養父母に家族共々謀殺されましたが、死に戻れたので復讐します。

克全

文字の大きさ
41 / 52
第2章

40話

しおりを挟む
 第二次討伐軍を撃破したレーナ姫と暁の騎士団は、周辺の帝国直轄領と譜代貴族士族領を占領した。
 だが外様貴族士族領は無視した。
 彼らが味方に付く機会を与える為だった。
 その効果は徐々に表れることになる。

 大公国からも治安部隊が送られて来た。
 大魔境の狩りで僅かに身体強化された徒士の子弟だ。
 彼らに見習い騎士の身分を与え、第一次第二次討伐戦争で鹵獲した軍馬を貸し与えたのだ。
 これで後方の安全を確保して、更なる進軍が可能な体制を築くのだ。

 それだけ工夫しても、前線も後方も兵力不足だった。
 大魔境の魔獣を抑える役目を放棄する事は出来ない。
 兵糧等の軍需物資を確保するためにも、狩りの頻度を増やさないといけない。
 流民を鍛えて猟師にする政策も採っているが、直ぐに効果は表れない。
 ジリジリと苦しくなっていた。

 そこにアームストロング侯爵家から婚約の使者が来た。
 帝国と戦争中に婚約の使者だ。
 裏に軍事同盟の意志があるのは明々白々だった。
 しかも相手が、正室腹で嫡男の第一公子だ。
 人質を出すと言う謎賭けなのだと直ぐ理解出来た。

 大公と大公妃は悩みに悩んだ。
 軍事的にも政治的にも、時機を得た最高の良縁と言える。
 だが二人の娘には幸せになってもらいたい。
 出来る事なら、愛し愛される相手と縁を結ばせてやりたい。
 特に苦労させたレーナは幸せにしてやりたかった。

 だが、大公国の家臣領民を命を預かる身としては、時に非情な決断が必要だ。
 最悪の場合は、ユリアと帝室の再縁組みも考える必要があった。
 閨での暗殺にも気を付けないといけないので、一度種をもらうだけで直ぐ帝国に返すとしても、帝室の血を大公家に入れる、苦渋の決断も考慮に入れていた。
 考えるのも嫌な事だったが。

 そのような非常な策も、頭の片隅には合った。
 出来る事なら採りたくない策だ。
 それくらいなら、ロイ・アームストロングを婿に迎えた方がいい。
 だが使える策は多く残しておきたい。
 悩みに悩んでいた時、ユリアが先に決断した。

「アローン。
 アームストロング侯爵家が父上様に使者を送ったと言うのは本当?」

「間違いありません。
 斥候が報告してきました」

「何の使者だと思う?」

「軍事同盟の使者だと思われます。
 しかも婚姻政策でしょう。
 若殿が噂通りの名君なら、自ら人質になる心算でしょう」

「婚姻なら姉上様か私しかいないわね。
 姉上様の性格なら、私にそんな事はさせず、自分が犠牲になる心算ね」

「そうかもしれません。
 ですが、良縁でもあります。
 ユリア姫様にも悪い話ではないのではありませんか」

「そうね。
 でも出来れば、姉上様には子飼いの騎士から婿を選んでいただきたいわ。
 私が婚約すると父上様に伝令を送ってちょうだい」
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

婚約者を奪った妹と縁を切り、辺境領を継いだら勇者一行がついてきました

藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。 家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。 その“褒賞”として押しつけられたのは―― 魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。 けれど私は、絶望しなかった。 むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。 そして、予想外の出来事が起きる。 ――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。 「君をひとりで行かせるわけがない」 そう言って微笑む勇者レオン。 村を守るため剣を抜く騎士。 魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。 物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。 彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。 気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き―― いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。 もう、誰にも振り回されない。 ここが私の新しい居場所。 そして、隣には――かつての仲間たちがいる。 捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。 これは、そんな私の第二の人生の物語。

善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です

しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。

出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→

AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」 ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。 お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。 しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。 そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。 お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

処理中です...