NPCのストーカーの件について

草薙翼

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正反対騎士

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ここからだと会話の内容が分からないが、ブライドが一瞬だけ動きを止めた。
顔が呆けていて、次の瞬間…何故か顔を赤らめていた。
いや、本当に何の話をしているんだ?こんな時に…

横を見るとレイチェルちゃんがいて、楽しそうにしていた。
ブライドはレイチェルちゃんの兄だから活躍を見てるんだろうな。

やっぱりレイチェルちゃんは可愛いなぁ、隣に行きたいが席が埋まっていて悔しい!

影ゼロが揺らすから俺の視界もブレて、しがみついた。
何だよ、レイチェルちゃんが見えないじゃん!
ここにきた目的を忘れてレイチェルちゃんに夢中になった。

その時「勝負アリ!」との声が聞こえて、ゼロの方を見た。
さっきみた時と時間があまり経っていなかったのにブライドは床に倒れていた。

何をしたんだろう、相変わらず影はここにあるから影は使わなかったんだろうけど…

退場する時のゼロは、なんか怒っているように見えた…何でか知らないけど…

そして闘技戦は終わり、俺は影ゼロに連れられてまたゼロの部屋まで運ばれた。
ゼロに会うまで帰さないぞ、と言いたげに俺の腕を掴んでいる。

仕方ない、暇だし優勝トロフィーでも拝ませてもらうかな。
当然だと言いたげにゼロは優勝した、華麗な剣術で…

相手に一瞬の油断も与えない、チートの名に相応しい戦いだった。

「ゼロー、いるのかー?お前の影返却しに来た…うおっ!!」

「……」

いきなり大きな音を立ててドアを開けるからびっくりした。

ゼロはさっきまできっちり着ていた服をだらしなく第三までボタンを開けていた。
髪型も崩れているが、色気があってムカついた。

いつもなら会って早々セクハラをしてくるから身構えていたが、大人しかった。
というか、やっぱりなにか怒っているような顔だった。
俺が何したって言うんだよ、言ってくれないと分かんないだろ。

「なんか不満そうだな、俺に言いたい事でもあんのかよ」

「……」

「ちょっと待てって!引っ張んなよ!」

ゼロが無言で俺の事を引っ張るから軽く恐怖だった。
そのまま部屋の中に引きずり込まれて、後ろで扉が閉まった。

ゼロは何を考えているのか分からない顔をしていた。

俺から影ゼロが離れて、本来の主人のところに戻った。

ゼロの顔を至近距離で見て、分かった事が一つだけあった。
これ、怒ってるんじゃなくて拗ねてるだけだ。

「何拗ねてんだよ、ちゃんと闘技戦に行っただろ」

「来たけど、見てない」

「はぁ!?見ただろ!自分の影から聞いてねぇのかよ!」

「俺の事見てない、よそ見してた…」

よそ見なんか……と言おうと思ったが心当たりがありすぎるから何も言えなくなる。
そう言われたら、レイチェルちゃんの方を見てたけど…でもほんの数秒くらいの話だろ。
その後はちゃんと見たし、ゼロが拗ねる事じゃないだろ。

そう思っていたら、ゼロは「俺だけを見て俺だけ…」と恐ろしい顔をしていた。
怖いって、俺もストーカーにするつもりかよ。

とりあえず謝ると、ゼロがキスをしたら仲直りすると言ったから帰ろうと思った。
こっちはストーカーの要望なんて応える義理はないからな。

「ごめんツカサ、愛してる」

「愛の言葉がほしいわけじゃねぇって!」

「一緒にベッドに行こう、仲直りしよう」

「さっきより悪化してんじゃねぇか!一人で行け!」

抱きしめてきたからジタバタ暴れてゼロの腕を抜け出そうとしていたら、ドアがノックされた。

無視をするつもりみたいだが、俺はそれをチャンスだと思ってドアに向かって「あいてますよ!」と大声を出した。

さっき鍵を閉めていなかったから、鍵は開いている。
誰だか知らないが、好都合だ…隙を見て逃げればいい。

そう思ってドアが開くのをジッと見つめていた。

てっきりいつものアイツかと思っていたが、それは意外な人物だった。

「失礼する」

「ブライド?珍しいな」

俺の声に反応したブライドは、まさか他に人がいると思わなかったみたいで驚いていた。

ちなみに、ブライドと会ったのは猫姿の俺だから今のオレとは初対面だ。

ブライドは「客人がいるとは思わなかった、すまない…出直そう」と言って帰ろうとしていた。

ヤバい、このままだとブライドが帰ってしまう!
俺は慌てて「俺もう帰るんでお構いなく!」とゼロから離れようとした。
しかし、全くゼロが話してくれない…しかもさらに抱きしめてくる。

「君は、ゼロの恋人なのか?」

「こんな嫌がっている恋人がいるわけ…」

「そうだけど」

俺が否定しようとしたのに、ゼロは平然と嘘を言いやがった。
ブライドにまで勘違いされたじゃん!どうしてくれるんだよ!

ブライドは見ると、眉を寄せていてゼロを睨んでいた。
そんなに怒る事か?同僚が男と付き合っているだけで?…いや、違うけど…

そういえばブライドは何しに来たんだ?優勝したゼロに労いの言葉でも掛けにきたのか?

ゼロはゼロでブライドを鬱陶しそうな顔をしている。

「君は、あんな事を言っていたのに他に男がいるなんて」

「「は?」」

俺とゼロは声を合わせるように、間抜けな声を出した。

誰が何を言ったって?この部屋の主はゼロだからゼロに言っているんだろうけど…

ゼロを見ると、少しの間があり…再び「は?」と言っていた。

ゼロはあまりの驚きに腕の力が緩んでいて、その隙に抜け出した。
俺が抜けた事にすぐに気付いて、ゼロは俺を探して周りを見ていた。
しかし、すぐにブライドはゼロの胸ぐらを掴んでいて俺を見つけても俺のところには行けなかった。

「なんだ、離せ」

「僕に言っていただろ!自分を見ろと…正直急に言われても困るが…もう他の奴に目移りするなんて」

ブライドはとんでもない爆弾を落としていた。
まさか、ゼロがブライドにそんな事を言っていたなんて驚いた。
ゼロの顔が不愉快と言いたげなのが気になるけど…

俺は入り口まで歩いて、ゼロに「お幸せに」と言って部屋を出た。

まさかゼロとブライドが……全く想像もしていなかった。
ゲームではそんな素振りはなかった、普通に二人共女の子が好きだと思ったけど…

ブライドの場合は男でも猫グッズを身につけている人を見かけたら男女関係なく口説く男ではあった。
最終的に勘違いで終わるけど、ゼロって猫耳グッズ持ってたっけ。

疑問が残るが、まぁ…人それぞれだよな…俺が気にする事じゃない。
俺が好きだと散々言っておいて他にも言ってるのかよ!という気持ちはある。

誰かに告白されたのは初めてだったから余計にモヤモヤする。
ゼロの事なんて考えるのはやめた!レイチェルちゃんの店に行こう!

その日、結局レイチェルちゃんに会う気も起きずそのまま家に帰った。

ベッドに横になって、自分の影を見つめた。

「なんで付いて来たんだよ」

俺の影からゼロの影が覗いている、ゼロに会った時返したと思うんだけど…

影は俺の視界で揺れていて、腹が立つから布団を被せた。
さっさとブライドのところに戻ればいいのに…

……って、なんで俺が拗ねてるみたいになってんだよ!
あんな奴ほっとけ、ゼロなんて知るかよ…

布団は影ゼロに被せたから、ローブを被って寝た。

影ゼロがローブの中に潜ってきたから、思いっきり蹴飛ばした。
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