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第1章
第24話:謹慎と兄弟水入らず
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「果し合いだ、下勘定所で果し合いが始まるぞ」
下勘定所での大騒動は直ぐに江戸城にまで広まった。
下勘定所の仲間と勝三郎排斥を画策していた御殿勘定所の不正役方達は、最初は喜んでいたのだが、徐々に詳しい話が伝えられ顔面蒼白となった。
自分達がとんでもない強者に喧嘩を売ってしまった事に恐怖した。
とはいえ、幕府の役所内で幕臣同士の諍いである。
その場で怒りに任せて刀を抜かない限り、上役、幕閣や将軍が認めない限り果し合いなどできない。
喧嘩両成敗で勝三郎も一緒に処罰される可能性はあるが、何と言っても相手が筆算吟味で処分を受けた者達で、しかも先に喧嘩を吹っ掛けたのは不正した側だった。
更に新任の勝三郎一人に対して、古参百人近くが難癖をつけている。
あまりにも卑怯下劣な内容に、江戸城にいた大半が勝三郎の肩を持った。
普段役方に馬鹿だと陰口を叩かれていた番方が、強く勝三郎の肩を持った。
「憶病者共が、果し合いもできずに武士と言えるか!」
番方の者達は、果し合いを逃げ回る役方を散々馬鹿にした。
幕閣の意向や公事方御定書など無視して、果たし合うべしと騒ぎだした。
江戸城内には流言飛語が飛び交ったが、直ぐに果し合いは始められなかった。
不正役方が逃げ回って果し合いに応じなかったのもあるが、幕閣が果し合いを認めるべきか、果し合いをさせず両者に罰を与えるべきか、不正役方だけを一方的に断罪すべきか、決められなかった。
勝三郎も、四人いる勘定奉行の一人が認めたからと言っても、相手が逃げ回っている果し合いを始める事はできなかった。
「幕閣の方々が事の経緯を調べられる間、双方親戚預けになるそうだ」
勝三郎は武略で駆け引きを行う事を恥とは思わない性格だった。
何より御料巡見使として御料地を見て廻るように言われているのだ。
民百姓を守る役目を言い渡されているのに、他の方法でも討ち果たせる小者と相打ちになるほど愚かではなかったから、大人しく親戚預けを受け入れた。
「しばし厄介になります」
勝三郎は御先手組与力の佐久間陣十郎宅に預けられた。
勘定奉行所の役方達も親戚宅に預けられた。
ところが、勝三郎は佐久間陣十郎宅で大人しくしていなかった。
抜け出したりはしなかったが、普段できない事を堪能していた。
「兄上、台所をお借りして宜しいですか?」
「またか、まだ料理好きが治らないのか?」
「これでも普段は極力抑えているのです。
謹慎を命じられている間くらい、好きにさせてください」
「台所を貸すくらいは構わないが、この家に大した食材はないぞ」
「その言い方は養家に対して失礼ではありませんか?
大丈夫ですよ、直ぐに色んな食材が届きます」
「船宿を任せている連中が魚を届けてくれると思つているのか?
勝三郎が槍を振るわないと魚が獲れないのではないか?」
「密偵の中には、投網を操って敵を捕らえる練習をしている者がいます。
普段は練習も兼ねて、川や海で投網を使って魚を獲っております。
俺が船宿に居ない時は、その者が魚を獲っております」
「投網を使うのか、だったら普段勝三郎が使わない魚が食えるのか?」
「誰かが気を利かせてくれれば、そうなるかもしれません」
「若旦那、勝三郎の若旦那、魚を届けに参りやした」
「若様、無聊を慰めさせていただきます」
雨垂の亥之助と剃刀のお園が先を争うようにやって来た。
「よく来た、何を持ってきてくれたのだ?」
「へい、御武家様は下品だと言われますが、あっしらはこの季節に美味しくなる脂の乗った鰯や鶏魚が大好きなんでさあ」
「分かっておる、俺も激しい鍛錬の後は脂の乗った魚が食べたくなる。
鰯と鶏魚も作ってやるが、頼んでいた新子は持って来てくれたか?」
「はい、此方に」
亥之助が天秤棒で担いできた盥一杯の魚を見せる。
「うむ、直ぐに仕込むから手伝ってくれ」
江戸前の寿司だと三寸弱の小鰭を好むが、勝三郎は二寸前後の新子が好きだった。
新子は身が小さくて手早く大量に捌くのには技がいるのだが、勝三郎は目にもとまらぬ速さで次々と捌いて行く。
今日直ぐに食べる分は酢締めしておくが、明日以降に食べる分は山梔子で黄色く色付けした粟と漬けて、五穀豊穣を願う正月料理と同じように仕込む。
小羽鰯は新子と同じように見事な技で開いて酢で締めていく。
鶏魚は三枚におろして寿司用の切り身を酢で締めていく。
捌いた後の頭と骨を使って味噌汁を作る。
尾頭付きに丁度良い大きさの鶏魚は塩焼きと煮付けの両方を作る。
江戸子が好む醤油辛い味付けの煮付けにする。
鶏魚に白子と卵が入っていたので、卵は身と一緒に醤油で煮つける。
白子は寿司用に捌いた皮と一緒に湯引きして、刻葱と一緒に酢醤油に付けておく。
「若旦那、次の魚が届きやした」
勝三郎が次兄の屋敷に預けられたと聞いて、勝三郎を慕っている密偵達が次々と見舞いの品を届けるので、台所は魚や野菜で一杯になった。
気の利いた奴は見舞が多くなるだろうと、日持ちにする食材を届ける。
泉水に放しておけば何時でも料理に使える鯉や鮒を届ける奴もいる。
「亥之助、お園、できた分を家の方々に御渡ししてくれ」
「「はい」」
次兄の養家に御世話になっているので、日持ちのしない料理は直ぐに食べてもらおうと、亥之助とお園に届けてもらった。
晩と翌朝に食べても大丈夫なように、大羽鰯は梅醤油で濃く煮付けた。
夜に料理して丁度美味しくなるように、開いた大羽鰯は煎酒と日本酒と味醂で作った調味液に漬けておく。
「勝三郎、源太郎兄上が見舞いに来てくださったぞ」
次兄の佐久間啓次郎が自分の部屋から台所までやって来て言う。
啓次郎に案内されて源太郎までが台所にやってきた。
「こんな時間にどうされたのですか?」
「御奉行が勝三郎の様子を見て来いと休みをくださったのだ」
「親戚預け程度で大仰な事ですね」
「下手をしたら元旗本の御家人が百家以上改易になるのだ。
彼らが辻斬り追剝になるのではないかと、御心配なのだろう」
「あの者達に辻斬りや追剥をする根性はないですよ。
頭を下げる程度の覚悟があれば、寺子の師匠や書役で生きて行けます。
まあ、潔癖な大納言様が激怒されていなければ、切米は減らされても御目見えの身分は残されたのでしょう、少々運がなかったですね」
最近の幕臣は相見互いの考えが浸透していて、少々の失態は見て見ぬ振りをしてくれるのだが、まだ若い徳川家基は良くも悪くも正義感が強かった。
それを見抜けず、自分達の能力を過信して行いを改めなかった連中が愚かだった。
「よく言うよ、最初から挑発して暴発させる気だったのだろう?」
勝三郎の性格を良く知っている源太郎が言う。
「そんな気はありませんでしたよ。
あの程度の蔵米取を潰しても、幕府の勝手向きは良くなりません。
やるならもっと石高の多い、番方の馬鹿を狙います。
まあ、でも、我らのような御目見え以下にできる事など限られています。
不可能な事を目指すよりは、目の前にいる者達を助ける方が大切です」
「相変わらずだな、だが今の状況なら夢を見られるのではないか?」
「御老中の田沼様が懇意にしてくださっても、大した事はできません。
田沼様は民よりも幕府や将軍家を大切にされる方です。
夢を見ても、一番大切な所で覚めてしまうのは分かり切っています」
「それでも、お手伝いすれば今よりも民百姓を幸せにできるのではないか。
勝三郎もそう思っているから、珍しく権門に手を貸しているのであろう?」
「源太郎兄上には幾つになっても敵いませんね。
そんな硬い話は止めて、久しぶりに兄弟三人で飲みましょう。
源太郎兄上の大好きな、鰯の焼味噌和えを作りますよ」
「おお、あれを作ってくれるのか!?」
「この家の味噌は家の味噌と少し違いますから、全く同じ味にはならないですが、兄上好みに作れると思いますよ。
啓次郎兄上の部屋に行って待っていてください」
勝三郎はそう言いながら、手早く七輪で炙って焼味噌を作り出した。
「分かった、途中で立たなくてもいいように、多めに作っておけ。
今日は三人で朝まで飲み明かすぞ」
「分かっていますよ」
大羽鰯の頭を落として内臓を取り出し丁寧に洗ってから塩水に漬ける。
鷹の爪を刻んで、独特の辛みを楽しめるようにした。
他の料理が中途半端にならないように、全部を見て廻る。
兄好みに漬かった大羽鰯を手で骨から身を外して千切る。
千切った身を焼き味噌に和えてから輪切りにした鷹の爪を振りかける。
とても簡単な肴なのだが、その分鰯の鮮度と漬ける塩水の加減、焼味噌の好みと炙り加減で味に天地の差が出る。
「亥之助、お園、明日埋め合わせるから、今日は兄弟三人だけにしてくれ」
下勘定所での大騒動は直ぐに江戸城にまで広まった。
下勘定所の仲間と勝三郎排斥を画策していた御殿勘定所の不正役方達は、最初は喜んでいたのだが、徐々に詳しい話が伝えられ顔面蒼白となった。
自分達がとんでもない強者に喧嘩を売ってしまった事に恐怖した。
とはいえ、幕府の役所内で幕臣同士の諍いである。
その場で怒りに任せて刀を抜かない限り、上役、幕閣や将軍が認めない限り果し合いなどできない。
喧嘩両成敗で勝三郎も一緒に処罰される可能性はあるが、何と言っても相手が筆算吟味で処分を受けた者達で、しかも先に喧嘩を吹っ掛けたのは不正した側だった。
更に新任の勝三郎一人に対して、古参百人近くが難癖をつけている。
あまりにも卑怯下劣な内容に、江戸城にいた大半が勝三郎の肩を持った。
普段役方に馬鹿だと陰口を叩かれていた番方が、強く勝三郎の肩を持った。
「憶病者共が、果し合いもできずに武士と言えるか!」
番方の者達は、果し合いを逃げ回る役方を散々馬鹿にした。
幕閣の意向や公事方御定書など無視して、果たし合うべしと騒ぎだした。
江戸城内には流言飛語が飛び交ったが、直ぐに果し合いは始められなかった。
不正役方が逃げ回って果し合いに応じなかったのもあるが、幕閣が果し合いを認めるべきか、果し合いをさせず両者に罰を与えるべきか、不正役方だけを一方的に断罪すべきか、決められなかった。
勝三郎も、四人いる勘定奉行の一人が認めたからと言っても、相手が逃げ回っている果し合いを始める事はできなかった。
「幕閣の方々が事の経緯を調べられる間、双方親戚預けになるそうだ」
勝三郎は武略で駆け引きを行う事を恥とは思わない性格だった。
何より御料巡見使として御料地を見て廻るように言われているのだ。
民百姓を守る役目を言い渡されているのに、他の方法でも討ち果たせる小者と相打ちになるほど愚かではなかったから、大人しく親戚預けを受け入れた。
「しばし厄介になります」
勝三郎は御先手組与力の佐久間陣十郎宅に預けられた。
勘定奉行所の役方達も親戚宅に預けられた。
ところが、勝三郎は佐久間陣十郎宅で大人しくしていなかった。
抜け出したりはしなかったが、普段できない事を堪能していた。
「兄上、台所をお借りして宜しいですか?」
「またか、まだ料理好きが治らないのか?」
「これでも普段は極力抑えているのです。
謹慎を命じられている間くらい、好きにさせてください」
「台所を貸すくらいは構わないが、この家に大した食材はないぞ」
「その言い方は養家に対して失礼ではありませんか?
大丈夫ですよ、直ぐに色んな食材が届きます」
「船宿を任せている連中が魚を届けてくれると思つているのか?
勝三郎が槍を振るわないと魚が獲れないのではないか?」
「密偵の中には、投網を操って敵を捕らえる練習をしている者がいます。
普段は練習も兼ねて、川や海で投網を使って魚を獲っております。
俺が船宿に居ない時は、その者が魚を獲っております」
「投網を使うのか、だったら普段勝三郎が使わない魚が食えるのか?」
「誰かが気を利かせてくれれば、そうなるかもしれません」
「若旦那、勝三郎の若旦那、魚を届けに参りやした」
「若様、無聊を慰めさせていただきます」
雨垂の亥之助と剃刀のお園が先を争うようにやって来た。
「よく来た、何を持ってきてくれたのだ?」
「へい、御武家様は下品だと言われますが、あっしらはこの季節に美味しくなる脂の乗った鰯や鶏魚が大好きなんでさあ」
「分かっておる、俺も激しい鍛錬の後は脂の乗った魚が食べたくなる。
鰯と鶏魚も作ってやるが、頼んでいた新子は持って来てくれたか?」
「はい、此方に」
亥之助が天秤棒で担いできた盥一杯の魚を見せる。
「うむ、直ぐに仕込むから手伝ってくれ」
江戸前の寿司だと三寸弱の小鰭を好むが、勝三郎は二寸前後の新子が好きだった。
新子は身が小さくて手早く大量に捌くのには技がいるのだが、勝三郎は目にもとまらぬ速さで次々と捌いて行く。
今日直ぐに食べる分は酢締めしておくが、明日以降に食べる分は山梔子で黄色く色付けした粟と漬けて、五穀豊穣を願う正月料理と同じように仕込む。
小羽鰯は新子と同じように見事な技で開いて酢で締めていく。
鶏魚は三枚におろして寿司用の切り身を酢で締めていく。
捌いた後の頭と骨を使って味噌汁を作る。
尾頭付きに丁度良い大きさの鶏魚は塩焼きと煮付けの両方を作る。
江戸子が好む醤油辛い味付けの煮付けにする。
鶏魚に白子と卵が入っていたので、卵は身と一緒に醤油で煮つける。
白子は寿司用に捌いた皮と一緒に湯引きして、刻葱と一緒に酢醤油に付けておく。
「若旦那、次の魚が届きやした」
勝三郎が次兄の屋敷に預けられたと聞いて、勝三郎を慕っている密偵達が次々と見舞いの品を届けるので、台所は魚や野菜で一杯になった。
気の利いた奴は見舞が多くなるだろうと、日持ちにする食材を届ける。
泉水に放しておけば何時でも料理に使える鯉や鮒を届ける奴もいる。
「亥之助、お園、できた分を家の方々に御渡ししてくれ」
「「はい」」
次兄の養家に御世話になっているので、日持ちのしない料理は直ぐに食べてもらおうと、亥之助とお園に届けてもらった。
晩と翌朝に食べても大丈夫なように、大羽鰯は梅醤油で濃く煮付けた。
夜に料理して丁度美味しくなるように、開いた大羽鰯は煎酒と日本酒と味醂で作った調味液に漬けておく。
「勝三郎、源太郎兄上が見舞いに来てくださったぞ」
次兄の佐久間啓次郎が自分の部屋から台所までやって来て言う。
啓次郎に案内されて源太郎までが台所にやってきた。
「こんな時間にどうされたのですか?」
「御奉行が勝三郎の様子を見て来いと休みをくださったのだ」
「親戚預け程度で大仰な事ですね」
「下手をしたら元旗本の御家人が百家以上改易になるのだ。
彼らが辻斬り追剝になるのではないかと、御心配なのだろう」
「あの者達に辻斬りや追剥をする根性はないですよ。
頭を下げる程度の覚悟があれば、寺子の師匠や書役で生きて行けます。
まあ、潔癖な大納言様が激怒されていなければ、切米は減らされても御目見えの身分は残されたのでしょう、少々運がなかったですね」
最近の幕臣は相見互いの考えが浸透していて、少々の失態は見て見ぬ振りをしてくれるのだが、まだ若い徳川家基は良くも悪くも正義感が強かった。
それを見抜けず、自分達の能力を過信して行いを改めなかった連中が愚かだった。
「よく言うよ、最初から挑発して暴発させる気だったのだろう?」
勝三郎の性格を良く知っている源太郎が言う。
「そんな気はありませんでしたよ。
あの程度の蔵米取を潰しても、幕府の勝手向きは良くなりません。
やるならもっと石高の多い、番方の馬鹿を狙います。
まあ、でも、我らのような御目見え以下にできる事など限られています。
不可能な事を目指すよりは、目の前にいる者達を助ける方が大切です」
「相変わらずだな、だが今の状況なら夢を見られるのではないか?」
「御老中の田沼様が懇意にしてくださっても、大した事はできません。
田沼様は民よりも幕府や将軍家を大切にされる方です。
夢を見ても、一番大切な所で覚めてしまうのは分かり切っています」
「それでも、お手伝いすれば今よりも民百姓を幸せにできるのではないか。
勝三郎もそう思っているから、珍しく権門に手を貸しているのであろう?」
「源太郎兄上には幾つになっても敵いませんね。
そんな硬い話は止めて、久しぶりに兄弟三人で飲みましょう。
源太郎兄上の大好きな、鰯の焼味噌和えを作りますよ」
「おお、あれを作ってくれるのか!?」
「この家の味噌は家の味噌と少し違いますから、全く同じ味にはならないですが、兄上好みに作れると思いますよ。
啓次郎兄上の部屋に行って待っていてください」
勝三郎はそう言いながら、手早く七輪で炙って焼味噌を作り出した。
「分かった、途中で立たなくてもいいように、多めに作っておけ。
今日は三人で朝まで飲み明かすぞ」
「分かっていますよ」
大羽鰯の頭を落として内臓を取り出し丁寧に洗ってから塩水に漬ける。
鷹の爪を刻んで、独特の辛みを楽しめるようにした。
他の料理が中途半端にならないように、全部を見て廻る。
兄好みに漬かった大羽鰯を手で骨から身を外して千切る。
千切った身を焼き味噌に和えてから輪切りにした鷹の爪を振りかける。
とても簡単な肴なのだが、その分鰯の鮮度と漬ける塩水の加減、焼味噌の好みと炙り加減で味に天地の差が出る。
「亥之助、お園、明日埋め合わせるから、今日は兄弟三人だけにしてくれ」
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