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第一章
悪夢にうなされて1
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月に雲がかかって暗い夜。
町から町までの間が開いていて途中で野宿をすることになった。
暗い夜は特に警戒が必要である。
人もそうだが野生動物もいるので火を絶やすことはできない。
キリアンもしっかりと旅の同行者となったので3人で交代で火を絶やさないように番をする。
月明かりのない夜はなんとなく陰鬱な気分になるものだとテシアは焚き火に枝を投げ入れながら思った。
お化けなどの存在は信じていないがそうした人ならざるものでも出てきそうな雰囲気がある。
「うぅ……」
「キリアン?」
それでも何かの事件が起こることの方が珍しい。
何事もなく時間が経っていく。
ぼんやりとしているとキリアンが小さく呻き声を上げた。
いつもは静かに寝ているキリアンにしては珍しいなとテシアは様子を覗き込む。
顔をしかめて苦しそうにしているキリアン。
どうやら悪夢でも見ているようだった。
「兄上……申し訳ありません」
寝言を呟き始めた。
「おっと」
これは聞いてはいけないかなと離れようとしたテシアの腕をキリアンが掴んで引き寄せた。
起きているのではない。
寝ぼけて伸ばした手がたまたまテシアの腕に当たった。
キリアンの上に倒れ込むようになったけれどそれでもキリアンは目を覚さない。
「違うのです……母上……」
煩わしくて腕の防具は外している。
キリアンの力が強くて腕に指が食い込む。
「キリアン……キリアン!」
気が済むまで待ってあげたいところであるがこのままでは腕が折れてしまうかもしれない。
テシアは掴まれていない方の手でキリアンの頬をペシペシと叩く。
「う……テ、テシア……さん?」
「起きたかい、寝坊助?」
ちょっとばかり起きるのが遅いので少し強めにビンタした。
腕を掴む力が少し緩んでキリアンが目を開けた。
「こ、交代ですか……?」
「そうだな、話をする前にこれを放してくれないか?」
テシアは腕を動かしてキリアンの目に入るところに持ってきた。
掴まれているところがかなりジンジンとしている。
「あっ、すいません!」
パッとキリアンは手を放した。
まだ状況は分かっていないがまた変なことをしてしまったことはすぐに察した。
腕をさすりながらテシアがため息をついて立ち上がる。
またやってしまった。
そんな思いもありながら同時にテシアが思っていたよりも軽くて、少しだけドキドキとしていた。
「ええと、何が……」
「覚えていないのかい? 君はうなされていたのさ」
「うなされて……」
テシアに指摘されてキリアンがハッとする。
見ていた悪夢を断片的に思い出したのだ。
「…………何か口走りましたか?」
「兄と母のことを」
ごまかそうかとも思ったが正直にキリアンが口にしたことを教えてやった。
変にウソをつくつもりにはならなかったのだ。
「そうですか……」
キリアンは寂しそうな目を細めた。
テシアも複雑な事情がありそうなので聞くことはしない。
2人とも口を開くことがなく長い沈黙が続いていた。
「眠れないので、少し聞いてくれますか?」
キリアンが口を開いた。
「……俺は良いところの家の出身です」
それはテシアも分かっていた。
キリアンは礼儀やマナーもしっかりしているし真面目で人柄も良い。
高い人間性がある。
良いお家柄で愛情を受けてきたのだろうと思った。
それに剣だって我流のものではなくどこかでちゃんと習ったものであることは見て分かる。
それに一般人は母上なんて上品に母親を呼ばない。
どんな家かまでは予想できないがそれなりにお金のあるお家柄だろうと推測していた。
だからキリアンから良い家の出だと聞かされても驚きはない。
「俺には腹違いの兄がいるのです。兄弟仲は悪くなく、俺はいつか兄の補佐でもしながら家の中で騎士でもしようと思っていました」
騎士を抱えているのだとしたらそれなりに大きな家でありそうだ。
「母も……兄が家を継ぐことを期待していました。俺もそう信じていたのですが…………兄は凡才でした」
ひたすらに焚き火の揺れる炎を見つめるキリアンの目には悲しみの色が浮かんでいた。
「鈍才とまではいきませんでした。しかし何を覚えるのにも時間がかかってようやく人並みになれるような人だったのです。そして俺は自慢じゃないですが多くのことを容易く覚える才覚がありました」
よくあるような話。
兄弟の中でも才能の違いが表れてしまう。
長兄が家を継ぐことが一般的な常識である家は多いので長兄に才能がある、あるいは皆それほどに差がないのなら問題はない。
しかし下の兄弟たちに才能が開花した時に問題が生じうる。
兄がそれなりにできるのならそのまま後継者となろうが長兄であることと兄弟の才能を天秤にかけた時に傾きが小さくなり、そして逆転したら後継者問題となるのだ。
解決方法はいくつもある。
そのまま長兄を後継者とする。
たとえば良い補佐や才能のある兄弟を補佐につけることや才能のある兄弟には早めに諦めてもらって、長兄に対する後継者教育を厚くする。
地盤を固めるために家臣の家と婚約させたりと才能が劣っていても乗り切れるような対策を取っておく。
町から町までの間が開いていて途中で野宿をすることになった。
暗い夜は特に警戒が必要である。
人もそうだが野生動物もいるので火を絶やすことはできない。
キリアンもしっかりと旅の同行者となったので3人で交代で火を絶やさないように番をする。
月明かりのない夜はなんとなく陰鬱な気分になるものだとテシアは焚き火に枝を投げ入れながら思った。
お化けなどの存在は信じていないがそうした人ならざるものでも出てきそうな雰囲気がある。
「うぅ……」
「キリアン?」
それでも何かの事件が起こることの方が珍しい。
何事もなく時間が経っていく。
ぼんやりとしているとキリアンが小さく呻き声を上げた。
いつもは静かに寝ているキリアンにしては珍しいなとテシアは様子を覗き込む。
顔をしかめて苦しそうにしているキリアン。
どうやら悪夢でも見ているようだった。
「兄上……申し訳ありません」
寝言を呟き始めた。
「おっと」
これは聞いてはいけないかなと離れようとしたテシアの腕をキリアンが掴んで引き寄せた。
起きているのではない。
寝ぼけて伸ばした手がたまたまテシアの腕に当たった。
キリアンの上に倒れ込むようになったけれどそれでもキリアンは目を覚さない。
「違うのです……母上……」
煩わしくて腕の防具は外している。
キリアンの力が強くて腕に指が食い込む。
「キリアン……キリアン!」
気が済むまで待ってあげたいところであるがこのままでは腕が折れてしまうかもしれない。
テシアは掴まれていない方の手でキリアンの頬をペシペシと叩く。
「う……テ、テシア……さん?」
「起きたかい、寝坊助?」
ちょっとばかり起きるのが遅いので少し強めにビンタした。
腕を掴む力が少し緩んでキリアンが目を開けた。
「こ、交代ですか……?」
「そうだな、話をする前にこれを放してくれないか?」
テシアは腕を動かしてキリアンの目に入るところに持ってきた。
掴まれているところがかなりジンジンとしている。
「あっ、すいません!」
パッとキリアンは手を放した。
まだ状況は分かっていないがまた変なことをしてしまったことはすぐに察した。
腕をさすりながらテシアがため息をついて立ち上がる。
またやってしまった。
そんな思いもありながら同時にテシアが思っていたよりも軽くて、少しだけドキドキとしていた。
「ええと、何が……」
「覚えていないのかい? 君はうなされていたのさ」
「うなされて……」
テシアに指摘されてキリアンがハッとする。
見ていた悪夢を断片的に思い出したのだ。
「…………何か口走りましたか?」
「兄と母のことを」
ごまかそうかとも思ったが正直にキリアンが口にしたことを教えてやった。
変にウソをつくつもりにはならなかったのだ。
「そうですか……」
キリアンは寂しそうな目を細めた。
テシアも複雑な事情がありそうなので聞くことはしない。
2人とも口を開くことがなく長い沈黙が続いていた。
「眠れないので、少し聞いてくれますか?」
キリアンが口を開いた。
「……俺は良いところの家の出身です」
それはテシアも分かっていた。
キリアンは礼儀やマナーもしっかりしているし真面目で人柄も良い。
高い人間性がある。
良いお家柄で愛情を受けてきたのだろうと思った。
それに剣だって我流のものではなくどこかでちゃんと習ったものであることは見て分かる。
それに一般人は母上なんて上品に母親を呼ばない。
どんな家かまでは予想できないがそれなりにお金のあるお家柄だろうと推測していた。
だからキリアンから良い家の出だと聞かされても驚きはない。
「俺には腹違いの兄がいるのです。兄弟仲は悪くなく、俺はいつか兄の補佐でもしながら家の中で騎士でもしようと思っていました」
騎士を抱えているのだとしたらそれなりに大きな家でありそうだ。
「母も……兄が家を継ぐことを期待していました。俺もそう信じていたのですが…………兄は凡才でした」
ひたすらに焚き火の揺れる炎を見つめるキリアンの目には悲しみの色が浮かんでいた。
「鈍才とまではいきませんでした。しかし何を覚えるのにも時間がかかってようやく人並みになれるような人だったのです。そして俺は自慢じゃないですが多くのことを容易く覚える才覚がありました」
よくあるような話。
兄弟の中でも才能の違いが表れてしまう。
長兄が家を継ぐことが一般的な常識である家は多いので長兄に才能がある、あるいは皆それほどに差がないのなら問題はない。
しかし下の兄弟たちに才能が開花した時に問題が生じうる。
兄がそれなりにできるのならそのまま後継者となろうが長兄であることと兄弟の才能を天秤にかけた時に傾きが小さくなり、そして逆転したら後継者問題となるのだ。
解決方法はいくつもある。
そのまま長兄を後継者とする。
たとえば良い補佐や才能のある兄弟を補佐につけることや才能のある兄弟には早めに諦めてもらって、長兄に対する後継者教育を厚くする。
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