異世界クリエイター ~ゲームをしていたら、神様に剽窃されました~

猫宮乾

文字の大きさ
7 / 22
―― 第一章 ――

【007】シェアした異世界

しおりを挟む
 俺は宇宙のよう場所で、【シェア】を選択する。すると俺の右側に、三人の姿が現れた。

「あ、本当だ。自分が創った世界以外では、【神様モード】が出ないんだな」

 納得したように高橋が呟く。俺の画面には、きちんと出ている。そんな仕様があるとは知らなかった。

「【PLAY】を押せば良いんだよな?」

 夕陽がわくわくした様子で、俺を見る。大きく俺は頷いた。梓馬さんは特に何を言うでもなかったが、真っ先に姿が消失した。【PLAY】を選択したのだろう。

「じゃ、俺達も行こう」

 俺が言うと、二人が頷いた。
 こうして俺達は、みんなで俺が創った異世界へと入った。ゲームだけど、本当の異世界みたいに感じる。

 やはり先に梓馬さんは【PLAY】を押していたようで、俺が降り立った時には、正面に背中が見えた。俺はキョロキョロと周囲を見渡し、二人がいるのを確認してから、神様モードで位置を確認する。

「ええとね、ここはだな……麗森都市ベルスだ」

 都市としては小規模な場所で、端に大きな草原がある。俺達はまさにそこにいて、遠くには都市の時計台が見える。

「へぇ。本物みたいなんだな」

 梓馬さんが、特に笑うでもなく、かといって真面目でもない普通の表情で感想を述べた。

「本当に地球準拠なんだ。なるほどね」

 高橋が何やら納得している。

「NPCの人間は何処にいるんだ!?」

 兄だけテンションがとても上がっている。俺は時計台の方を指差した。

「多分街にいる。行くか?」
「行く!」

 俺と夕陽が歩きはじめると、後ろに高橋と梓馬さんが着いてきた。
 舗装された道を歩いて行き、街との境にある柵を通り抜け、俺達は都市の中に入る。行き交う人々は、年齢を問わず皆男性だ。夕陽の指示は、完璧にこなしたと思う。

「ここは人間の国だけど、余所にはエルフだったり獣人だったり色々いるし、共存している国もある」

 俺が補足説明すると、完全に歓喜している表情で、夕陽がニコニコしながら大きく頷いた。そんな夕陽の横顔を、チラリと梓馬さんが見ている。

「巨乳いる?」

 高橋が言った。するとピシリと夕陽が硬直した。

「巨根ならいる」

 俺が答えると、夕陽が両手で顔を覆った。梓馬さんが吹き出し、口を押さえながら笑い始める。高橋は不思議そうに首を捻ってから、改めて俺を見た。

「なんのために、R18にしてるんだ? 残酷要素あるんなら、俺は帰る。俺、血とか無理」
「いや、そういうのはないけど」
「信じられない。たまにお前って無駄な嘘つくし」
「いやいや、本当だって」
「一回外に出てから、ちゃんと聞く――……ん? あれ?」

 するとその時高橋が目を見開いた。

「な、なぁ? 【ログアウト】ボタンが無くないか?」
「へ?」

 言われて俺も見てみたのだが、絶句した。

「無い!」

 俺の言葉に、夕陽がきょとんとし、梓馬さんが眉間に皺を刻んだ。

「無いぞ、どういうことだ?」

 東さんが確認した直後、夕陽も目を丸くした。

「俺にも無い。全員無いと言うことは……バグか?」

 冷静な夕陽の声に、俺達他の三人は沈黙した。


しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

悪役令息に転生したらしいけど、何の悪役令息かわからないから好きにヤリチン生活ガンガンしよう!

ミクリ21 (新)
BL
ヤリチンの江住黒江は刺されて死んで、神を怒らせて悪役令息のクロエ・ユリアスに転生されてしまった………らしい。 らしいというのは、何の悪役令息かわからないからだ。 なので、クロエはヤリチン生活をガンガンいこうと決めたのだった。

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

「今夜は、ずっと繋がっていたい」というから頷いた結果。

猫宮乾
BL
 異世界転移(転生)したワタルが現地の魔術師ユーグと恋人になって、致しているお話です。9割性描写です。※自サイトからの転載です。サイトにこの二人が付き合うまでが置いてありますが、こちら単独でご覧頂けます。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

処理中です...