6 / 9
天王星
怖くなかったです
しおりを挟む
※※※※
天体観測の日から数日後、茉莉はいつものように、大学の講義室で一人、授業の開始をボーッと本を読みながら待っていた。
「おはよう」
後ろから声をかけられる。慧だ。
「髪ゴム、ちょっとデザイン変えた?」
「そ、そうです。前より、天王星らしく美しい青を強くして、天王星に降り注ぐダイヤモンドの雨をイメージしたラメを散りばめてみました」
「うん、派手な土星に見えるよ」
慧の言葉に、茉莉は不貞腐れる。
もう、別にいい、自己満足だもん。
「おう、慧おはよう」
「おはよー天野!」
数人の慧の友人がやってきて、慧に声をかけてきた。
茉莉は、もう自分は関係無いと思って、また読書に戻った。
しかし、友人の一人が茉莉の顔を覗き込んで言った。
「あれ?君、そうだ、前に慧と君、夜中に一緒に車から降りてきたの見たよー」
「えー、何何?!君、真面目そうに見えるのに夜遊びですかー?」
「いや、あの」
面倒な事になった。茉莉には、こういう話題をうまく流すことは出来ない。
「彼女は、海衣さんの友達なんだよ。ほら、あんたは前に会ったことあるよね?一緒に天体観測行ったじゃん」
慧は、友人の一人に言った。すると、言われた友人は、ああ、と思い出したかのように言った。
「あの、お前の幼なじみだっけ?恐いヤンキーの」
「えーヤンキー?」
友人らが面白そうに反応する。
「そうそう、むっちゃ口悪いし、すぐキレるし、車の運転とかもマジ暴走車」
「へー慧、本当なの?」
友人らが面白そうに慧に聞いた時だった。
「全然、恐くなかったです!」
茉莉は思わず大きな声を出した。
「優しかった、です!」
大人しそうな茉莉の、突然の強い口調に、慧の友人らはポカンとしてしまった。
シラーっという空気が漂う。
ああ、もう。いつも私はこうやって空気を悪くしちゃうんだ。茉莉は自己嫌悪に陥る。
でも、だって。
茉莉はイライラした。
どうして?どうして好きな人があんな風に言われてるのに、黙ってるの?
茉莉がイライラしていたのは慧にだった。
「ちょっと、あんたが悪いよー、友達の事そんな風に言われたら誰だってキレるでしょー」
天野慧の友人の女のコが、さっき羽海をボロクソに言った友人をたしなめる。
「そうだよな。ごめんね」
そう彼が言って、なんとなく空気も元に戻った。
慧と友人達は、お喋りしながら別の離れた席に移動していった。
あとから、慧からラインが入っていた。
『ごめんね、ありがとう』
茉莉はそのラインを無視することにした。
しかし、その後すぐに、慧から次の天体観測の予定日の確認のラインがきた。
茉莉は、それも無視してやろうと思った。しかし、海衣からもラインが入っていて、とても楽しみにしているの書かれていたので、無視するわけにもいかなかった。
天体観測の日から数日後、茉莉はいつものように、大学の講義室で一人、授業の開始をボーッと本を読みながら待っていた。
「おはよう」
後ろから声をかけられる。慧だ。
「髪ゴム、ちょっとデザイン変えた?」
「そ、そうです。前より、天王星らしく美しい青を強くして、天王星に降り注ぐダイヤモンドの雨をイメージしたラメを散りばめてみました」
「うん、派手な土星に見えるよ」
慧の言葉に、茉莉は不貞腐れる。
もう、別にいい、自己満足だもん。
「おう、慧おはよう」
「おはよー天野!」
数人の慧の友人がやってきて、慧に声をかけてきた。
茉莉は、もう自分は関係無いと思って、また読書に戻った。
しかし、友人の一人が茉莉の顔を覗き込んで言った。
「あれ?君、そうだ、前に慧と君、夜中に一緒に車から降りてきたの見たよー」
「えー、何何?!君、真面目そうに見えるのに夜遊びですかー?」
「いや、あの」
面倒な事になった。茉莉には、こういう話題をうまく流すことは出来ない。
「彼女は、海衣さんの友達なんだよ。ほら、あんたは前に会ったことあるよね?一緒に天体観測行ったじゃん」
慧は、友人の一人に言った。すると、言われた友人は、ああ、と思い出したかのように言った。
「あの、お前の幼なじみだっけ?恐いヤンキーの」
「えーヤンキー?」
友人らが面白そうに反応する。
「そうそう、むっちゃ口悪いし、すぐキレるし、車の運転とかもマジ暴走車」
「へー慧、本当なの?」
友人らが面白そうに慧に聞いた時だった。
「全然、恐くなかったです!」
茉莉は思わず大きな声を出した。
「優しかった、です!」
大人しそうな茉莉の、突然の強い口調に、慧の友人らはポカンとしてしまった。
シラーっという空気が漂う。
ああ、もう。いつも私はこうやって空気を悪くしちゃうんだ。茉莉は自己嫌悪に陥る。
でも、だって。
茉莉はイライラした。
どうして?どうして好きな人があんな風に言われてるのに、黙ってるの?
茉莉がイライラしていたのは慧にだった。
「ちょっと、あんたが悪いよー、友達の事そんな風に言われたら誰だってキレるでしょー」
天野慧の友人の女のコが、さっき羽海をボロクソに言った友人をたしなめる。
「そうだよな。ごめんね」
そう彼が言って、なんとなく空気も元に戻った。
慧と友人達は、お喋りしながら別の離れた席に移動していった。
あとから、慧からラインが入っていた。
『ごめんね、ありがとう』
茉莉はそのラインを無視することにした。
しかし、その後すぐに、慧から次の天体観測の予定日の確認のラインがきた。
茉莉は、それも無視してやろうと思った。しかし、海衣からもラインが入っていて、とても楽しみにしているの書かれていたので、無視するわけにもいかなかった。
0
あなたにおすすめの小説
俺と結婚してくれ〜若き御曹司の真実の愛
ラヴ KAZU
恋愛
村藤潤一郎
潤一郎は村藤コーポレーションの社長を就任したばかりの二十五歳。
大学卒業後、海外に留学した。
過去の恋愛にトラウマを抱えていた。
そんな時、気になる女性社員と巡り会う。
八神あやか
村藤コーポレーション社員の四十歳。
過去の恋愛にトラウマを抱えて、男性の言葉を信じられない。
恋人に騙されて借金を払う生活を送っていた。
そんな時、バッグを取られ、怪我をして潤一郎のマンションでお世話になる羽目に......
八神あやかは元恋人に騙されて借金を払う生活を送っていた。そんな矢先あやかの勤める村藤コーポレーション社長村藤潤一郎と巡り会う。ある日あやかはバッグを取られ、怪我をする。あやかを放っておけない潤一郎は自分のマンションへ誘った。あやかは優しい潤一郎に惹かれて行くが、会社が倒産の危機にあり、合併先のお嬢さんと婚約すると知る。潤一郎はあやかへの愛を貫こうとするが、あやかは潤一郎の前から姿を消すのであった。
俺に抱かれる覚悟をしろ〜俺様御曹司の溺愛
ラヴ KAZU
恋愛
みゆは付き合う度に騙されて男性不信になり
もう絶対に男性の言葉は信じないと決心した。
そんなある日会社の休憩室で一人の男性と出会う
これが桂木廉也との出会いである。
廉也はみゆに信じられない程の愛情を注ぐ。
みゆは一瞬にして廉也と恋に落ちたが同じ過ちを犯してはいけないと廉也と距離を取ろうとする。
以前愛した御曹司龍司との別れ、それは会社役員に結婚を反対された為だった。
二人の恋の行方は……
愛されないと吹っ切れたら騎士の旦那様が豹変しました
蜂蜜あやね
恋愛
隣国オデッセアから嫁いできたマリーは次期公爵レオンの妻となる。初夜は真っ暗闇の中で。
そしてその初夜以降レオンはマリーを1年半もの長い間抱くこともしなかった。
どんなに求めても無視され続ける日々についにマリーの糸はプツリと切れる。
離縁するならレオンの方から、私の方からは離縁は絶対にしない。負けたくない!
夫を諦めて吹っ切れた妻と妻のもう一つの姿に惹かれていく夫の遠回り恋愛(結婚)ストーリー
※本作には、性的行為やそれに準ずる描写、ならびに一部に性加害的・非合意的と受け取れる表現が含まれます。苦手な方はご注意ください。
※ムーンライトノベルズでも投稿している同一作品です。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
同窓会~あの日の恋をもう一度~
小田恒子
恋愛
短大を卒業して地元の税理事務所に勤める25歳の西田結衣。
結衣はある事がきっかけで、中学時代の友人と連絡を絶っていた。
そんなある日、唯一連絡を取り合っている由美から、卒業十周年記念の同窓会があると連絡があり、全員強制参加を言い渡される。
指定された日に会場である中学校へ行くと…。
*作品途中で過去の回想が入りますので現在→中学時代等、時系列がバラバラになります。
今回の作品には章にいつの話かは記載しておりません。
ご理解の程宜しくお願いします。
表紙絵は以前、まるぶち銀河様に描いて頂いたものです。
(エブリスタで以前公開していた作品の表紙絵として頂いた物を使わせて頂いております)
こちらの絵の著作権はまるぶち銀河様にある為、無断転載は固くお断りします。
*この作品は大山あかね名義で公開していた物です。
連載開始日 2019/10/15
本編完結日 2019/10/31
番外編完結日 2019/11/04
ベリーズカフェでも同時公開
その後 公開日2020/06/04
完結日 2020/06/15
*ベリーズカフェはR18仕様ではありません。
作品の無断転載はご遠慮ください。
嘘をつく唇に優しいキスを
松本ユミ
恋愛
いつだって私は本音を隠して嘘をつくーーー。
桜井麻里奈は優しい同期の新庄湊に恋をした。
だけど、湊には学生時代から付き合っている彼女がいることを知りショックを受ける。
麻里奈はこの恋心が叶わないなら自分の気持ちに嘘をつくからせめて同期として隣で笑い合うことだけは許してほしいと密かに思っていた。
そんなある日、湊が『結婚する』という話を聞いてしまい……。
15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~
深冬 芽以
恋愛
交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。
2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。
愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。
「その時計、気に入ってるのね」
「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」
『お揃いで』ね?
夫は知らない。
私が知っていることを。
結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?
私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?
今も私を好きですか?
後悔していませんか?
私は今もあなたが好きです。
だから、ずっと、後悔しているの……。
妻になり、強くなった。
母になり、逞しくなった。
だけど、傷つかないわけじゃない。
お前が欲しくて堪らない〜年下御曹司との政略結婚
ラヴ KAZU
恋愛
忌まわしい過去から抜けられず、恋愛に臆病になっているアラフォー葉村美鈴。
五歳の時の初恋相手との結婚を願っている若き御曹司戸倉慶。
ある日美鈴の父親の会社の借金を支払う代わりに美鈴との政略結婚を申し出た慶。
年下御曹司との政略結婚に幸せを感じることが出来ず、諦めていたが、信じられない慶の愛情に困惑する美鈴。
慶に惹かれる気持ちと過去のトラウマから男性を拒否してしまう身体。
二人の恋の行方は……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる