王都の魔法学園のいんちき魔法使い 〜魔法なんて使えなくても世界最強〜

紅柄ねこ(Bengara Neko)

文字の大きさ
4 / 51

マジカルワールド?

しおりを挟む
 例えばここがアフリカ大陸のどこかだとする。
 なぜアフリカを出したのかと言われれば、それは僕自身がアフリカのことをほとんど知らないからに他ならない。

 もし今いた場所がアツィナナナの雨林だと言われればそのようにも感じるし、眼下の街がルアンダだと言われたら、疑いもなく聞き入れるだろう。
 まぁさすがにルアンダではないとは思うけども、そのくらい僕には情報がないのだ。

「やっと川まで着いた……
 さすがに子供の身体じゃ、歩き続けるのはキツイな……」

 とは言うものの、普段から歩いている身体なのか、前世で感じたほどの苦しさはなかった。
 洞窟で一人で生活するくらいなのだ。
 多少はスタミナもあるのだろう。

「ふぅ……見た感じ綺麗な川だし、飲めそうではあるけど。
 お腹を壊すかもしれないし、やめておくか」
 川水はできれば飲まない方がいいだろう。
 これが山で湧いていたものなら僕は迷わず飲んでいたかもしれないが。

 そうして服ごと身体を洗っていたのだが、冷たい水も意外と気持ちの良いものだった。
 川の流れもそれほど強くなかったので、僕は膝まで水に浸かり顔をつけたりして念入りに洗うことにした。

 足の裏、爪の隙間までしっかりと洗い、破れの多い服は脱いで洗ってしっかり絞る。
 そんな時、街の方角から女性の声が聞こえてきたのだ。
「ねぇ君……どうしたの?
 こんな所で遊んでいると危ないよ……」
 振り返ると、そこに立っていたのは木製の杖を持った若い女性。
 おそらくまだ十代であろうその子は、緑の柄が入った白くブカブカなローブを身に纏っていた。

 前髪の三分の一は長く、目から頬までの全てを隠すような髪型も印象的だ。
 そんな彼女に裸を見られて、若干恥ずかしいわけだが、なぜか僕が川から上がって濡れている服を着だしても、ずっとこちらを見ているようだった。

「あの……」
 まだ何か用事があるのか?
 まぁこちらとしても訊ねたいことは山ほどあるのだが、気になってこれをかけてみる。

 ところが、少女は突然相馬に向かって杖を突き出したのだ。
 近付くなということかと思ったが、その瞬間。
「かの者の衣服に残る無用な水を吹き飛ばし、幾らかの温もりを与えたまえ……
 ヒートウィンド!」

 ぞわっ……と背筋が凍りつくようだ。
 髪の毛で隠れた目を、さらに左手で覆い隠し、そして杖をかざして詠唱である。
 どこの夢見がちな厨二病かと思わざるをえない状況だ。

「あ、あれ?
 なんかあったかくなってきた……」
 しかも次第に濡れていた服は乾き、髪の毛も乾きボサボサになる。

「当然。
 私の魔法で乾かしているのだから……」
 静かに少女は喋る。
 そして俺はただただ唖然としていた。

 ここは魔法のある、完全なる異世界だったのだ……
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

狼になっちゃった!

家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで? 色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!? ……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう? これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』

KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。 日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。 アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。 「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。 貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。 集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。 そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。 これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。 今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう? ※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは 似て非なる物として見て下さい

処理中です...