NPCのストーカーの件について

草薙翼

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本体と影の板挟み

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ちゅっ、ちゅっ…なんか変な音がする。
くすぐったくて足を擦り合わせる。

もぞもぞなにか動いている、気持ち悪い。

足蹴りするがすぐに足を掴まれ開かされる。
なんだこのぬるぬるしたもの。
だんだん爪先から這ってくる。

くすぐったくて気持ち悪いだけだと思っていたら、ゾクゾクと変な感じがする。
これは、なんかいろいろとヤバいかもしれない。

「っぁ、そこは…」

目をうっすらと開けて目の前に広がったのは黒い影。
ゆらゆら揺れて俺の太ももを舌で撫でていた。
太ももがなんか濡れている、一回か二回舐めたわけではなさそうだ。

とりあえず無言で殴っておく。

なんかこの影、触れるんだけど…床でメソメソ泣く影を冷めた目で見つめる。
突っつくとプルプルゼリーみたい震えて鳥肌が立った。
こんなに気持ち悪いもんだったっけ!?影って…

ベッドから起き上がるとソファーで寝てるゼロに近付く。

「おいこら起きろ、あの変な影なんだよ」

「スノーホワイト祭での反省点を組み込んだ新型の影だ、俺の意思が連動されてる…ちょっと欲望部分が強すぎたな、ぐぅ…」

「不穏な事言って寝るなー!!」

ぬるぬると影がやってくる。
俺の足の間に挟まろうとして、隙間という隙間から出てきた。

何しても諦めが悪い、確かにゼロだな…あまりそこは変わってない気がするが…
何をしたいのか考えたくないが必死に俺の足を広げようとしてるから蹴り飛ばす。

触れるようになって良かったのはお前だけじゃないからな影ゼロめ。
足を掴まれて、じたばた暴れて蹴り上げて影から逃げた。

朝から無駄な運動したな、もう眠気も覚めたしそろそろ帰ろうと部屋のドアノブを握り目の前にスノー石の指輪が見えた。
真実を知らなければただのアイテムとして見れたのに…

それはいい、呪いで外れないし…

そうではなく、この俺の手に重なる黒い手に見覚えなく驚いていた。

「ツカサ」

「…ゼ、ロ?」

俺の目の前にゼロは確かにいた。
あんな目立つ美しい容姿だ…見間違える筈はない。
そうではなく、なにかが違う青年が俺の顔を覗き込んで微笑んでいた。

褐色肌の青年、服装も黒髪の髪型もゼロのそれで俺は後ろを振り返った。

後ろにはゼロが寝ていて「双子か!?でもゲームでこんなキャラいたか!?」と戸惑いゼロに詰め寄る。
ゼロの上に覆い被さる。

「朝から大胆だな」というゼロの言葉は聞かなかった事にして例の男を指差してもう一度聞く。
ゼロはよく分かってないのか首を傾げている。

明らかに昨日いなかった不審者がいるのになんで分からないんだ!

まさか、俺にしか見えない幻とか言わないよな?

「ゼロ!アイツ誰だ!!お前の知り合いか!?」

「…何言ってるの?」

「は!?見えない、とか言わないよな?…もしかしてゆう…」

「いつもツカサと一緒にいるだろ」

え…それって取り憑いてるとか怖い事じゃないよな。
恐る恐る振り返ると奴はまだいた。
そこで俺は足元の違和感に気付いた。

俺から伸びている影の先にあの男が立っていた。
たまたま俺の影を踏んでるのかと思って少し横に歩くと俺の影と引っ張られるように移動している。
急いでゼロの方に駆け寄った。

「お前の影か!?」

「俺の分身なのに分からなかったの?」

なんかゼロの言葉に腹立って頬を膨らます。
ゼロがゲーム外の設定ばっかり追加するからゲーマーの俺だって分かんねぇよ!

後ろをまた振り返るとさっきの魔物型の影に戻っていた。
…ゼロの影、進化し過ぎだろ…擬人化とか…

分身とかチートを通り越して、反則だろ。

あんなのが二人いるという事実から目を逸らしたくてゼロに高級食材を作った朝食を食べたいとリクエストした。
ゼロを困らせてやりたくてわがままを言ったが、難なくこなしていた。

本日の朝食は、今まで食べた事がないほど豪華なものになった。
美味しいけど、俺のレベルじゃ作れない料理ばかりで悔しくてちょっぴり泣いた。
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