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淫魔のお仕事※※突発的ss
ヨゾラのお仕事★3
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二冠を取ったのは誰だろう、とずっと気になっている。
美女になれて、美男になれる人なんて、千皇と楼依と弾しか分からない。
千皇と弾は理由があって不参加もあったから、考え的には楼依しかいないのだが、楼依以上のOBが居ても不思議では無い。
(……あ)
「……霧」
(常磐先輩なら知ってるかも)
「浅霧」
(後で聞いてみようかな……)
「浅霧っ!!」
怒鳴る様に名前を呼ばれて、ヨゾラは顔を上げた。
「話をちゃんと聞いていたのか?」
教壇に目を向けると、そこには担任ではなくクラス委員長の花井と、チョークで何かを黒板に書く副委員長の橋田が立っていた。
「……あ、……すみません」
ヨゾラは俯くと、小声で謝罪した。
花井は溜息を吐いた。
「文化祭の出店は、中庭でお好み焼き屋台に決まった」
「……はい」
「女装喫茶の支援にこのクラスから3名排出する」
「はい……」
「浅霧は女装喫茶の女装キャストとして多数決で決まった」
「はい……、……えぇっ!?」
ヨゾラは思わず机から身を乗り出した。
「女装って、女の子の格好するんだろ?」
「そうだ。フリフリのミニスカメイドを予定している」
「そんなの着れるわけねぇしっ!」
「話を聞いていない浅霧が悪い」
花井は眼鏡をクイッと押し上げた。
「それに、浅霧なら優勝を狙える筈だっ!!」
そんな事を言われても、と思った。
フリフリのミニスカなんて、曾爺さんがよく見るアニメの魔法少女を思い出した。
胸元から袖、スカートまでリボンやレースでフリフリで可愛いが、それを自分がなんてゾッとする。
それなら、敵役の黒いホットパンツの小悪魔の方がまだマシだ。
「俺達は優勝したいのだっ!浅霧は顔も性格も良いが、それをさらに俺達で磨き上げて、文化祭を盛り上げたいのだっ!!」
花井は拳を握りしめた。
「そして、一秒でも多く女生徒達と過ごしたいのだっ!!」
花井の熱弁に、他の生徒達もそーだそーだ!と騒ぎ出した。
「いやいやっ!俺より他にも適任者が……」
「浅霧ならイけるっ!!数年前、二冠を取ったあの方以上になれるっ!!」
花井の発言に、ヨゾラの動きが止まった。
花井は二冠を取ったOBを知っている。
なら、弾や常磐に聞くよりは気が楽だ。
あの方、と評言するくらいだ、きっと素晴らしく綺麗でカッコ良いのだろう。
そして、その人以上になれる、と花井は言った。
そこはどうでも良いのだが、どう言う風なのかも気になる。
「……その、二冠を取ったって人以上になれるなら、……どんな人か見せてくれるよな?」
「……ふむ」
「じゃねぇと勝てるか分からねぇだろ?返事はそれからにしてくんね?」
止まらない好奇心に、ヨゾラは挑発してみた。
花井はポケットからスマホを取り出す。
「良かろう!私の兄が伝説と同級生でな……」
手早くスマホを操作すると、足早にヨゾラの席に近づいた。
そして、ずぃっと画面をヨゾラに向けた。
画面には、『女装喫茶はコチラ』と看板を肩に掛けるように、ピンクのメイドが椅子に座っていた。
ミニスカートから伸びる無駄のない筋肉質の長い脚には白いニーハイのソックスを履いて脚を組み、胸元には赤く大きめのリボンを着け、腕を組んで居る為に良く見えないがフリフリの短い白いレースのエプロンを掛け、黒い髪の毛は少しだけ長めで1つに縛って居た。
白のヘッドドレスの両サイドには、濃いめのピンクの細いリボンが垂れ下がっている。
顔は、無表情と言うよりムッとしているが、何処か身近で見ている顔だ。
どことなくヤンキー感が漂って居るが、綺麗な人だ。
「この方は我が校二冠達成の伝説のOB……、姫神さんだっ!!!」
「勝てるかぁーっ!!!」
ヨゾラは思わず机を叩き速攻で叫び返した。
ただでさえ、普段から整った顔をしているのだ。
比べるにも程があるし、恐れ多い。
「姫神さんて、浅霧の義兄さんの?」
ふと、御手洗が聞いた。
「……義兄さん?」
キラリと花井のメガネが光った。
「確かにキレーだよな?ちょっと怖いけど」
「男の色気がスゲェよな?ちょっと怖いけど」
御手洗と富岡が頷きながら言った。
「物静かで大人の男だよね」
唐島までもが入って来た。
「……でも、浅霧も負けてないんじゃない?」
そう付け加えると、周りがうんうんと頷いた。
ヨゾラと楼依はタイプが違う。
また、こう言うのをカグヤとルシカが着るのとも違う。
これ以上になんてなれない。
しかも、スカートが短過ぎる。
「よしっ!先ずは姫神さんに取材を申し込もうっ!そこから美への追求をしようじゃないかっ!!」
花井は新聞部である。
そして、熱血感が否めない。
取材なんて楼依は嫌がるに決まっている。
「いやいやっ!!あの人、相当忙しいからっ!!取材とか嫌がるだろうし」
「義弟の為なら喜んでしてくれるだろう?」
楼依はこの事実を隠していた。
それなら余計に嫌な筈だ。
普段は確かに優しいが、優しいが故の恐怖はある。
「そ、それなら、女装はやらない」
ヨゾラは椅子に座り直した。
周囲からブーイングが怒った。
「そもそも、俺はそこまで可愛くも美人にもなれない。ウケ狙いにもならないし、裏方が良い」
「俺達は優勝したいんだっ!!」
「俺じゃなくたって優勝出来るだろ?」
「浅霧だって女の子に興味あるだろう?」
興味とは?
女性とはエルドラと瑠依しか交流がない。
友達以外のなんでもない。
「俺達はおこぼれでも出会いが欲しいっ!!」
「そーだっ!!」
「浅霧はバレンタインも他校の女生徒から貰っていただろうっ!?」
「そーだ!そーだっ!!」
半分冷やかしにも聞こえてしまう。
しかし、楼依だって忙しい。
日中は大学だし、夜はホストだ。
ぶっちゃけ、いつ寝ているんだろう、と心配になるくらい。
「新聞部はしつこいからねー。逃げれればいいけど」
唐島が呟くように言うと、小さく笑った。
美女になれて、美男になれる人なんて、千皇と楼依と弾しか分からない。
千皇と弾は理由があって不参加もあったから、考え的には楼依しかいないのだが、楼依以上のOBが居ても不思議では無い。
(……あ)
「……霧」
(常磐先輩なら知ってるかも)
「浅霧」
(後で聞いてみようかな……)
「浅霧っ!!」
怒鳴る様に名前を呼ばれて、ヨゾラは顔を上げた。
「話をちゃんと聞いていたのか?」
教壇に目を向けると、そこには担任ではなくクラス委員長の花井と、チョークで何かを黒板に書く副委員長の橋田が立っていた。
「……あ、……すみません」
ヨゾラは俯くと、小声で謝罪した。
花井は溜息を吐いた。
「文化祭の出店は、中庭でお好み焼き屋台に決まった」
「……はい」
「女装喫茶の支援にこのクラスから3名排出する」
「はい……」
「浅霧は女装喫茶の女装キャストとして多数決で決まった」
「はい……、……えぇっ!?」
ヨゾラは思わず机から身を乗り出した。
「女装って、女の子の格好するんだろ?」
「そうだ。フリフリのミニスカメイドを予定している」
「そんなの着れるわけねぇしっ!」
「話を聞いていない浅霧が悪い」
花井は眼鏡をクイッと押し上げた。
「それに、浅霧なら優勝を狙える筈だっ!!」
そんな事を言われても、と思った。
フリフリのミニスカなんて、曾爺さんがよく見るアニメの魔法少女を思い出した。
胸元から袖、スカートまでリボンやレースでフリフリで可愛いが、それを自分がなんてゾッとする。
それなら、敵役の黒いホットパンツの小悪魔の方がまだマシだ。
「俺達は優勝したいのだっ!浅霧は顔も性格も良いが、それをさらに俺達で磨き上げて、文化祭を盛り上げたいのだっ!!」
花井は拳を握りしめた。
「そして、一秒でも多く女生徒達と過ごしたいのだっ!!」
花井の熱弁に、他の生徒達もそーだそーだ!と騒ぎ出した。
「いやいやっ!俺より他にも適任者が……」
「浅霧ならイけるっ!!数年前、二冠を取ったあの方以上になれるっ!!」
花井の発言に、ヨゾラの動きが止まった。
花井は二冠を取ったOBを知っている。
なら、弾や常磐に聞くよりは気が楽だ。
あの方、と評言するくらいだ、きっと素晴らしく綺麗でカッコ良いのだろう。
そして、その人以上になれる、と花井は言った。
そこはどうでも良いのだが、どう言う風なのかも気になる。
「……その、二冠を取ったって人以上になれるなら、……どんな人か見せてくれるよな?」
「……ふむ」
「じゃねぇと勝てるか分からねぇだろ?返事はそれからにしてくんね?」
止まらない好奇心に、ヨゾラは挑発してみた。
花井はポケットからスマホを取り出す。
「良かろう!私の兄が伝説と同級生でな……」
手早くスマホを操作すると、足早にヨゾラの席に近づいた。
そして、ずぃっと画面をヨゾラに向けた。
画面には、『女装喫茶はコチラ』と看板を肩に掛けるように、ピンクのメイドが椅子に座っていた。
ミニスカートから伸びる無駄のない筋肉質の長い脚には白いニーハイのソックスを履いて脚を組み、胸元には赤く大きめのリボンを着け、腕を組んで居る為に良く見えないがフリフリの短い白いレースのエプロンを掛け、黒い髪の毛は少しだけ長めで1つに縛って居た。
白のヘッドドレスの両サイドには、濃いめのピンクの細いリボンが垂れ下がっている。
顔は、無表情と言うよりムッとしているが、何処か身近で見ている顔だ。
どことなくヤンキー感が漂って居るが、綺麗な人だ。
「この方は我が校二冠達成の伝説のOB……、姫神さんだっ!!!」
「勝てるかぁーっ!!!」
ヨゾラは思わず机を叩き速攻で叫び返した。
ただでさえ、普段から整った顔をしているのだ。
比べるにも程があるし、恐れ多い。
「姫神さんて、浅霧の義兄さんの?」
ふと、御手洗が聞いた。
「……義兄さん?」
キラリと花井のメガネが光った。
「確かにキレーだよな?ちょっと怖いけど」
「男の色気がスゲェよな?ちょっと怖いけど」
御手洗と富岡が頷きながら言った。
「物静かで大人の男だよね」
唐島までもが入って来た。
「……でも、浅霧も負けてないんじゃない?」
そう付け加えると、周りがうんうんと頷いた。
ヨゾラと楼依はタイプが違う。
また、こう言うのをカグヤとルシカが着るのとも違う。
これ以上になんてなれない。
しかも、スカートが短過ぎる。
「よしっ!先ずは姫神さんに取材を申し込もうっ!そこから美への追求をしようじゃないかっ!!」
花井は新聞部である。
そして、熱血感が否めない。
取材なんて楼依は嫌がるに決まっている。
「いやいやっ!!あの人、相当忙しいからっ!!取材とか嫌がるだろうし」
「義弟の為なら喜んでしてくれるだろう?」
楼依はこの事実を隠していた。
それなら余計に嫌な筈だ。
普段は確かに優しいが、優しいが故の恐怖はある。
「そ、それなら、女装はやらない」
ヨゾラは椅子に座り直した。
周囲からブーイングが怒った。
「そもそも、俺はそこまで可愛くも美人にもなれない。ウケ狙いにもならないし、裏方が良い」
「俺達は優勝したいんだっ!!」
「俺じゃなくたって優勝出来るだろ?」
「浅霧だって女の子に興味あるだろう?」
興味とは?
女性とはエルドラと瑠依しか交流がない。
友達以外のなんでもない。
「俺達はおこぼれでも出会いが欲しいっ!!」
「そーだっ!!」
「浅霧はバレンタインも他校の女生徒から貰っていただろうっ!?」
「そーだ!そーだっ!!」
半分冷やかしにも聞こえてしまう。
しかし、楼依だって忙しい。
日中は大学だし、夜はホストだ。
ぶっちゃけ、いつ寝ているんだろう、と心配になるくらい。
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唐島が呟くように言うと、小さく笑った。
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