地球にとってのダイヤモンドの雨、なんてロマンチックすぎる例え

りりぃこ

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天王星

怖くなかったです

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※※※※
 天体観測の日から数日後、茉莉はいつものように、大学の講義室で一人、授業の開始をボーッと本を読みながら待っていた。
「おはよう」
 後ろから声をかけられる。慧だ。
「髪ゴム、ちょっとデザイン変えた?」
「そ、そうです。前より、天王星らしく美しい青を強くして、天王星に降り注ぐダイヤモンドの雨をイメージしたラメを散りばめてみました」
「うん、派手な土星に見えるよ」
 慧の言葉に、茉莉は不貞腐れる。
 もう、別にいい、自己満足だもん。

「おう、慧おはよう」
「おはよー天野!」
 数人の慧の友人がやってきて、慧に声をかけてきた。
 茉莉は、もう自分は関係無いと思って、また読書に戻った。
 しかし、友人の一人が茉莉の顔を覗き込んで言った。
「あれ?君、そうだ、前に慧と君、夜中に一緒に車から降りてきたの見たよー」
「えー、何何?!君、真面目そうに見えるのに夜遊びですかー?」
「いや、あの」
 面倒な事になった。茉莉には、こういう話題をうまく流すことは出来ない。
「彼女は、海衣さんの友達なんだよ。ほら、あんたは前に会ったことあるよね?一緒に天体観測行ったじゃん」
 慧は、友人の一人に言った。すると、言われた友人は、ああ、と思い出したかのように言った。
「あの、お前の幼なじみだっけ?恐いヤンキーの」
「えーヤンキー?」
 友人らが面白そうに反応する。
「そうそう、むっちゃ口悪いし、すぐキレるし、車の運転とかもマジ暴走車」
「へー慧、本当なの?」
 友人らが面白そうに慧に聞いた時だった。

「全然、恐くなかったです!」
 茉莉は思わず大きな声を出した。
「優しかった、です!」
 大人しそうな茉莉の、突然の強い口調に、慧の友人らはポカンとしてしまった。
 シラーっという空気が漂う。
 ああ、もう。いつも私はこうやって空気を悪くしちゃうんだ。茉莉は自己嫌悪に陥る。
 でも、だって。
 茉莉はイライラした。
 どうして?どうして好きな人があんな風に言われてるのに、黙ってるの?
 茉莉がイライラしていたのは慧にだった。

「ちょっと、あんたが悪いよー、友達の事そんな風に言われたら誰だってキレるでしょー」
 天野慧の友人の女のコが、さっき羽海をボロクソに言った友人をたしなめる。
「そうだよな。ごめんね」
 そう彼が言って、なんとなく空気も元に戻った。
 慧と友人達は、お喋りしながら別の離れた席に移動していった。

 あとから、慧からラインが入っていた。
『ごめんね、ありがとう』
 茉莉はそのラインを無視することにした。
 しかし、その後すぐに、慧から次の天体観測の予定日の確認のラインがきた。
 茉莉は、それも無視してやろうと思った。しかし、海衣からもラインが入っていて、とても楽しみにしているの書かれていたので、無視するわけにもいかなかった。
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