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不安が消える
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※※※※
その日、仕事の書類とにらめっこしながら弦人はため息をついていた。
「この店、最近ぼったくりバーの噂立ってるんだよね。ちゃんとマニュアルどおりやってんのかな。うちはギリギリのライン攻めてるんだからちゃんとやってくんないとヤバいのに。今度覆面調査手配しておいて」
「かしこまりました」
市原は頷いてすぐに手配をする。
「社長、そういえば組長からご伝言があります」
市原の言葉に、弦人は嫌そうに顔をしかめた。
「水沢組との会議なら出ないからね。あれいつも最後には殴り合いの喧嘩になるから怖いもん」
「それではなくて」
「じゃ何?」
「避妊はちゃんとしろとのことです」
市原の言葉に、弦人は思わず飲んでいたカフェオレを吹き出した。
「何言ってんの?!てか組長知ってるの?」
「出来たら結婚式は代々続く着物を着て欲しいのでお腹が大きくなるのは結婚式後にしてほしいとかなんとか」
「いやいや、そういうことじゃなくて!なんで知ってるの?」
「社長が仕事をサボってあの女と山奥に行った時に、理由を聞かれたので報告しておきました」
「しておかなくていいのに」
弦人は大きく咳き込みながらカフェオレを拭くと、大きなため息をついた。
「まだそんなんじゃないって伝えてよ」
「なんですか。まだあの女何かゴネてやがるんですか?」
「違うよ」
弦人は苦笑いした。
「市原はまだやっぱりハナちゃんが認められないの?」
弦人の問いに、市原は頷いた。
「ええ、あんな勝手な女。ただ、私のことは小姑とでも思って下さい。社長に近づくのはどんな女でも気に入らないんです」
「じゃあ逆に男ならいいわけ?」
「ああ、男の方がいいですね。男なら手加減せずに半殺しにできますから」
「怖……」
弦人はドン引きしながら書類を一旦整理した。
「別にハナちゃんは何もゴネてないよ。もう心も身体も俺のものだもん。でもね、やっぱり不安なんだよ」
弦人はそう言って大きくため息をついた。
「なんで見たことも無い奴の存在にこんなに不安になるんだろ」
「池田隼ですか。住んでいる場所は特定できたようですが、本人をまだ確保できていないようですね」
「逃げるのが上手だね。ハナちゃんと同じだ」
苦々しげに弦人は唇を噛んだ。
「あ、そういえばハナちゃんの前住んでたアパートの引っ越しの件、手伝ってくれる人手配してくれた?」
「明後日に集まってくれます。あの女にも伝えておきました」
「ありがとう」
これで一つは不安が消える。弦人はホッと息をついた。
その日、仕事の書類とにらめっこしながら弦人はため息をついていた。
「この店、最近ぼったくりバーの噂立ってるんだよね。ちゃんとマニュアルどおりやってんのかな。うちはギリギリのライン攻めてるんだからちゃんとやってくんないとヤバいのに。今度覆面調査手配しておいて」
「かしこまりました」
市原は頷いてすぐに手配をする。
「社長、そういえば組長からご伝言があります」
市原の言葉に、弦人は嫌そうに顔をしかめた。
「水沢組との会議なら出ないからね。あれいつも最後には殴り合いの喧嘩になるから怖いもん」
「それではなくて」
「じゃ何?」
「避妊はちゃんとしろとのことです」
市原の言葉に、弦人は思わず飲んでいたカフェオレを吹き出した。
「何言ってんの?!てか組長知ってるの?」
「出来たら結婚式は代々続く着物を着て欲しいのでお腹が大きくなるのは結婚式後にしてほしいとかなんとか」
「いやいや、そういうことじゃなくて!なんで知ってるの?」
「社長が仕事をサボってあの女と山奥に行った時に、理由を聞かれたので報告しておきました」
「しておかなくていいのに」
弦人は大きく咳き込みながらカフェオレを拭くと、大きなため息をついた。
「まだそんなんじゃないって伝えてよ」
「なんですか。まだあの女何かゴネてやがるんですか?」
「違うよ」
弦人は苦笑いした。
「市原はまだやっぱりハナちゃんが認められないの?」
弦人の問いに、市原は頷いた。
「ええ、あんな勝手な女。ただ、私のことは小姑とでも思って下さい。社長に近づくのはどんな女でも気に入らないんです」
「じゃあ逆に男ならいいわけ?」
「ああ、男の方がいいですね。男なら手加減せずに半殺しにできますから」
「怖……」
弦人はドン引きしながら書類を一旦整理した。
「別にハナちゃんは何もゴネてないよ。もう心も身体も俺のものだもん。でもね、やっぱり不安なんだよ」
弦人はそう言って大きくため息をついた。
「なんで見たことも無い奴の存在にこんなに不安になるんだろ」
「池田隼ですか。住んでいる場所は特定できたようですが、本人をまだ確保できていないようですね」
「逃げるのが上手だね。ハナちゃんと同じだ」
苦々しげに弦人は唇を噛んだ。
「あ、そういえばハナちゃんの前住んでたアパートの引っ越しの件、手伝ってくれる人手配してくれた?」
「明後日に集まってくれます。あの女にも伝えておきました」
「ありがとう」
これで一つは不安が消える。弦人はホッと息をついた。
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