結婚式の日に婚約者を勇者に奪われた間抜けな王太子です。

克全

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第二章

第79話:殺戮

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 リカルド王太子はダドリー領都の南城門を開けさせて、王都方面に侵攻する魔王軍を追撃したが、その前にダドリー領都を包囲する魔王軍を皆殺しにした。
 獅子奮迅と表現する事などできない、圧倒的な勝利だった。
 いや、戦いというよりは虐殺と表現すべき一方的な殺戮だった。
 伝説の巨大種が数多くいたのにも関わらず、彼らに近づくこともなく、遠距離からの一方的な攻撃魔法による殺戮だった。

 リカルド王太子が前世で得ていた知識と経験と想像力が、魔力を経絡に流して無尽蔵に増幅して創り出す事を可能にしていた。
 魔力器官を魔法袋化した事で、無限に蓄えることができていた。
 そもそも魔力を内臓に流す事で大食してその全て魔力に変える事に成功していた。
 その魔力を骨格に流す事で途轍もなく強固な軸を持つことに成功していた。
 そのオリハルコンにも勝る強固な軸のお陰で、魔力を神経に流した事による速さと、魔力を筋肉に流した事によるパワーを支えることができている。

 ラノベやアニメで表現されている身体強化は、西洋医学と東洋医学にインド医学を加えた知識思想理論にある全てに、魔力を流す事で現実化されているのだ。
 更に気功でいう所の外気功の一種、硬気功で身体の表面を鉄のように強化する事も、日本のラノベやアニメの創作でしかなく、実際の東洋思想にはないのだが、リカルド王太子は想像力でこの世界では現実化してしまっている。

 この世界には各種攻撃魔術が実際にあるので、完全な想像創作ではないのだが、前世で読んだラノベや観たアニメのような、この世界の常識を超越した破壊力の魔力攻撃は、前世の知識と経験と想像力があっての初めて実現できる事だった。
 だから伝説の巨大種が敵であっても、リカルド王太子には瞬殺できた。
 数千の魔力の塊を一斉に発射して、視界にある全魔物を瞬殺した。
 接近する必要もなく、ただ遠方から視認するだけで皆殺しにできた。

 殺した後のモンスターから魔宝石、魔晶石、魔石、素材を魔法袋に回収した。
 ダドリー領都駐屯の王国第二騎士団や自警団に回収させて、回収中に新たな魔王軍が奇襲をかけてきたら、大損害を受けてしまう可能性があったからだ。
 少々回収時間がかかっても、彼らの安全を優先したのだ。

 リカルド王太子はダドリー領都の安全を確保してから、王都方面に向かう魔王軍を追撃したが、あっという間に追いつくことができた。
 そして追い付いた後はダドリー領都の魔王軍を殲滅したのと同じだった。
 視覚に捕らえると直ぐに遠距離から魔法攻撃を仕掛けて、一撃で斃した。
 皆殺しにするのに大した時間はかからなかった。
 リカルド王太子の電光石火の反撃のお陰で、民への被害は全くなかった。
 追撃で得た魔宝石、魔晶石、魔石、素材も、リカルド王太子自身が魔法袋に回収して、万が一の危険を回避していた。
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