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【26】魔力色を染める?(★)

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「あ、うあ……ン――!!」

 俺はユフェルに、バックから貫かれながら、シーツを握り締めている。息が苦しい。ユフェルとの体の関係が復活して、五日目の夜である。

 俺の腰をギュッと掴み、激しくユフェルは責め立ててくる。肌と肌が奏でる乾いた音と、香油とユフェルが先程までに放った白液が立てるグチャグチャという音を聞いて、俺は羞恥に駆られていた。しかし、そんな余裕は直ぐに無くなった。

 これまでユフェルは俺を正常位で抱く事が多かった。俺もその場合、ユフェルの顔が見えるから、どこかで安堵していた。怖ければ抱きつく事も出来るからだ。しかし後背位は少しだけ怖い。腕を寝台についた俺は、舌を出して必死で熱を息と共に逃しながら、快楽に泣いていた。

「あ、あ、あ」
「カルネの中は、熱いな」
「や、ぁ……ン――!!」

 ユフェルの陰茎の熱の方がずっと熱いと思うのだが、俺には反論する暇が無い。つながっている箇所と――手首から広がる熱が、全身を絡め取っている。唇を震わせた俺は、唾液をこぼした。その時、ユフェルがグッと奥深く貫いた状態で、俺の背中に体重をかけた。そうされると、腕をついていられなくなって、俺は寝台に潰れる。身動きが出来無い。感じる場所を突き上げられた状態で、俺は悶えた。

「あ、あ、ああああ! これ、やだ、ぁあ!」
「嫌か? 本当に?」
「ダメ、ダメ、あ、あ、なんかクる――うあああ!!」

 そのまま俺は中だけで果てかけた。すると見越していたようにユフェルが腰を揺する。

「うあ、あ、あ……あ、あ……いやああああ!」

 俺は絶叫した。日に日に、さらに奥深い場所を開発されていく。ユフェルの平均的な人間よりもずっと巨大で凶暴な、熱い質量で、俺の中は、いつも満杯だ。自分の内側が絡みついているのが理解できる。露骨にユフェルの形を内部で感じるからだ。

 中だけで果てさせられた俺が震えていると、再びユフェルが俺の中に放った。もう本日だけでも、ユフェルは四度も出している。一回一回も長いのだが、何度出してもすぐに硬度が元に戻る。俺は体力がある方だと自負しているが、ユフェルは俺以上だ。なにせ、まだまだ余裕たっぷりらしく、俺の耳の後ろを舌でなぞっているのだから……。

 ユフェルは俺の首筋に軽く噛み付くと、体を起こして、今度は繋がったまま俺を抱き起こして、後ろから抱きしめた。するとこれまでに無いほど最奥まで穿たれる形になり、俺は目を見開いた。睫毛が震えてしまったのが分かる。

「あ……――っ、ま、まって、コレ、コレは」
「コレは?」
「深い、あ、深い……や、やあ、ぁ……」
「嫌か?」
「ダメだ、もう、俺、おかしい、おかしいんだ。や、やだ、怖い。気持ち良い……うああ」

 俺の両胸の突起を弄びながら、ユフェルが俺の耳へと舌を差し込んできた。ゾクリとして、俺の陰茎が張り詰める。

 この頃になると、俺は手首から浮かんでくる熱にも、慣れ始めていた。ユフェルに触れられると、どうやら手首の伴侶紋が熱くなるらしいという事にも気づいていた。

 ユフェルが俺の陰茎に手をかけた。そうして擦られ、同時に最奥を思う存分突き上げられて、俺は果てた。そのままぐったりとユフェルに体を預ける。そうしているとユフェルが俺の中で緩やかに放った。

 ――事後。

 俺はぐったりと寝台に横になった。そんな俺を腕枕しながら、ユフェルが言った。

「悪いな、今日も無理をさせてしまった」
「……」

 否定は出来無い。実際、俺は体力の限界を、いつも感じるからだ。答えない俺を見て、ユフェルが苦笑を吐息に乗せた。

「どうしても、カルネの伴侶紋を染め上げてしまいたくてな」
「……? どういう事だ?」
「伴侶紋には、独特の個々人の魔力による色があるんだ。これは人間には見えないが」
「そうなんだ」
「ああ。体を重ねる事で、それを孕ませる側の魔力の色に染め上げる事が出来るそうだ。ハルレに聞いた」
「そうなると、どうなるんだ?」
「伴侶以外では、満足出来なくなる」
「?」
「つまり――君は、俺以外と恋愛を謳歌したいと願っても、少なくとも体は満足できなくなる。悪いな、俺の独占欲だ」

 それを聞いて、俺は目を瞠った。

「俺……もう、恋愛を他所でする気なんて無いぞ? イゼルもいるんだし」
「仮にイゼルがいなくとも、俺だけを見て欲しいんだ」

 もう見ていると言おうとしたが、恥ずかしくてその一言が出てこない。
 ――俺はまだ、ユフェルに好きだと伝えられないでいるのである。
 実際には、俺は、自分の隣にいる存在を、もうユフェル以外は思い描けない。だが、どうしてもそれを言えないでいる。

「子供は道具では無いと俺は考えているが、カルネを繋ぎ留められるのであれば、あと数人欲しいと願ってしまう」
「魔王の後継者としてじゃなく、か?」
「ああ。俺は今となっては、その考えは間違っていたと思っている。イゼルが望むのであれば、他の道があっても良いと感じている。自分が帝国との和平についてのある種の道具であると考えてばかりいたから、俺は実際にイゼルをこの腕に抱くまで、その点を考えられなかったらしい。それを教えてくれたのも、卵を産んでくれたカルネのおかげだ」

 その言葉に、俺は小さく両頬を持ち上げた。
 ――ユフェルは、俺の両親とは違うと思うのだ。きっと、イゼルを道具にしたりしないと、今では俺は信じている。

「それにしても、だな。こんなに毎晩、そ、その……シてたら、普通に、二人目の卵もデキちゃうんじゃないのか?」
「――伴侶紋に特別な魔力を送れば、避妊が可能だ」
「そうなのか?」
「ああ。二人目以降は、ゆっくりと検討しよう。二人で話し合って」

 ユフェルはそう言うと、俺の頬にキスをした。照れくさくなりながら、俺は頷いた。俺達は、もうきちんとした伴侶だと、漠然と感じた。ユフェルとならば、支えあって生きていける気がするのだ。


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