王都の魔法学園のいんちき魔法使い 〜魔法なんて使えなくても世界最強〜

紅柄ねこ(Bengara Neko)

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マジカルワールド?

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 例えばここがアフリカ大陸のどこかだとする。
 なぜアフリカを出したのかと言われれば、それは僕自身がアフリカのことをほとんど知らないからに他ならない。

 もし今いた場所がアツィナナナの雨林だと言われればそのようにも感じるし、眼下の街がルアンダだと言われたら、疑いもなく聞き入れるだろう。
 まぁさすがにルアンダではないとは思うけども、そのくらい僕には情報がないのだ。

「やっと川まで着いた……
 さすがに子供の身体じゃ、歩き続けるのはキツイな……」

 とは言うものの、普段から歩いている身体なのか、前世で感じたほどの苦しさはなかった。
 洞窟で一人で生活するくらいなのだ。
 多少はスタミナもあるのだろう。

「ふぅ……見た感じ綺麗な川だし、飲めそうではあるけど。
 お腹を壊すかもしれないし、やめておくか」
 川水はできれば飲まない方がいいだろう。
 これが山で湧いていたものなら僕は迷わず飲んでいたかもしれないが。

 そうして服ごと身体を洗っていたのだが、冷たい水も意外と気持ちの良いものだった。
 川の流れもそれほど強くなかったので、僕は膝まで水に浸かり顔をつけたりして念入りに洗うことにした。

 足の裏、爪の隙間までしっかりと洗い、破れの多い服は脱いで洗ってしっかり絞る。
 そんな時、街の方角から女性の声が聞こえてきたのだ。
「ねぇ君……どうしたの?
 こんな所で遊んでいると危ないよ……」
 振り返ると、そこに立っていたのは木製の杖を持った若い女性。
 おそらくまだ十代であろうその子は、緑の柄が入った白くブカブカなローブを身に纏っていた。

 前髪の三分の一は長く、目から頬までの全てを隠すような髪型も印象的だ。
 そんな彼女に裸を見られて、若干恥ずかしいわけだが、なぜか僕が川から上がって濡れている服を着だしても、ずっとこちらを見ているようだった。

「あの……」
 まだ何か用事があるのか?
 まぁこちらとしても訊ねたいことは山ほどあるのだが、気になってこれをかけてみる。

 ところが、少女は突然相馬に向かって杖を突き出したのだ。
 近付くなということかと思ったが、その瞬間。
「かの者の衣服に残る無用な水を吹き飛ばし、幾らかの温もりを与えたまえ……
 ヒートウィンド!」

 ぞわっ……と背筋が凍りつくようだ。
 髪の毛で隠れた目を、さらに左手で覆い隠し、そして杖をかざして詠唱である。
 どこの夢見がちな厨二病かと思わざるをえない状況だ。

「あ、あれ?
 なんかあったかくなってきた……」
 しかも次第に濡れていた服は乾き、髪の毛も乾きボサボサになる。

「当然。
 私の魔法で乾かしているのだから……」
 静かに少女は喋る。
 そして俺はただただ唖然としていた。

 ここは魔法のある、完全なる異世界だったのだ……
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