FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の二学期

🎀

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 魚子がそれに笑いを返す。
「まあ、ドラゴンが火を吹く代わりに、桜吹雪吹くみたいなことしてるんでしょ。ほんと皇大受かっちゃうかもしれないね。応援するよ、協力はできないけど、頭悪いから」
 すると、暖乃が言葉をかぶせかける。
「息抜きならいくらでも協力するよ。勉強しすぎも体に悪いから、今度どっか行こうよ、杏奈誘って」
 務が暖乃から視線を逸らす。その先にいた奈緒は相変わらずバウンズしながらもそれに気がついて、視線を送り返す。
 務は視線を戻すと、ゆっくりと息を吸って言った。
「今は、成瀬さんのことをなんとかしないと」
「いいじゃん、成瀬なんて」
 そう言う暖乃の話を遮って、彼が話を続ける。
「これを逃したら、もう大きなイベントはないじゃない。そしたらそのまま進級してしまうから元も子もなくなって、成瀬さんの環境作りは一からやり直しだよ。うまい具合に杏奈と同じクラスになれればいいけれど、七分の一の確率でしょ。それに、今のウィップスの人気はうなぎのぼりだから、一緒いる成瀬さんに手を出せる生徒っていない。今のうちに地位の向上を図って居場所を確保しないと、卒業するまで一人になってしまうし、最悪色々されてしまうかも。だから、地域交流会でのダンスショーを成功させてやりたいんだ」
 唇に人差し指の付け根の甲を添えて真剣に聞き入っていた魚子が言った。
「まあ、立役者の杏奈のことをねぎらってあげてね。なにかあげるといいよ」
 務が「うん」と頷くと、三人は満足そうに笑った。






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