中田沼意次が言った。
「某は武芸が得意で、筆算の方はひと通りしかやれません」
「嘘を申すな、何所に養子に行っても良いように、武芸百般に加えて四書五経、武経七書に筆算も十分教え込んだと、武太夫から聞いておるぞ」
田沼意次は勝三郎の実父から武芸以外に何ができるかまで聞いていた。
その上で、実力主義の勘定奉行所で行われる筆算吟味を受けろと言う。
「御老中、表向きは実力主義と言われている筆算吟味ですが、実際は違いますよね。
勘定奉行所でお役をもらっている子弟から、優先的に合格させています。
次に御目見え以上の子弟が合格し、御目見え以下は両者を召し抱えても欠員が埋められない時だけ合格になりますよね。
更に申せば、父兄から筆算吟味の内容を聞かされている子弟がいるとか?」
「うむ、勝三郎の申す通りだが、今回それが問題となったのだ。
合格して御役に付いたのはいいが、全く役に立たない者が数多くいたのだ。
勘定奉行所にいる身内は庇っていたのだが、反目している者もいてな。
その者達が大納言様の耳に入るように仕向けたので、大量の処分者が出たのだ」
「それで公平な筆算吟味を行い、大量処分者の穴を埋めるのですか?」
「いや、役に立たない者は処分したが、それ以外は降格に留めた。
今御役についている者を全員処分すると、勘定奉行所が立ち行かない。
大納言様の手前、もう二度と御目見えはさせられないので、勘定以上の者は支配勘定に落として、支配勘定をつとめていた者を勘定以上に格上げした」
「では某が無理に勘定奉行所入りする必要はないでしょう?」
「勝三郎にやってもらいたいのは算盤勘定ではない。
御料巡見使となって天領を見て廻って欲しいのだ」
「御料巡見使でございますか?」
「そうじゃ、勝三郎を始めとした佐久間一族の働きで、御府内の治安が良くなった。
火付け盗賊だけでなく、すりや香具師まで表に出なくなった。
博打場もなくなり、武家地も町方も安心して暮らせるようなった。
だがその分、御府内以外で盗賊や博徒が跳梁跋扈しておる。
香具師や博徒が、御府内から離れて関八州に散らばったのだ。
それを御料巡見使となって取り締まってもらいたいのだ」
徳川幕府には巡検使という御役目がある。
徳川家康が、武家諸法度と一国一城令が守られているのか確かめるために、国廻りを派遣したのが巡検使の始まりだと言われている。
徳川秀忠は、豊後国に配流した甥であり娘婿でもある松平忠直の行状を確かめるために、国目付を派遣している。
徳川家光は、慶長日本図の校訂を表向きの理由に国廻りを派遣しているが、本当の目的は大名の参勤交代路を確認するためだったと言われている。
諸国巡見使として制度が整えられたのは、徳川家綱の代だった。
全大名に領知朱印状を交付して宗門改を義務化し、正しく実施しているか確かめる為だと言って諸国巡見使を導入した。
「御老中は、天領で盗賊や博徒が跳梁跋扈しているのは、道中奉行や勘定奉行所の者が黒幕になっているからだと思われているのですか?」
「そうでなければ好いと思っているが、その場合は勝三郎以外に取り締まれる者がいないと思っている」
「密かに斬ってしまっても良いと申されるのですか?」
「民の害となり、幕府の威信に泥を塗る者は斬り捨てて良い」
「努力はいたしますが、筆算吟味に合格すると約束はできかねます」
「それで良い、だが、勝三郎なら合格すると信じている」
老中の田沼意次にそこまで言われたら、筆算吟味を受けたくないとは言えない。
受けると決めたのなら、最大限努力するのが勝三郎の性分だった。
密偵達に過去の試験問題を調べさせ、対策を立てて勉学に励んだ。
十日後に行われた一次吟味は、これまでの筆算吟味と同じで筆写だった。
大判の美濃紙に十六行の文書を写して、記録に残せる達筆なのかを吟味した。
二次吟味も同じ筆写なので何の問題もなかった。
難しいのは代官を任せられるかの吟味だった。
ちゃんと算術ができるかの吟味が、旗本御家人には難しかった。
「高五十七万三千石を三斗七升俵に直したら何万何千俵になる?」
「年貢米百二拾駄を河岸場まで十四里運送するが、壱里につき駄賃銭十六文かかる、この賃銭はいくらになる」
などといった、代官の実務に必要な問題が出される。
武芸さえできれば好いと甘やかされた旗本では、とても合格できない。
だが、生まれ育った家が優先される番方とは違って、実力で出世できる可能性が僅かでもあるので、筆算吟味があると受験者が殺到する。
三百人以上が参加した筆算吟味、勝三郎自身は合格できると思っていなかった。
「よくぞやり遂げた、合格すると思っていたが、甲種合格一位であったぞ。
推薦した余と出羽守殿も鼻高々であったぞ」
不合格を詫びる心算で田沼家の上屋敷に来た勝三郎は、幕臣の筆算能力の無さに暗澹たる思いを抱いた。
幼い頃の勝三郎が一番努力したのは武芸で、二番目が武経七書だった。
三番目が四書五経で、筆算は最も少ない四番目だった。
筆算を優先しなかったのは、町奉行所与力家に養子に入れると思えなかったから。
一方佐久間武太夫が勝三郎に筆算を学ばせたのは、僅かだが勝三郎に町奉行所与力に婿入りできる可能性があったのと、与力給地の不正を見逃さないためだった。
与力になると、領地を治める実務能力が必要なのだ。
町奉行所与力の給地がある上総と下総では、村名主を代官にしている。
村名主が不正をしないように、古参の与力が給地世話番をしているのだ。
勝三郎が世話番になった時に困らないように、最低限の算術を学ばせた程度なのに甲種一位合格とは、幕臣の能力不足も甚だしい。
「色々とお世話していただき、感謝の言葉もございません」
「うむ、甲種一位合格を祝って祝杯をあげようではないか。
勝三郎が持って来てくれた酒肴で悪いが、大いに飲もうではないか」
「ありがとうございます、相伴させていただきます」
勝三郎が不合格の詫びの心算でに持ってきた、手土産の下り酒と肴が出された。
「余は大和屋太の味醂が一番好きなのだが、奥の者達も大好きでな。
なかなか余には周って来ないのだ、祝杯は山本の老松で上げさせてもらう」
「はい、ありがとうございます」
「肴は勝三郎が自ら作ったという海鼠腸と、料理人に作らせた豆腐田楽で良いか?」
「はい、頂戴いたします」
「以前持って来てくれた唐墨も好きなのだが、海鼠腸も好きでな。
海鼠腸で寝酒を飲むのが最近の楽しみなのだ」
「また作っておりますので、完成したらお持ちいたします」
「うむ、楽しみにしておる」
田沼意次と勝三郎は月を見ながら酒を酌み交わした。
梅雨時で雨が多いのだが、珍しく晴れて美しい月が出ていた。
しばし黙って酒を酌み交わしていたが、田沼意次がぽつりと言った。
「御料巡見使は上様の代替わりの翌年に行われるのが慣例なのだ。
だがそれでは、代替わりまで好き勝手やれてしまう。
今年やれば、今後は不意に行われるかもしれないと思わせられる」
「御意」
「諸国巡見使は正使の使番一名に副使の小姓番士と書院番士が一名ずつで大名領を見て廻るのだが、御料巡見使は勘定奉行所の勘定一名を正使として、支配勘定と徒目付一名ずつを副使として御料地を見て廻るのだ」
「御意」
「今の話を聞いて、勝三郎は義父を向かわせればよかったのにと思ったであろう」
「はい、少々思いました」
「余もそれを考えなかったわっけではないが、甚左衛門を派遣している間に、また旗本御家人達が悪さをしないか不安になったのだ。
今は大人しくしているが、何時また博打に走る幕臣が現れるか分からん」
「博打は不治の病と言われるほど止められないと、町方の者達は申しております」
「うむ、徒目付組頭の甚左衛門を御府内に残したら、勝三郎の配下が手を貸せば、幕臣が再び博打を始めたとしても、直ぐに取り締まれるであろう?」
「御意、実父配下の密偵達が集めた噂を義父に伝えるように命じます」
「うむ、手配りは頼んだぞ。
御料巡見使だが、御府内を離れて十分な働きをするには、多くの密偵が必要であろう、必要な費えは全部申せ、幕府の勝手向きから渡す」
「有難き幸せでございます」
鶴亀姉妹が仇討ち本懐を遂げて三日目、酒と肴と菓子の手土産を持って挨拶に来た勝三郎に向かって、老中田沼意次が言った。
「某は武芸が得意で、筆算の方はひと通りしかやれません」
「嘘を申すな、何所に養子に行っても良いように、武芸百般に加えて四書五経、武経七書に筆算も十分教え込んだと、武太夫から聞いておるぞ」
田沼意次は勝三郎の実父から武芸以外に何ができるかまで聞いていた。
その上で、実力主義の勘定奉行所で行われる筆算吟味を受けろと言う。
「御老中、表向きは実力主義と言われている筆算吟味ですが、実際は違いますよね。
勘定奉行所でお役をもらっている子弟から、優先的に合格させています。
次に御目見え以上の子弟が合格し、御目見え以下は両者を召し抱えても欠員が埋められない時だけ合格になりますよね。
更に申せば、父兄から筆算吟味の内容を聞かされている子弟がいるとか?」
「うむ、勝三郎の申す通りだが、今回それが問題となったのだ。
合格して御役に付いたのはいいが、全く役に立たない者が数多くいたのだ。
勘定奉行所にいる身内は庇っていたのだが、反目している者もいてな。
その者達が大納言様の耳に入るように仕向けたので、大量の処分者が出たのだ」
「それで公平な筆算吟味を行い、大量処分者の穴を埋めるのですか?」
「いや、役に立たない者は処分したが、それ以外は降格に留めた。
今御役についている者を全員処分すると、勘定奉行所が立ち行かない。
大納言様の手前、もう二度と御目見えはさせられないので、勘定以上の者は支配勘定に落として、支配勘定をつとめていた者を勘定以上に格上げした」
「では某が無理に勘定奉行所入りする必要はないでしょう?」
「勝三郎にやってもらいたいのは算盤勘定ではない。
御料巡見使となって天領を見て廻って欲しいのだ」
「御料巡見使でございますか?」
「そうじゃ、勝三郎を始めとした佐久間一族の働きで、御府内の治安が良くなった。
火付け盗賊だけでなく、すりや香具師まで表に出なくなった。
博打場もなくなり、武家地も町方も安心して暮らせるようなった。
だがその分、御府内以外で盗賊や博徒が跳梁跋扈しておる。
香具師や博徒が、御府内から離れて関八州に散らばったのだ。
それを御料巡見使となって取り締まってもらいたいのだ」
徳川幕府には巡検使という御役目がある。
徳川家康が、武家諸法度と一国一城令が守られているのか確かめるために、国廻りを派遣したのが巡検使の始まりだと言われている。
徳川秀忠は、豊後国に配流した甥であり娘婿でもある松平忠直の行状を確かめるために、国目付を派遣している。
徳川家光は、慶長日本図の校訂を表向きの理由に国廻りを派遣しているが、本当の目的は大名の参勤交代路を確認するためだったと言われている。
諸国巡見使として制度が整えられたのは、徳川家綱の代だった。
全大名に領知朱印状を交付して宗門改を義務化し、正しく実施しているか確かめる為だと言って諸国巡見使を導入した。
「御老中は、天領で盗賊や博徒が跳梁跋扈しているのは、道中奉行や勘定奉行所の者が黒幕になっているからだと思われているのですか?」
「そうでなければ好いと思っているが、その場合は勝三郎以外に取り締まれる者がいないと思っている」
「密かに斬ってしまっても良いと申されるのですか?」
「民の害となり、幕府の威信に泥を塗る者は斬り捨てて良い」
「努力はいたしますが、筆算吟味に合格すると約束はできかねます」
「それで良い、だが、勝三郎なら合格すると信じている」
老中の田沼意次にそこまで言われたら、筆算吟味を受けたくないとは言えない。
受けると決めたのなら、最大限努力するのが勝三郎の性分だった。
密偵達に過去の試験問題を調べさせ、対策を立てて勉学に励んだ。
十日後に行われた一次吟味は、これまでの筆算吟味と同じで筆写だった。
大判の美濃紙に十六行の文書を写して、記録に残せる達筆なのかを吟味した。
二次吟味も同じ筆写なので何の問題もなかった。
難しいのは代官を任せられるかの吟味だった。
ちゃんと算術ができるかの吟味が、旗本御家人には難しかった。
「高五十七万三千石を三斗七升俵に直したら何万何千俵になる?」
「年貢米百二拾駄を河岸場まで十四里運送するが、壱里につき駄賃銭十六文かかる、この賃銭はいくらになる」
などといった、代官の実務に必要な問題が出される。
武芸さえできれば好いと甘やかされた旗本では、とても合格できない。
だが、生まれ育った家が優先される番方とは違って、実力で出世できる可能性が僅かでもあるので、筆算吟味があると受験者が殺到する。
三百人以上が参加した筆算吟味、勝三郎自身は合格できると思っていなかった。
「よくぞやり遂げた、合格すると思っていたが、甲種合格一位であったぞ。
推薦した余と出羽守殿も鼻高々であったぞ」
不合格を詫びる心算で田沼家の上屋敷に来た勝三郎は、幕臣の筆算能力の無さに暗澹たる思いを抱いた。
幼い頃の勝三郎が一番努力したのは武芸で、二番目が武経七書だった。
三番目が四書五経で、筆算は最も少ない四番目だった。
筆算を優先しなかったのは、町奉行所与力家に養子に入れると思えなかったから。
一方佐久間武太夫が勝三郎に筆算を学ばせたのは、僅かだが勝三郎に町奉行所与力に婿入りできる可能性があったのと、与力給地の不正を見逃さないためだった。
与力になると、領地を治める実務能力が必要なのだ。
町奉行所与力の給地がある上総と下総では、村名主を代官にしている。
村名主が不正をしないように、古参の与力が給地世話番をしているのだ。
勝三郎が世話番になった時に困らないように、最低限の算術を学ばせた程度なのに甲種一位合格とは、幕臣の能力不足も甚だしい。
「色々とお世話していただき、感謝の言葉もございません」
「うむ、甲種一位合格を祝って祝杯をあげようではないか。
勝三郎が持って来てくれた酒肴で悪いが、大いに飲もうではないか」
「ありがとうございます、相伴させていただきます」
勝三郎が不合格の詫びの心算でに持ってきた、手土産の下り酒と肴が出された。
「余は大和屋太の味醂が一番好きなのだが、奥の者達も大好きでな。
なかなか余には周って来ないのだ、祝杯は山本の老松で上げさせてもらう」
「はい、ありがとうございます」
「肴は勝三郎が自ら作ったという海鼠腸と、料理人に作らせた豆腐田楽で良いか?」
「はい、頂戴いたします」
「以前持って来てくれた唐墨も好きなのだが、海鼠腸も好きでな。
海鼠腸で寝酒を飲むのが最近の楽しみなのだ」
「また作っておりますので、完成したらお持ちいたします」
「うむ、楽しみにしておる」
田沼意次と勝三郎は月を見ながら酒を酌み交わした。
梅雨時で雨が多いのだが、珍しく晴れて美しい月が出ていた。
しばし黙って酒を酌み交わしていたが、田沼意次がぽつりと言った。
「御料巡見使は上様の代替わりの翌年に行われるのが慣例なのだ。
だがそれでは、代替わりまで好き勝手やれてしまう。
今年やれば、今後は不意に行われるかもしれないと思わせられる」
「御意」
「諸国巡見使は正使の使番一名に副使の小姓番士と書院番士が一名ずつで大名領を見て廻るのだが、御料巡見使は勘定奉行所の勘定一名を正使として、支配勘定と徒目付一名ずつを副使として御料地を見て廻るのだ」
「御意」
「今の話を聞いて、勝三郎は義父を向かわせればよかったのにと思ったであろう」
「はい、少々思いました」
「余もそれを考えなかったわっけではないが、甚左衛門を派遣している間に、また旗本御家人達が悪さをしないか不安になったのだ。
今は大人しくしているが、何時また博打に走る幕臣が現れるか分からん」
「博打は不治の病と言われるほど止められないと、町方の者達は申しております」
「うむ、徒目付組頭の甚左衛門を御府内に残したら、勝三郎の配下が手を貸せば、幕臣が再び博打を始めたとしても、直ぐに取り締まれるであろう?」
「御意、実父配下の密偵達が集めた噂を義父に伝えるように命じます」
「うむ、手配りは頼んだぞ。
御料巡見使だが、御府内を離れて十分な働きをするには、多くの密偵が必要であろう、必要な費えは全部申せ、幕府の勝手向きから渡す」
「有難き幸せでございます」
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