魔王の求める白い冬

猫宮乾

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―― 第三章 ――

【054】酒場へ

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 《ボルケーノラミア》についたのは、日が沈む手前のことだった。
 三人は迷うことなく、宿屋兼酒場へと進んでいく。
 僕は、おずおずとその後をついていった。

 店の中は、大きな複数の声であふれかえっていて、思わず驚いてしまった。
 その店の二階に、二人一部屋で、二部屋取り、僕らは荷物を置きに出かけた。
 僕はオニキスと同じ部屋で、フランとルイが同じ部屋だった。

 昨日の火の当番もそうだったのだけれど、何故この組み合わせなのかはよく分からない。
 それから四人で合流して、下の酒場へと向かった。
 空いている席を無理矢理探し出して、座る。

「何か食べたい物はあるか?」

 フランにそう聞かれたので、僕は首を振る。そもそもどんな食べ物があるのか、分からないのだ。するとオニキスが立ち上がった。

「適当に選んでくる」
「あ、僕も行くよ」
「ルイ、助かる」

 そうしてオニキスと、ルイがカウンターの方へと向かっていった。
 どうやらあそこで注文する様子だ。
 残された僕を、フランがじっと見ていた。

「……?」

 首を傾げると、フランがニヤリと笑った。

「昨日は、オニキスと随分話し込んでたみたいだな」

 確かに話はしていたなぁと思い出す。

「特に変わった話はしてなかったと思うけど。起きてたの?」
「……俺的には、結構良い感じの雰囲気だったと思ったんだけどな。まぁ、起きてた」
「良い感じ? 良い感じって何? それと、遅くまで起きてるから、朝眠いんだよ」
「うーん……オニキスは苦労しそう。後な、俺は早く寝ても、朝は眠いんだよ」
「苦労?」

 フランの話はいまいち分からない。
 そんなことを考えていた時、番号札を持って、オニキスとルイが戻ってきた。
 その番号札を見て、店員さんが食べ物や飲み物を持ってきてくれるのだという。

 不思議なシステムだなぁと僕は思った。

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