NPCのストーカーの件について

草薙翼

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変態ストーカーに狙われています

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ーーー

ふかふかのベッドの上で気持ち良さげに寝返りを打つ。
いいニオイが鼻を通り、安らかな眠りを誘う。

…何だろう、ぬるぬるとした感触で足がくすぐったい。
まるで犬に舐められてるみたいなそんな感じだ。
もぞもぞと足を擦り合わせながら動かしてかゆみから逃れようとする。

「コラコラ、たろー…ダメだろ…むにゃむにゃ」

愛犬のタロウがまた部屋に入ったのかと思い、寝ぼけながら緩く叱る。
大型犬だが、甘えん坊のタロウは家族の中で俺に一番なついていた。
子供の頃から一緒にいる可愛い俺の大切な家族だ。

頭が覚醒せず口をもごもごさせながらタロウに触れようと腕を伸ばす。
しかし、なんかタロウのふわふわした毛の感触ではなかった。

それでも深く考えようとはせず、二度寝しようかと思ってたら舐めるのを止めて枕元がギシッと軋んだ。

「……たろうって誰だ」

低くドスがきいた声がして無意識に寒気で震えた。
あれ?なんか人語が聞こえるけどタロウ喋れるんだっけ?
いやいやそんなバカな、タロウが人語を話すなんて初耳だぞ。
それによくある犬の鳴き声が空耳に聞こえるレベルではなかった。

まだ寝ぼけた目蓋をゆっくりと開けて、目の前の光景を見つめた。
そして一気に覚醒して、ベッドから飛び起きた。

「俺がいながら…誰だその男は…俺のもんに手を出した事を後悔させてやる」

「いやぁぁぁっっ!!!!!」

目の前に物凄い怖い顔で怒る超イケメンがいて、とりあえず枕を投げつけた。
顔面ヒットして少し気が緩んだところで慌ててベッドから出て部屋の隅に逃げる。

…あれ?この部屋、見慣れた俺の部屋じゃない?
俺の部屋はちょっと散らかっていてゲーム機や漫画本なんかが床に適当に置いている。
それに比べこの部屋は綺麗に片付いている…あまり生活感がなさそうな部屋だが…

それに俺はつい最近この部屋を見た事があるような…

「…ツカサ、彼氏を叩くとは随分お転婆だな…そういうプレイか?」

「誰が彼氏だ!そういうプレイとか知らないし!…ってか、は?…お前、ゼロか?」

パニックを起こして気付かなかった…そうだ、漆黒の影騎士のゼロだ。
なんで?なんで俺、起きたのに夢から覚めないの!?
頬をギュッと抓ると痛い…この痛みは本物!?

今までの感覚は寝相のせいだから夢だと思っていたのに、もし違ったら…
これがかの有名な異世界トリップというやつか!

意外と受け入れていた…ちょっとこういうのに憧れてたし…
いつか来た時みたいにひょっこり帰れるかもしれないし…
とりあえずレイチェルちゃんに会いに行こうとドアに近付くと、木製のドアがだんだん黒くなりあの手の影になった。

「あの手はお前のだったのかよ、ビビって損した」

「…まだ終わってない、何処にいくつもりだ?」

「は?終わってないってなにが…」

ゼロは視線を下げて何故か俺の足をジッと見る。
俺は短パンに裸足だった…あれ?ブーツ履いてた筈なんだが…
寝ながら脱いだ?俺、そんなに寝相悪かったのか?

そういえばさっき舐められてる気がしたな、タロウはいなかったけど…

………そう、この部屋にはコイツしかいなかったんだ。

いや、まさか…と思いながら疑いの眼差しを向ける。

「まだ太ももを舐めてない、愛でさせろ」

「いやぁぁぁっっ!!!助けてぇ!!誰かぁっ!!」

身の危険を感じて必死にドアを叩きまくるが影がガードしていて全く外に響かない。
なんつー厄介なものを…とぐぎぎと歯を噛み締める。

くるっとひっくり返されて、ゼロと向かい合う格好になった。
逃げないように両手をつきゼロの腕の中に閉じ込められる。

至近距離で黒い瞳に見られ、別の意味でドキドキしてきた。
浮気ってなんだよ、まだ恋人だと思ってんのか?

俺が女の子だったら楽しいイベントなのかもしれないが、俺は残念ながら男だ。
全く萌えないし、むしろほっといてほしいですね。

「…俺はお前の恋人だろ?」

「いえ違います」

ちゃんと違う事は違うとはっきり言わなきゃな。
俺は典型的な日本人のようなイエスマンにはならないぞ、絶対に!

早くしないと男としての大切なものを失う気がする。

短パンから肌を出す内股を撫でてフッと耳に息を吹きかけられた。
ぞわぞわと全身に鳥肌が立ってプルプルと震えた。
そして耳元で低音の無駄にいい声がして囁いた。

「…つかまえた」

女子諸君に聞きたい、本当にこんな変態野郎でいいのか…もっと他の男がいいと強く勧めるぞ。
最初のゴーストからして異世界トリップして俺のステータスが受け継がれているような気がするからきっと今のゼロの好感度は99%だ。
確か何処かの店で好感度を下げる薬があった筈だ。

…………あぁぁぁ~、レイチェルちゃんに使うわけないからって忘れていた自分が憎い!!

固まる俺の太ももをやわやわと揉む痴漢野郎。
はぁはぁ息遣いが聞こえてくる、マジでキモい。
ケツになんか硬いのが押し付けられてるような…考えないでおこう。

「さぁ、さっきの続きだ…ベッドに戻るぞ」

「嫌ですね」

「立ったままがいいのか、恋人の要望に答えよう」

じゃあ今すぐにそのセクハラの手を止めてくれお願いだから…
言ってもどうせ聞く耳を持たないんだろうけど…

立ったままってなんだと思ったが、世の中…これほど知らなくていい事があっただろうかと思うほど知らなくていいと思った。

これははっきりさせようじゃないか、うん。
何故そうなっているのか俺には一ミリも理解できないが…
俺には心に決めたレイチェルちゃんという子がいるんだ!

「俺はお前の恋人になった覚えはない」

なんで好感度がバグったのか知らないが、冷たくそう言う。
ゼロは何故かとても驚いた顔をしていて首を傾げていた。
…いやいやなんでそんな驚いてんだよ、焦げた炭あげた奴を恋人だと思う奴に一番びっくりだよ。

というかそもそも俺、告白イベントやってないんだけど…
なんで大切なイベントすっ飛ばされてるわけ?

これは運営にもの申したい、異世界トリップに運営なんているのか分からないけど…

「何を言ってる?俺に手作りの料理を作って渡してくれたじゃないか、俺のために苦手な料理を作ったのだろう…少し焦げていたが愛だと思えば美味しく食べられるさ」

そこら辺のストーリーはなかったが美味しく食べたの!?
…あぁ、そうか…ゼロを人間だと思っちゃいけないんだな…チートという名の化け物だし。
それに俺はレイチェルちゃんに手作り料理を作ったんだ…ちょっと失敗しちゃったけど…

まぁいい材料だったから苦味が多いだろうが、ちょっとは美味いかもな。
…全く食べたいとは思わないけど…レイチェルちゃんの手作りなら考える。

嫌がらせでゼロにあげただけだ、素直に言うと殺されそうだから言わないでおこう。

「いや、あれは…違う子に…」

「……違う子?」

「痛い痛い!」

太ももを撫でる手がギュッと強く揉むから怒るならまず揉むのを止めろ!と抗議する。
ゼロはよしよしと少し赤くなった太ももを撫でる。
…いや、まずは太ももを触るのを止めてくれ。

俺の太ももはゼロに翻弄されている、男の太ももなのに…
いちいち手つきがやらしいから嫌なんだよと頬を引きつらせる。

しかしゼロの顔は助平どころか、鋭い眼光で睨んでいて嫌なギャップにチビりそうなほどビビった。
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