53 / 84
―― 第三章 ――
【054】酒場へ
しおりを挟む《ボルケーノラミア》についたのは、日が沈む手前のことだった。
三人は迷うことなく、宿屋兼酒場へと進んでいく。
僕は、おずおずとその後をついていった。
店の中は、大きな複数の声であふれかえっていて、思わず驚いてしまった。
その店の二階に、二人一部屋で、二部屋取り、僕らは荷物を置きに出かけた。
僕はオニキスと同じ部屋で、フランとルイが同じ部屋だった。
昨日の火の当番もそうだったのだけれど、何故この組み合わせなのかはよく分からない。
それから四人で合流して、下の酒場へと向かった。
空いている席を無理矢理探し出して、座る。
「何か食べたい物はあるか?」
フランにそう聞かれたので、僕は首を振る。そもそもどんな食べ物があるのか、分からないのだ。するとオニキスが立ち上がった。
「適当に選んでくる」
「あ、僕も行くよ」
「ルイ、助かる」
そうしてオニキスと、ルイがカウンターの方へと向かっていった。
どうやらあそこで注文する様子だ。
残された僕を、フランがじっと見ていた。
「……?」
首を傾げると、フランがニヤリと笑った。
「昨日は、オニキスと随分話し込んでたみたいだな」
確かに話はしていたなぁと思い出す。
「特に変わった話はしてなかったと思うけど。起きてたの?」
「……俺的には、結構良い感じの雰囲気だったと思ったんだけどな。まぁ、起きてた」
「良い感じ? 良い感じって何? それと、遅くまで起きてるから、朝眠いんだよ」
「うーん……オニキスは苦労しそう。後な、俺は早く寝ても、朝は眠いんだよ」
「苦労?」
フランの話はいまいち分からない。
そんなことを考えていた時、番号札を持って、オニキスとルイが戻ってきた。
その番号札を見て、店員さんが食べ物や飲み物を持ってきてくれるのだという。
不思議なシステムだなぁと僕は思った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
332
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる