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第3章 王都騒乱編
従話 ポチの冒険(17)
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我輩は全ての配下を連れて最も浅い階層に来ているのだ。
何故ここにいるのかと言えば、それは数日前に遡るのだ。
☆
最下層の扉を開けた我輩たちの前に居たのは、氷漬けになった黒髪の人? だったのだ。氷漬けになっているのに、肌は赤みがさしていて生きているように見えるのだ。
〈やあ、初めまして。・・・と言ってもボクはたまに君の事を見てたから、初めてな感じはしないんだけどね〉
我輩の頭の中に【念話】のような声が聞こえて来たのだ。でも何となく、目の前の氷漬けの人から聞こえてきてると理解できるのだ。不思議なのだ。
〈まあいいや。自己紹介するね。ボクは神様だよ。
生身でここまで来たのは君たちが初めてだ。歓迎するよ〉
あ、これ、ご主人の言っていた自称神様なのだ! きっとそうに違いないのだ。
「や、やはりここにいらっしゃったのですね・・・」
悪魔王グリモールがそんな事を言っているのだ。グリモールはここにこの自称神様がいる事を薄々感づいてたみたいなのだ。
「知り合いなのだ?」
「はい、このお方は神様です。・・・魔界の」
〈グリモール久しぶりだね。最下層をずっと守ってくれててありがとう。最初で最後の挑戦者にはサクッと負けちゃったみたいだけどね。
さてと。そう、ボクは魔界と悪魔を創った女神だよ。改めてよろしくね。ワンちゃん〉
「よ、よろしくなのだ? 我輩はポチなのだ」
自称じゃなくて、本当に神様だったのだ。でもなんでこんなダンジョンの最下層にいるのだ? しかも封印されて氷漬けなのだ。
〈ふふ、その顔は何で女神がこんな所に居るのかって顔だね?〉
「思考を読まれたのだ!?」
〈残念ながら精神世界じゃないし、能力も低下してるから思考は読めないかな。でも推定することはできるよ。何たって神様だからね〉
神様すごいのだ。相手の考えが推定できるなんてゲームで負けなしなのだ!?
〈あー、それでね。ボクは本来遊戯の女神だったんだ。いや、今でもそうなんだけどね〉
ゲーム強そうとか思ったら、遊戯の神様だったのだ。納得なのだ。
〈ただ同じ毎日の繰り返しでね。あまりに暇だったから、魔界と悪魔を作ってこの世界の者たちと、命をかけたゲームをやらせたのさ〉
なるほどなのだ。何となく分かったのだ。それで怒った他の女神たちに封印されたのだ。
〈・・・って考えてるでしょ? うん、まあその通りなんだけどね。
素直に封印されてあげる代わりに1つゲームをしててね。色々と制約を付けた上で、ボクがこの封印から脱出出来たら無罪放免にして貰う約束なんだ〉
「なるほどなのだ。色々と点と点が繋がったのだ。それで7人に封印を解かせるために動いていたのだ?」
〈へえ、そこまで知ってるんだね。ああ、リョーマ君から聞いたのかな?
いやぁ、君たちには本当に感謝してるよ。封印を解く糸口すら見つからずに、諦めかけていたからね。
魂に近い存在なら封印を越えて呼び寄せる事ができる事が分かった時は歓喜したよ。氷の中にいるのに踊り出すところだったよ。
そして制約がある中でも出来る事を探したんだ。それで考えた結果1人に封印を解かせるのは無理だから、7人にやらせたら良いんじゃないかって結論に達して、頑張って7人集めたんだ。その結果がもうすぐ花開く。ついに7人そろった。近い内に封印は解かれるだろう〉
な! この神様、今何て言ったのだ! 封印が解かれる!? つ! ま! り!
「ご主人に会えるのだ!?!?!?」
〈そうだね。君にとっては待ちに待った瞬間だ。
・・・ボクにとってもね〉
「会えるのだ! ついに会えるのだ! ああ、今から緊張してきたのだ。どうしようなのだ!」
「ちょっと、ぽっちん落ち着いて!」
我輩があまりの嬉しさに小躍りしてたら、マルフに止められたのだ。
「はっ! ちょっと嬉しすぎて・・・ごめんなのだ」
「しかしどうするのじゃ? 今の話からしたら、封印が解けたらまた悪魔が攻めてくるんんじゃないかの?」
確かにその通りなのだ。ご主人に会えるイコール悪魔の脅威が復活なのだ?
〈大丈夫だよ。ほらほら、ダンジョンの封印が解けても、ボクはこの通り氷漬けだからね。動けないじゃん?
だから平気だよ〉
全く平気な気がしないのだ。大変なのだ。
〈ほら、女神様は嘘を付けないって言うじゃない? だから大丈夫。え? 聞いた事ない? ボクを信じてよ〉
それがもう嘘な気がするのだ。でも、他にご主人に会える方法がないのも事実なのだ。
「殿! 大丈夫でござる。悪魔王と呼ばれたグリモール殿も拙者たちの敵じゃなかったでござる。
悪魔が大挙して押し寄せてきても、何とでもなるでござる!」
なるほどなのだ。さり気無くグリモールをディスってるけど、確かに一理あるのだ。さっき神様にも軽くディスられてグリモールのライフがゼロなのだ。
と言うか、それ以前によく考えたら封印が解かれるかどうか、我輩たちに決定権はないのだ。待つしか無いのだ。
〈さて、ボクの予測だと早ければ数日以内に封印は解かれるよ? こんな所に居てもいいのかな?
みんなで愛しのご主人様の所に向かわなくていいのかな?〉
いい訳ないのだ! 今すぐに向かうのだ! 封印が解けたらすぐにでも会いにいけるように、できるだけ浅い階層に行くのだ!
「みんな! こうしては居られないのだ! 急いで戻るのだ!」
〈ああ、もし封印を解いていいか相談されたら、ボクは問題にならないから封印を解除するように言ってね〉
「分かったのだ! 自称神様もまた会おうなのだ!」
こうして我輩たちは最下層から、急いで浅い階層に移動したのだ。
☆
そして、今日。ついに待ち望んだ瞬間が訪れようとしていたのだ。
何故ここにいるのかと言えば、それは数日前に遡るのだ。
☆
最下層の扉を開けた我輩たちの前に居たのは、氷漬けになった黒髪の人? だったのだ。氷漬けになっているのに、肌は赤みがさしていて生きているように見えるのだ。
〈やあ、初めまして。・・・と言ってもボクはたまに君の事を見てたから、初めてな感じはしないんだけどね〉
我輩の頭の中に【念話】のような声が聞こえて来たのだ。でも何となく、目の前の氷漬けの人から聞こえてきてると理解できるのだ。不思議なのだ。
〈まあいいや。自己紹介するね。ボクは神様だよ。
生身でここまで来たのは君たちが初めてだ。歓迎するよ〉
あ、これ、ご主人の言っていた自称神様なのだ! きっとそうに違いないのだ。
「や、やはりここにいらっしゃったのですね・・・」
悪魔王グリモールがそんな事を言っているのだ。グリモールはここにこの自称神様がいる事を薄々感づいてたみたいなのだ。
「知り合いなのだ?」
「はい、このお方は神様です。・・・魔界の」
〈グリモール久しぶりだね。最下層をずっと守ってくれててありがとう。最初で最後の挑戦者にはサクッと負けちゃったみたいだけどね。
さてと。そう、ボクは魔界と悪魔を創った女神だよ。改めてよろしくね。ワンちゃん〉
「よ、よろしくなのだ? 我輩はポチなのだ」
自称じゃなくて、本当に神様だったのだ。でもなんでこんなダンジョンの最下層にいるのだ? しかも封印されて氷漬けなのだ。
〈ふふ、その顔は何で女神がこんな所に居るのかって顔だね?〉
「思考を読まれたのだ!?」
〈残念ながら精神世界じゃないし、能力も低下してるから思考は読めないかな。でも推定することはできるよ。何たって神様だからね〉
神様すごいのだ。相手の考えが推定できるなんてゲームで負けなしなのだ!?
〈あー、それでね。ボクは本来遊戯の女神だったんだ。いや、今でもそうなんだけどね〉
ゲーム強そうとか思ったら、遊戯の神様だったのだ。納得なのだ。
〈ただ同じ毎日の繰り返しでね。あまりに暇だったから、魔界と悪魔を作ってこの世界の者たちと、命をかけたゲームをやらせたのさ〉
なるほどなのだ。何となく分かったのだ。それで怒った他の女神たちに封印されたのだ。
〈・・・って考えてるでしょ? うん、まあその通りなんだけどね。
素直に封印されてあげる代わりに1つゲームをしててね。色々と制約を付けた上で、ボクがこの封印から脱出出来たら無罪放免にして貰う約束なんだ〉
「なるほどなのだ。色々と点と点が繋がったのだ。それで7人に封印を解かせるために動いていたのだ?」
〈へえ、そこまで知ってるんだね。ああ、リョーマ君から聞いたのかな?
いやぁ、君たちには本当に感謝してるよ。封印を解く糸口すら見つからずに、諦めかけていたからね。
魂に近い存在なら封印を越えて呼び寄せる事ができる事が分かった時は歓喜したよ。氷の中にいるのに踊り出すところだったよ。
そして制約がある中でも出来る事を探したんだ。それで考えた結果1人に封印を解かせるのは無理だから、7人にやらせたら良いんじゃないかって結論に達して、頑張って7人集めたんだ。その結果がもうすぐ花開く。ついに7人そろった。近い内に封印は解かれるだろう〉
な! この神様、今何て言ったのだ! 封印が解かれる!? つ! ま! り!
「ご主人に会えるのだ!?!?!?」
〈そうだね。君にとっては待ちに待った瞬間だ。
・・・ボクにとってもね〉
「会えるのだ! ついに会えるのだ! ああ、今から緊張してきたのだ。どうしようなのだ!」
「ちょっと、ぽっちん落ち着いて!」
我輩があまりの嬉しさに小躍りしてたら、マルフに止められたのだ。
「はっ! ちょっと嬉しすぎて・・・ごめんなのだ」
「しかしどうするのじゃ? 今の話からしたら、封印が解けたらまた悪魔が攻めてくるんんじゃないかの?」
確かにその通りなのだ。ご主人に会えるイコール悪魔の脅威が復活なのだ?
〈大丈夫だよ。ほらほら、ダンジョンの封印が解けても、ボクはこの通り氷漬けだからね。動けないじゃん?
だから平気だよ〉
全く平気な気がしないのだ。大変なのだ。
〈ほら、女神様は嘘を付けないって言うじゃない? だから大丈夫。え? 聞いた事ない? ボクを信じてよ〉
それがもう嘘な気がするのだ。でも、他にご主人に会える方法がないのも事実なのだ。
「殿! 大丈夫でござる。悪魔王と呼ばれたグリモール殿も拙者たちの敵じゃなかったでござる。
悪魔が大挙して押し寄せてきても、何とでもなるでござる!」
なるほどなのだ。さり気無くグリモールをディスってるけど、確かに一理あるのだ。さっき神様にも軽くディスられてグリモールのライフがゼロなのだ。
と言うか、それ以前によく考えたら封印が解かれるかどうか、我輩たちに決定権はないのだ。待つしか無いのだ。
〈さて、ボクの予測だと早ければ数日以内に封印は解かれるよ? こんな所に居てもいいのかな?
みんなで愛しのご主人様の所に向かわなくていいのかな?〉
いい訳ないのだ! 今すぐに向かうのだ! 封印が解けたらすぐにでも会いにいけるように、できるだけ浅い階層に行くのだ!
「みんな! こうしては居られないのだ! 急いで戻るのだ!」
〈ああ、もし封印を解いていいか相談されたら、ボクは問題にならないから封印を解除するように言ってね〉
「分かったのだ! 自称神様もまた会おうなのだ!」
こうして我輩たちは最下層から、急いで浅い階層に移動したのだ。
☆
そして、今日。ついに待ち望んだ瞬間が訪れようとしていたのだ。
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