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―― 第一章 ――
【011】仲間と絶望
しおりを挟む僕は勇者を連れて魔王城へと戻った。
そして何事か相談するのだと言っていた勇者パーティを残し、ロビンと二人、再び城外へと出た。早くしなければ、今回の戦闘で亡くなったみんなの欠片が、霧散し消えてしまうからだった。
「前回よりは、死者の数が少ないですね」
僕が空中に浮いている砂を両手で受け止めていると、ポツリとロビンが言った。
「彼らは活気がある街だと言っていましたから、一般的な市民は殺さないで、城までやってきたのでしょうね。貴方を守ろうと、身を費やしたものだけが、亡くなった」
ああ僕のせいで、それでも多くの命が失われたのだなと思いながら、俯いて苦笑する。
人の命が失われることに、多いも少ないもないと、僕は思うのだ。
そんなことを考える時点で僕は、多分国の統治には向いていない。
魔族は〝自然〟から生を受けるから、すぐに多くの命が生まれる。だけど、たったの一人も、同じ魔族はいない。誰も、誰かの代わりにはなれないのだ。
「魔王様」
「うん」
「貴方の命を、皆が守ろうとした。貴方の命はそれだけ重いのです。どうか、お考えを改めて下さい。私も、アルト様を失いたくはない」
「有難うロビン。だけどそれでも僕は思うんだ。僕がいなければ、これ以上死者は増えないんじゃないかって」
「その様なことはありません。アルト様が魔王様になられて、それまで狂気に身を堕とし人間を襲っていた者達は、皆静まり理性を取り戻したのです」
ロビンは、前々からそう言う。
だけど僕は昔のことは、歴史書でしか知らないから、それがただの慰めの言葉に聞こえるのだ。
「ロビンは優しいね」
「そんなことはありません。死を望む貴方に、生きろと言っているのですから」
「……ロビンから見て、僕は死を望んでいるように見える?」
「ええ、とても」
そうなのだろうかと考えながら、僕は瓶に砂を詰めた。小さな瓶だ。
もう数百は砂を拾った。
――僕は一度死んで、この世界へやってきたはずなのに。
なのにどうして、死にたいなんて思うはずがあるんだろう?
多分僕は死にたい訳じゃないのだろう。何となく、全てに諦観みたいな気持ちを持っているのだと思う。異世界に来て僕が感じたのは、結局、何処にいようとも、僕は僕なのだというただそのことだけだった。部下は沢山出来たけれど、やっぱりコミュ障の僕には、親しい友達なんて出来ない。あちらの世界では、置田がいただけマシですらあったのかもしれない。だからいつも思う。
仲間が、信頼で結ばれた仲間がいる、勇者パーティが羨ましいと。
だから、それだからなのかもしれない。
彼らに倒されたいと思うのは。僕は、絶望する勇者達の姿なんて見たくはないのだ。
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