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第2章

29話

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「帝王陛下。
 オットーが破れました」

「無能だな。
 それとも外様共が力を抜いたか?」

「残念ながら、予想以上に大公軍が強力なようでございます」

「消耗していないのか?」

「残念ながら、密偵が全て殺されてしまいましたので、外様の報告だけしかありません。
 ですので、正確な所は分かりません」

「傭兵達がいたのではないのか?」

「皆殺しになりました」

「外様の損害は」

「甚大と言う報告でございます」

「真実か?」

「密偵も傭兵も全滅しており、真実は分かりません」

「次はノアに行かせろ。
 オットーの遺児の名代として、宰相の位をくれてやれ」

「承りました。
 従軍は外様だけで宜しいでしょうか?」

「外様共には、名誉回復の機会を与えてやれ。
 今回軍資金の供出だけで、従軍を逃れた外様も全て従軍させろ。
 それと密偵の数を増やせ。
 何度負けて構わないが、情報だけは持ち帰らせろ」

「承りました」

 帝王は情け容赦のない決定を下した。
 長年に渡る圧政で、外様貴族の財政は火の車だ。
 中には主従一団となって財政再建を成し遂げた貴族もある。
 だがそんな外様貴族には、更なる役目が与えられる。
 せっかく改善した財政も、瞬く間に赤字となる。

 そんな外様貴族に、莫大な出費だけで見返りのない従軍を命じたのだ。
 それも敗戦後に間を置かずの連戦命令だ。
 普通の主なら、叱責はしても次の従軍は命じない。
 命じるとしたら、亡国間近の状態だ。
 だが帝国は違う。

 帝国は外様貴族を取り潰すために、力を削ごうとしている。
 外様貴族もそれを知っていたが、反抗しても全く勝ち目がなかった。
 だから隠忍自重していた。
 だが、そんな帝国に戦いを挑む者が現れた。
 大公国が立ったのだ。

 最初は簡単に滅ぼされると思った。
 だから唯々諾々と従軍した。
 それが大公国の圧勝だった。
 それも、赤騎士たった一騎に帝国軍が襤褸負けした。
 信じられないほどの大敗だった。

 希望が見えた。
 わずかな希望だった。
 帝国の強さを身に染みて知っているだけに、幻のような希望だった。
 だが、無視するには鮮やか過ぎた。
 諦めの心境と、光明を渇望する心がせめぎ合った。

 そこに再度の従軍命令が届きた。
 外様貴族士族は内心憤激した。
 多くの領民を失っていた。
 貴重な働き手を失ったのだ。
 来年は領民が更に飢える事になる。

 今迄も飢えていた。
 今度は餓死者が出るかもしれない状態だ。
 この状態で再度従軍すれば、確実に餓死者が出る。
 生き延びようと思えば、家族を奴隷に売るしかない。
 帝国に対する恨みと怒りが頂点に達していた。

★★★
御願いします。
ザマァに特化した新作「聖女は教会に裏切られ、王子達に輪姦され、奈落の底に落とされました。」を読んでください。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/672198375/805309960
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