養父母に家族共々謀殺されましたが、死に戻れたので復讐します。

克全

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第1章

3話

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「まだ殺すなと言っただろうが」
「だってあなた」
「だっても糞もない。
 今殺したら、元の子もないだろうが」

 朦朧とした意識で、憎い養父母の会話が耳に入る。
 殺されなかったのか?
 助けられたのか?
 さっきまでの事は、夢だったのか?

 だが、私を殺そうとしたのは間違いない。
 今の話も、時期の問題だけで、殺そうとしている事に違いはない。
 問題は時期なのだ。
 今はまだ、私を殺す事が出来ないのだ。

 だったら、その時間を有効に利用する。
 でもそれほど時間は残されていない。
 シューベルト侯爵家のノアが、養父母を殺す。
 そして大公国は、帝国に併合されてしまう。

 何としても、ここを逃げ出さないといけない。
 でも、今は体力が全くない。
 吐き気がするほど嫌だが、養父母、いや、ハーン夫婦の助けが必要だ。
 砂を噛む思いで、食事を乞わなければならない。

「御嬢様。
 食事でございます。
 後でかたずけに参ります」

 何の愛情も感じない、冷たい言葉だ。
 主人であるハーン夫婦が虐待しているのだから、仕える侍女も私の事など塵芥のように扱う。
 今に始まった事ではないので、もう涙も浮かばない。
 むしろ頭を下げて乞う前に、食事が出された事を幸運だと思う。

 更に幸運なのは、出された粥に穀物が多い事だ。
 こんなものを出してもらえたのは、成長期の間だけだった。
 ある程度身体が出来てからは、水のように薄いオートミールと、精白滓で作った黒パンばかりだった。

 一匙もこぼすわけにはいかない。
 おかわりは、絶対にもらえないのだ。
 行儀は悪いが、顔を近づけて食べないといけない。
 だが、身体の感覚がおかしい。

 高熱を出した後だから、仕方がない事だ。
 しかし、眼までおかしいのだろうか。
 手が異様に小さく見える。
 こんな状態では、オートミールをこぼしてしまう。

 実際にスプーンで食べる前に、練習してみなければいけない。
 だが、掴んだスプーンが異様に大きい。
 身体が小さくなっている!
 何か異常な事が起こっている。

 考えるの。
 いえ、考えるまでもないわ。
 悪魔が願いをかなえてくれたのだ。
 あんな返事をしたのに、願いをかなえてくれた。

 いえ、あんな返事をしたから、このような形になったのかもしれない。
 でも、侍女が驚いていない所を見ると、身体が縮んだわけではないのだ。
 時が戻ったのだ。
 悪魔も言っていたではないか、この手で復讐させてやると。

 だったら、過去に戻してくれたと言う事だ。
 過去に戻れたのなら、幾らでも時はある。
 何度も虐待で死にかけたから、どれくらい過去に戻れたか、正確な時は分からないが、この身体の大きさなら、十歳前後だろう。

 今からなら、幾らでも報復の機会はある。
 その為には、力を蓄えないといけない。
 味方を作らなければいけない。
 単にハーン夫婦を殺すだけなら、方法など幾らでもあるが、帝国の暗躍に対抗するには、私の力だけでは無理だ。
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