うちのポチ知りませんか? 〜異世界転生した愛犬を探して〜

双華

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第3章 王都騒乱編

第50話 後始末

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 ミーナ王女は膝から崩れ落ちた後、妹と一命を取り止めた弟と共に捕縛され、顔を隠して連れて行かれた。

 色々と処理しないといけない案件などあるため、とりあえず3人は牢にぶち込んでおくそうだ。

 そして王族の不祥事を明るみに出す訳にもいかないとの事で、この場にいた者には緘口令がしかれた。

「して、こやつらはどうするかな」

 王様がそう言って見つめるのは、太郎さんにボコボコにされ、すっかり大人しくなった勇者の2人だ。今も太郎さんに睨まれながら、自分たちはどうなるのかとビクビクしている。

「た、太郎の兄貴。今回の事は王女に言われた通りにやっただけなんだ。・・・心を入れ替えて悪い事ももうしない。だから助けて貰えるように一緒にお願いしてくれないか? いや、お願いして貰えませんか!?」

「わ、私もよ。心を入れ替えるから! お願い!」

 なぜか呼び方が太郎の兄貴になってた。ボコボコにされて泣いて謝って、心が折れたんだろうか。【嘘発見】スキルも反応してないから本気で言ってそうだ。

「やめて下さい。今更反省しても、あっちの世界の友達の人生はもうやり直しもできないんです。
 あなた達もミーナ王女と一緒に罪を償って下さい」

 おっと、ここでこの2人に退場されたら困るよ。

〈太郎さんダメですよ。そしたらダンジョンの封印を解けなくなっちゃう〉

〈あっ! す、すみません! そうですよね〉

 どうやら普通に忘れてたみたいだ。危ない!

「・・・と思いましたが、仕方ないですね。
 王様、この2人は僕の従者として引き取らせて頂けませんか?」

 ダンジョンを解放した後は好きにしてもらっても良かったんだけど、太郎さんが引き取るらしい。太郎さんは真の勇者認定されたから屋敷でももらって、そこの執事とメイドでもやってもらおうか。

「ふむ・・・。分かった。勇者タロウよ。
 今回余を救出した褒美の1つだ。その者たちは煮るなり焼くなり、好きにするが良い」

 王様とは最初から、この2人はこちらサイドに引き渡してもらう約束をしてたけど、そう言う事で話をまとめるみたいだ。

「ありがとう太郎の兄貴! 助かった!」

 完全に太郎さんは兄貴になりました。何はともあれ、これで7人が揃った。後はダンジョンの封印を解くだけだ。その後は王様の言う通り、焼くなり煮るなり、太郎さんの好きにしてもらおう。


「ところで、私はそろそろ帰ってよろしいですか?」

 あ、アクモンが召喚されたままだったのを忘れてた。多分みんなも忘れてた。

「ど、どうぞ・・・」

 誰ともなくそう呟くと、アクモンはスッと消えたのだった。透明になっただけだけど。

〈アクモン、お疲れ様。予想外の展開だったけど、操られなくて良かったよ〉

〈実はかなり強力なアイテムだったようで、ちょっと危なかったです。あの者が本当に大切な人を生贄に捧げていたら危なかったかも知れません〉

 うん、まあ自称神様の創ったアイテムっぽかったからね。ちょっと焦ったよ。兄弟の事を何とも思ってない人で良かった。

「よし、とりあえず城に入るぞ。余が不在の間の事も色々と聞かせてもらうからな」

「はっ!」

 王様はそう言って、宰相を引き連れて城に向かう。リーナさんをはじめゼムスさん達も共に行くようだ。ボコボコにされた勇者の2人も大人しく付いて行く。

 俺はもう護衛してなくても大丈夫かなとも思ったけど、付いて行くことにする。【マップ】で確認したらアクモンたちもちゃんと付いて来てるみたいだ。


 一行はしばらく歩き、大きな会議室のような部屋に入った。部屋には細長い机が置いてあり、王様が一番上座と思われる場所に座る。部屋に居るメンバーは一緒に王城に来たメンバーと勇者の2人、それと宰相だ。

「よし、それでは話をしようか。・・・とその前にリョーマ君。居るんだろう? もう出て来てもいいぞ」

 王様にそう言われたので、透明化を解除する。

「なっ! 一体どこから!?」

 宰相がめっちゃ驚いている。後ろの方では勇者の2人も急に出て来た俺に驚いているようだ。

「すみません。ずっと居ました」

「影ながら護衛してもらっていたのだ。先ほどのポーションもリョーマ君に貰った物だ。
 さあ、リョーマ君の美味しいお菓子でも食べながら話をしようか」

 おう、王様が俺に出てこいって言った理由はもしかしてそれか!? 王様は何度かお菓子をご馳走したら、虜になってしまったみたいで、事あるごとに俺のお菓子を食べたがる。

「あっ! ミルクも食べるのー!」

「妖精・・・・・・」

 お菓子と聞いて、ミルクまで透明化を解除して出て来た。宰相さんは開いた口が塞がらない感じでフリーズしている。

「あ、すみません。この子は僕の従魔なので・・・」

「レベル100オーバーだと・・・。しかもなんだこのステータス・・・」

「ほ、ホントね・・・」

 勇者タクヤとリョーコがミルクを【鑑定】したらしく、呆然としている。

《【鑑定】をレジストしました》

 俺にも【鑑定】をしたみたいだ。

「すみません。僕は【鑑定】できませんよ」

「タクヤさん! リョーコさん! この方は僕の神様です! 【鑑定】するなんて何事ですか!」

 太郎さんが勇者の2人を叱る。

「ちょ、ちょっと待ってくれ兄貴! 俺はそのちっこい妖精しか【鑑定】してない。ホントだ!」

「すみません。私です・・・」

 どうやら俺を【鑑定】したのは宰相さんだったようだ。濡れ衣で怒られた2人・・・日頃の行いかな。

「すまないリョーマ君。外交の場などではいきなり【鑑定】する事は失礼にあたるとされているが、このような場で見ず知らずの少年が急に現れたとなったら、宰相の立場としては確かめない訳にはいかないのだ」

 王様がフォローしてくれる。

「いえ、気にしていないので大丈夫です」

 そう言いながら、皿に乗ったお菓子を大量に並べる。話はサクッと終わらせて、みんなでダンジョンに行きたいんだけど、まずは自己紹介とかからかな・・・。

 こうして、この日は色々と話や後始末をしている間に終わってしまったのだった。明日こそ、異邦人全員連れてダンジョンに行かねば!
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