恐怖!巣喰い主の怪

トマトふぁ之助

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にえ

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 ぼんやりと心地がいい。ふうふうと熱い吐息を吐いて寝返りを打ち、青年は何かに肩を支えられる。
 「……?」
 くちくち。右耳が痒くて、何か詰まったように煩い。そうかと思えば……プールで水が入った時のように全ての音が遠くなる。
 「あっ、あ、ん……♡うぁ……っ」
 星野は身震いをした。下半身がぬるい。漏らしていると気づかないほど、彼は脳の一部を啜られきっていた。重く気怠い吐息がかかる。誰かが青年の服を剥ぎ、粗相の後始末をしていた。
 「え……?え、あ、れ……っここ、どこ……」
 上手く身動きできない。平衡感覚が掴めず星野は寝台に倒れてしまう。何本もの長い腕が青年のしなやかな四肢に伸び、それを医療用ベッドに固定する。緑のビニールは破れ、クッションとなるスポンジは劣化して飛散していたが、それでも獲物を固定する台には丁度いい。
 「……ッあ!?ああっ♡!!あぅ、うう~っ……♡♡♡」
 ———それは牙で傷をつけぬよう、露出した青年の陰茎へ激しくしゃぶりついた。唾液をたっぷり含ませた長大な舌で緩急つけて全体をしごく。吐精まであっという間だった。一分と持たず、星野は絶頂へと導かれ———望外の快感に背をたわめ、つま先を伸ばす。
 獲物の遺伝子情報を咥内で解析しながら、それは舌を長々と伸ばし、獲物の孔に這わせ始めた。
 「…………」
 「あっ♡あ、あっ……♡イく、またぁ……っ♡やだ、やぁあっ♡おっ♡!!」
 舌先には鉤針がついていた。粘膜をざらついた舌の腹であやしながら、等間隔に毒針を打ち込んでいく。筋弛緩効果を持つ麻痺毒により、青年はひどく怯えながらも高く喘いだ。凄まじい性感の波が脳を襲っているはずだ。……隘路を蹂躙し終える頃には、星野の顔は蕩けきり、すっかり侵略者の腕に身を寄せていた。
 「あ……あー♡んっ♡ン……」
 母体にするには僅か薄い尻を震わせ、皮膚を桃色に紅潮させてこちらを見上げている。……焦点が結べないのだろう、星野は快楽の元凶へ手を延べる。
 外宇宙からの侵略者は、白く長い脚でその手を握るとベッドへしっかり縫い止めた。胴を跨ぎ、目標に体重をかけて潰さないよう慎重に———グロテスクな性器を突き入れる。
 「……えっ?あ、……あっ♡———あァああアッ♡♡♡!!」
 柔らかな肉の鞘を割き、ピストン運動を開始しても青年は痛みを感じない。そういう毒をたっぷり粘膜に打ち込まれた後だ。丹念に下拵えした獲物は非常によく仕上がっていた。ごちゅごちゅ♡と激しく敏感な腸壁を掻いてやると、星野は泣きじゃくりながら悦がり狂う。麻痺毒を打ち込んだ箇所は僅かに膨れて甘くしこっており、こづいてやるだけで稲妻のような快楽を青年にもたらした。
 どちゅっ♡!バチュッ♡!!ごりごりごり……っ♡♡♡!!
 「いやァアあッ!!やべて、らぇえええッ♡♡♡!!」
 拷問に似た肉の法悦に獲物が喚く。いきの良い彼の手を六本の指で握り直し、それは更に苛烈に腰を振り始めた。ようやく回ってきた己の宿主に体を馴染ませるべく、人間に似せた巨躯で交尾を行う。
 ……それの振るう槌のような突きが快楽の矢となって、青年の肢体を幾度も蹂躙していく。星野の意識は白く焼き潰されて思考もままならない。暴れるがために押さえつけられていた手も、やがて力を失い繋がれるがままになり……数時間たつ頃には、恋人のように指の股を絡めて至福を訴え始めた。
 「アッ♡はぁ……っ♡ふ、ふうぅっ……♡……く、イくぅ……っ♡」
 ぎゅ♡ぎゅっ……♡すりすりと、怪物の一本多い指に人間の細いそれを絡め、縫い止められた昆虫の如く全身を弄ばれる。ベッドがぎしぎしと淫らに軋む。一歩部屋の外に出れば朝焼けが見られたはずだが、窓のない病室に捕らえられた星野は夜が明けたことなどわからない。時間の感覚もなく———ぼんやりとした頭で、向かいのベッドで同じように喘ぎ声をあげる幼馴染の声に、ただ心地よさを感じた。
 「ぅあ……っ♡ああァあア……っ♡♡♡イっちゃ……♡ァア~~~ッ♡♡♡」
 太ましい異形の鰓が吸い付く腸壁をこそぎ落としていく。数時間かけて抱き潰した青年の腹筋を大きな手が押さえ、亀頭の位置を理解させるように腰が振るわれる。みっちりと埋められた巨根に絶えず快楽を拾い上げてしまい、星野は枯れた喉で弱々しく喘いだ。
 「……もちぃい、気持ち、い……♡……~~~ッ♡あァ~ッ……♡♡♡」
 牛の息吹のような籠もった呼吸が耳にかかる。軽々とうつ伏せに転がされ、星野は腰だけを高く持ち上げさせられた。腰の打ち付けられる音、その間隔が早くなる。
 「———!!……あ、あっあっあ———……♡♡♡!」
 ドビュぅうう———ッ♡♡♡!!びゅくッ……ビュクク……ッ♡♡♡!!
 星野の胎へ氷のような精が注ぎ込まれる。放埒を受けて青年の表情は蕩けきり、上体は支え切らずにくったり寝台へと頽れた。直腸の奥深く、種を注がれた場所が激しく熱を持っている。射精は数分間も続けられた。その間もそれは腰を送り込み、硬く勃起したままの肉棒で獲物の性感を煽る。
 「はぁ、は……っ♡も、むり……イく、ずっと……♡イってるからぁ……♡♡♡」
 首筋にちくりと毒が流し込まれる。絶頂真っ只中から降りて来られない星野の後孔から勢いよく肉棒が抜かれ、代わりにそれの生殖肢が侵入を果たす。
 「———オ♡ぉおっ……♡♡♡」
 いっとう深くの腸壁に埋まるよう———滑った卵が植え付けられる。ちくり。ちくり———。頭が熱くてまわらない。お腹の奥が気持ちいい……。
 ……青臭い精臭の籠もった部屋で、二人は再び夜が来るまで嬲られ続けていた。
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