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―― 第一章 ――
【012】食事の時
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きっと、あの時僕が不老不死を望んだのは、長く生きていたら、誰か一人くらい本当に心を許せる相手が見つかるんじゃないかなんて、そんな希望を抱いていたからなのだと思う。
だけど結局僕は、力を得たこと以外なにも変わらないから、そんな相手には未だ巡り会えないでいる。
「すぐに生き返るというか、死なない僕が、死を求めるなんて、馬鹿げた話じゃないかな」
「ですが、痛みはあるでしょう?」
「……そうだね。だけどね、物理的な痛みより、心みたいな名前をした胸の奥の方が痛むんだ。どうしてなんだろう」
もしかしたら僕の内的世界は、醜く腐敗しているのかもしれない。
それだからこんな事を考えるのかもしれない。
「矮小な私でも、少しだけでも、魔王様のお心を軽くすることが出来れば良いのですが」「ロビン。君がいつも側にいてくれるから、僕は何とかやってこられたんだと思う。だけどね、もうそろそろ限界なのかもしれない」
弱音を吐く自分が、なんだか忌々しく思えた。
結局僕は誰かに慰められて、安堵したいだけなのかも知れない。
自分を肯定してもらって、そうすることで、生きていて良いのだと言ってもらいたいだけなのかもしれない。
そんな自分自身に、何よりも吐き気がする。
どうして僕はこんなに汚い存在になってしまったのだろう。心が砕け散りそうだった。
「その様なことを仰らないで下さい」
「ごめんね。そうだね、今は、弔いが先決だ」
「……そう言うことではないのですが……確かに時間はありませんね」
そうして僕らは、今回の戦闘で亡くなった皆の遺体を回収して周り、丘の上に墓石を立てた。白い十字架が、また千個近く増えたのだった。
城へと帰還すると、応接間に勇者達がいた。
「オニキスが残るって言うんなら、俺も残る」
最初に口を開いたのは、フランという名の魔術師だった。
紫に見える髪が揺れていた。
「僕も、残らせて下さい……」
続いて、悲しそうに瞳を揺らしながら、聖職者のルイが言った。
「そうだね。勇者一人じゃ危険だし、それが良いかもね」
僕が告げると、隣でロビンが溜息をついた。
「危険なのは、魔王様です。彼らは、魔王様のお命を狙っているのですから」
「あはは、それもそうだね」
朗らかに笑いながら、確かにそうだったなぁと僕は思った。
そんな僕を、勇者であるオニキスが、金色の瞳でじっと見た。
「どうかした?」
「……いいや」
オニキスはそう言うと視線を逸らす。何か言いたそうに見えたが、僕は何も聞かないことにした。
「食事の時間は何時が良い?」
僕は話を変えようと思い、柱時計を見る。今の僕は食事を取らなくても生きていけるが、基本的に人間は三度食事をするものだと知っていた。
「ロビン、客室の手配と料理の用意を」
「畏まりました」
僕らのそんなやりとりを、驚いたようにフランが見ている。
「俺達は、お前らを殺す気で此処にいるんだぞ。それ分かってる?」
「無論です。ですがご安心下さい、毒など盛りませんので」
ロビンが真面目くさった顔でそう告げると、紅茶を持っていたルイが咳き込んだ。
このようにして、僕とロビンと生き残った使用人の魔族――そして勇者達との共同生活が始まったのだった。
だけど結局僕は、力を得たこと以外なにも変わらないから、そんな相手には未だ巡り会えないでいる。
「すぐに生き返るというか、死なない僕が、死を求めるなんて、馬鹿げた話じゃないかな」
「ですが、痛みはあるでしょう?」
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それだからこんな事を考えるのかもしれない。
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弱音を吐く自分が、なんだか忌々しく思えた。
結局僕は誰かに慰められて、安堵したいだけなのかも知れない。
自分を肯定してもらって、そうすることで、生きていて良いのだと言ってもらいたいだけなのかもしれない。
そんな自分自身に、何よりも吐き気がする。
どうして僕はこんなに汚い存在になってしまったのだろう。心が砕け散りそうだった。
「その様なことを仰らないで下さい」
「ごめんね。そうだね、今は、弔いが先決だ」
「……そう言うことではないのですが……確かに時間はありませんね」
そうして僕らは、今回の戦闘で亡くなった皆の遺体を回収して周り、丘の上に墓石を立てた。白い十字架が、また千個近く増えたのだった。
城へと帰還すると、応接間に勇者達がいた。
「オニキスが残るって言うんなら、俺も残る」
最初に口を開いたのは、フランという名の魔術師だった。
紫に見える髪が揺れていた。
「僕も、残らせて下さい……」
続いて、悲しそうに瞳を揺らしながら、聖職者のルイが言った。
「そうだね。勇者一人じゃ危険だし、それが良いかもね」
僕が告げると、隣でロビンが溜息をついた。
「危険なのは、魔王様です。彼らは、魔王様のお命を狙っているのですから」
「あはは、それもそうだね」
朗らかに笑いながら、確かにそうだったなぁと僕は思った。
そんな僕を、勇者であるオニキスが、金色の瞳でじっと見た。
「どうかした?」
「……いいや」
オニキスはそう言うと視線を逸らす。何か言いたそうに見えたが、僕は何も聞かないことにした。
「食事の時間は何時が良い?」
僕は話を変えようと思い、柱時計を見る。今の僕は食事を取らなくても生きていけるが、基本的に人間は三度食事をするものだと知っていた。
「ロビン、客室の手配と料理の用意を」
「畏まりました」
僕らのそんなやりとりを、驚いたようにフランが見ている。
「俺達は、お前らを殺す気で此処にいるんだぞ。それ分かってる?」
「無論です。ですがご安心下さい、毒など盛りませんので」
ロビンが真面目くさった顔でそう告げると、紅茶を持っていたルイが咳き込んだ。
このようにして、僕とロビンと生き残った使用人の魔族――そして勇者達との共同生活が始まったのだった。
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