NPCのストーカーの件について

草薙翼

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いたずら

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ーーー

「グリモワールツカサが命じる!黒き炎よ、その身を焼き尽くせ!」

手をかざしたところに黒い炎が燃え上がり、ゴーストを燃やしていく。
フードで汗を拭うとミュミュがクエスト表を持ってやってきた。
今日のクエストはこれで終わりか、じゃあ次はストーリークエストを少しやろうかな。

ストーリーも進めとかないと俺も成長しなさそうだし、それに強いボスを一人で倒せるようにならなきゃいけないし…

「張り切っとるのぅ、スノーホワイト祭で少しは成長してたらいいんじゃが」

「師匠、なんか疲れてませんか?」

「お前さんがスノーホワイト祭に行ってた時に孫が遊びに来てのぅ、やんちゃ盛りで大変だったんじゃ」

マジか、師匠がおじいちゃんしてるところは見てみたかったがお守りを手伝わされなくてホッとしていた。
そして影ゼロよ、服の上から胸を揉むな…俺には豊満な胸はない。
欲望に忠実すぎて怖いだろ!と殴った。
幸いあれから擬人化はないから良かった…魔物ゼロだから追い払えるが人型に勝てるか分からない。

影ゼロを追い払うだけでレベルアップしそうなほど強くなった気がする。
とりあえずイベント終わったばかりだし、当分大きなイベントはなさげでストーリークエストをこなそうと思った。

「えーっと、師匠…最近変わった事は?」

これは合言葉のようなものだ。
ストーリークエストを進める時に必ず口にする言葉だ。
これを師匠に言うと師匠は目的を話してくれる。

この世界に来て初めてのストーリークエストだな、どのくらいゲームと一緒なんだろう。
やっぱり冒険したりするのかなと目を輝かせて師匠の言葉を待つ。
師匠はしばらく悩み思い出したのか手を叩いた。

「そういえば御使いを頼まれていたんじゃ、しかし孫とちょっと遊びすぎて腰痛が…いたたた」

「もう師匠は歳なんですから家で寝てて下さい、俺が行きますから」

「そうかそうか、すまないのぅ」

まさか師匠のお孫さんとストーリークエストがリンクしてたなんて凄い偶然。
御使いか…ストーリークエストだし、ただの御使いなわけないよな。
師匠を支えながら師匠の家に向かう。

グリモワールは黒魔術の薬などの製作スキルが高いため、いろんなところから依頼が入る。
師匠は特別な薬を作る資格があり、プレイヤーが作れないレアな薬を作って売ってくれたりする。
しかし、どれも高額なため一部では『ぼったくり師匠』と言われている。
俺もそう呼んでいた。

師匠の部屋は真ん中に大釜があり、壁一面には難しい本が並んでいる。

師匠が部屋の奥に行ってる間になにか適当に本を取り出し座って見る。
うん、さっぱり分からない。

このゲームの住人になったら自然と文字が読めるんじゃないのか?
いや、スノーホワイト祭のガイドブックは読めたからこの本は多分もっとレベルが上がったら読めるやつかもしれない。
頑張って解読しようと蛇文字でさっぱり分からない。
そうそうに諦めて本を閉じるとするっと腰に黒いものが巻きついた。

「ちょっ、おいやめろ!そこはっ、ひゃっ」

影ゼロはズボンの中に細長い触手のようなものを突っ込んだ。
いくら影で薄いからって勝手な事をさせてたまるか!!
引き剥がそうにもいつも簡単にやられるくせに欲望丸出しの時はどこにそんな力があるのかびくともしない。

くちゅくちゅズボンの中から音がする。
感じるわけにはいかない、コイツが調子に乗るだけだ。
…でも男だから刺激には弱い、この世界に来てから影がずっと見てたから自慰なんて出来なかった。

「あっ、んんっ…離せって…ダメッもう!」

ーイくとこ見せてよ、ツカサー

「っ!?」

どくっとズボンの中が気持ち悪い。
最悪だ、なんで…なんなんだよ。
ゼロの声でイくなんて…
違う、たまたまタイミングが合っただけだ…それだけだ。

キッと後ろの影ゼロを睨むと鼻歌混じりで知らんぷりしたから一発殴った。
はぁはぁ、気が治まらない…ミンチにでもするか。

「待たせたのぅ…?どうした?」

「いえ、師匠…風呂入ってから出直します!」

捨て台詞のようにそれだけ言い師匠の家を早足で出て行った。
うー、ズボンが気持ち悪い…本物よりタチ悪いぞこの影ゼロは…

とりあえず影ゼロは入ってこれないようにロープでぐるぐる巻きにして脱衣所に置いてきた。
さっぱりして風呂から出ると俺の服に埋もれて幸せそうに動いていたから踏みつけといた。
こんなのとずっと一緒にいるとか耐えられん!

師匠から御使いの品の小袋と届ける住所が書かれたメモ書きを持ち、俺が真っ先に向かった先は城だった。

魔法陣から降りてゼロに会いに行く。
毎日毎日貞操の危機になるのはいやだ!

怒りを露わにして歩いていると誰かに肩を叩かれた。
振り返るとそこには懐かしの顔が見えた。

「ぐ、ぐるじっ…な、なんだこの影っ!!」

「あ、あー…………誰だっけ」

見た事ある顔なんだがいまいちピンと来ていない顔が影ゼロに締められていた。
とりあえず影ゼロを引き剥がそうと触ると今度は俺に絡みつき変態の触り方をしてきた。
全力で抵抗してぶん投げる。

でも俺の影と繋がってるからまた戻ってくる。
早くゼロに会わなければ…

名前が分からない人はとりあえずほっとこう、大した用事でもなさそうだし…

「ゼロに会いにきたなら闘技場にいるぞ?」

「……え」

歩き出した足を止めて青年に近付く、ゼロは部屋にいないのか…馴れ馴れしいし俺の知り合いならゼロの場所まで連れて行ってもらえるかもしれない。
無駄足を踏まずに良かったとホッとする。
機嫌を損ねないように誰だか分かってるフリをする。
本当に思い出せない、何故だ…ゼロのキャラが強烈だからか?

また青年を締めようとする影ゼロを踏みつける。

なんでこんなに影ゼロが絡むんだ?嫌いなのか?

「えーっと、ゼロの場所まで案内してくれますか?場所が分からなくて」

「勿論だよ!ゼロも羨ましい奴だな、恋人が会いにくるなんて」

「違います、真っ赤な他人です」

真顔でそう言うとケラケラ笑われた。
本気にしてるのか冗談なのかいまいち分からない男だな。
青年が歩き出したから着いて行く。
もうちょっとで名前が思い出せるんだけどなぁ…確か名前は、えーっと…ア…なんとかさん?
思い出せそうで思い出せない、モヤモヤする。

なんで俺がこの人の名前を真剣に考えなきゃいけないんだと投げやりになってきた。

「ゼロはもうすぐ開催される黒騎士団と白騎士団の闘技戦の練習してるんだよ、とはいえゼロの一人無双してるだけだけどな」
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