14 / 52
第1章
13話
しおりを挟む
「ノア様。
レーナがハーン家から逃げ出しました」
「なに?
どういう事だ?!」
「もしかしたら、我々の策略に気が付いたのかもしれません」
「あんな忌み子に、そんな知恵などあるものか」
「しかしながら、最近はハーン夫妻に隠れて、魔導書を読んでいました」
「ユリアと言いレーナと言い、忌み子の分際で、偉そうにしやがって」
「どういたしましょうか?」
「少々躾が必要だな」
「捕らえられるのですか」
「ハーンの馬鹿には任せておけないだろう」
「はい」
レーナの婚約者である、シューベルト侯爵家次男のノア・シューベルトは、帝国から貸し与えられている密偵を使って、大公国のあらゆる情報を手に入れていた。
いや、帝国が大公国の貴族を懐柔して、大公国内の密偵網を張り巡らせていた。
★★★★
「我が婚約者殿。
そんな幼い身で、早くも不義密通ですか?
流石忌み子ですね!
破廉恥極まりない!」
私が治癒魔法を使い、フィン団長達に認めて貰った直後に、何処からともなく、私の婚約者のノア・シューベルトが現れました。
そうです。
帝国に大公国を売り渡した、売国奴のノアです。
ノアの実家であるシューベルト侯爵家は、大公国では有数の名家ではありますが、帝国寄りの発言が多いと聞いています。
私と御姉さまが産まれた時には、二人とも殺すように、父上様と母上様に進言したという噂さえあります。
絶対に許すことが出来ない、憎い相手です。
「何故黙っているのかな、レーナ。
いや、黙るしかないかな、レーナ。
真実を言われたのだからな。
だが私は寛大だ。
忌み子の尻軽でも、教育的折檻で許してやろうではないか」
バチバチバチ―ン
嫌味たらしく言いながら、欲望に濁った眼を私に向けて、鞭を片手にニタニタした気色の悪い笑顔を浮かべていたノアの顔に、三つの白手袋が叩き付けられました。
「この腐れ外道か!」
「こんな小さな子に何を言ってやがる」
「それが婚約者にかける言葉か」
「「「決闘を申し込む」」」
私には、一体何が起こっているのか分かりません。
そもそも、何故ノアが、私がここにいるのを知っているのでしょうか?
それに、私を罵るノアに、何故フィンとアローンとテオが、決闘を申し込むのでしょうか?
全く理解不能です!
「な?!
何を言っている!
徒士家の。
それも部屋住み風情が!
侯爵家の私に、決闘など申し込めるか!」
「大公国の法も理解していない、愚かなおまえに聞かせてやろう。
大公国法は、剣を捧げた婦女子への無礼に対しては、士族以上であれば、決闘を申し込む権利があるのだ。
しかも、白い片手袋を顔に叩きつけられた士族以上は、それに絶対応じなければならないのだ」
沈着冷静な、副団長のアローン・ワイスが、とうとうと語っています。
いえ、ノアを追い込んでいると言えるでしょう。
「何をふざけた事を言っている。
そんなふざけた法など、シューベルト侯爵家の力で揉消してやるわ!」
「ここにいる全員が、成り上がりを目指しているんです。
貴方の話を聞いていると、この方は、ハーン伯爵家のレーナ様のようですね。
だとすれば、貴方の暴言は、大公殿下の逆鱗に触れるのではありませんか!」
アローンに言い負かされたノアは、真っ青になって、ぶるぶると震えています。
売国奴が、臆病なモノです。
レーナがハーン家から逃げ出しました」
「なに?
どういう事だ?!」
「もしかしたら、我々の策略に気が付いたのかもしれません」
「あんな忌み子に、そんな知恵などあるものか」
「しかしながら、最近はハーン夫妻に隠れて、魔導書を読んでいました」
「ユリアと言いレーナと言い、忌み子の分際で、偉そうにしやがって」
「どういたしましょうか?」
「少々躾が必要だな」
「捕らえられるのですか」
「ハーンの馬鹿には任せておけないだろう」
「はい」
レーナの婚約者である、シューベルト侯爵家次男のノア・シューベルトは、帝国から貸し与えられている密偵を使って、大公国のあらゆる情報を手に入れていた。
いや、帝国が大公国の貴族を懐柔して、大公国内の密偵網を張り巡らせていた。
★★★★
「我が婚約者殿。
そんな幼い身で、早くも不義密通ですか?
流石忌み子ですね!
破廉恥極まりない!」
私が治癒魔法を使い、フィン団長達に認めて貰った直後に、何処からともなく、私の婚約者のノア・シューベルトが現れました。
そうです。
帝国に大公国を売り渡した、売国奴のノアです。
ノアの実家であるシューベルト侯爵家は、大公国では有数の名家ではありますが、帝国寄りの発言が多いと聞いています。
私と御姉さまが産まれた時には、二人とも殺すように、父上様と母上様に進言したという噂さえあります。
絶対に許すことが出来ない、憎い相手です。
「何故黙っているのかな、レーナ。
いや、黙るしかないかな、レーナ。
真実を言われたのだからな。
だが私は寛大だ。
忌み子の尻軽でも、教育的折檻で許してやろうではないか」
バチバチバチ―ン
嫌味たらしく言いながら、欲望に濁った眼を私に向けて、鞭を片手にニタニタした気色の悪い笑顔を浮かべていたノアの顔に、三つの白手袋が叩き付けられました。
「この腐れ外道か!」
「こんな小さな子に何を言ってやがる」
「それが婚約者にかける言葉か」
「「「決闘を申し込む」」」
私には、一体何が起こっているのか分かりません。
そもそも、何故ノアが、私がここにいるのを知っているのでしょうか?
それに、私を罵るノアに、何故フィンとアローンとテオが、決闘を申し込むのでしょうか?
全く理解不能です!
「な?!
何を言っている!
徒士家の。
それも部屋住み風情が!
侯爵家の私に、決闘など申し込めるか!」
「大公国の法も理解していない、愚かなおまえに聞かせてやろう。
大公国法は、剣を捧げた婦女子への無礼に対しては、士族以上であれば、決闘を申し込む権利があるのだ。
しかも、白い片手袋を顔に叩きつけられた士族以上は、それに絶対応じなければならないのだ」
沈着冷静な、副団長のアローン・ワイスが、とうとうと語っています。
いえ、ノアを追い込んでいると言えるでしょう。
「何をふざけた事を言っている。
そんなふざけた法など、シューベルト侯爵家の力で揉消してやるわ!」
「ここにいる全員が、成り上がりを目指しているんです。
貴方の話を聞いていると、この方は、ハーン伯爵家のレーナ様のようですね。
だとすれば、貴方の暴言は、大公殿下の逆鱗に触れるのではありませんか!」
アローンに言い負かされたノアは、真っ青になって、ぶるぶると震えています。
売国奴が、臆病なモノです。
8
あなたにおすすめの小説
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
婚約者を奪った妹と縁を切り、辺境領を継いだら勇者一行がついてきました
藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。
家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。
その“褒賞”として押しつけられたのは――
魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。
けれど私は、絶望しなかった。
むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。
そして、予想外の出来事が起きる。
――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。
「君をひとりで行かせるわけがない」
そう言って微笑む勇者レオン。
村を守るため剣を抜く騎士。
魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。
物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。
彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。
気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き――
いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。
もう、誰にも振り回されない。
ここが私の新しい居場所。
そして、隣には――かつての仲間たちがいる。
捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。
これは、そんな私の第二の人生の物語。
善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です
しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
現聖女ですが、王太子妃様が聖女になりたいというので、故郷に戻って結婚しようと思います。
和泉鷹央
恋愛
聖女は十年しか生きられない。
この悲しい運命を変えるため、ライラは聖女になるときに精霊王と二つの契約をした。
それは期間満了後に始まる約束だったけど――
一つ……一度、死んだあと蘇生し、王太子の側室として本来の寿命で死ぬまで尽くすこと。
二つ……王太子が国王となったとき、国民が苦しむ政治をしないように側で支えること。
ライラはこの契約を承諾する。
十年後。
あと半月でライラの寿命が尽きるという頃、王太子妃ハンナが聖女になりたいと言い出した。
そして、王太子は聖女が農民出身で王族に相応しくないから、婚約破棄をすると言う。
こんな王族の為に、死ぬのは嫌だな……王太子妃様にあとを任せて、村に戻り幼馴染の彼と結婚しよう。
そう思い、ライラは聖女をやめることにした。
他の投稿サイトでも掲載しています。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる