王都の魔法学園のいんちき魔法使い 〜魔法なんて使えなくても世界最強〜

紅柄ねこ(Bengara Neko)

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魔法の世界 エルドラド

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「こ、この世界って魔法があるのかっ?」
 相馬自身も超能力は使えたのだが、目の前で他人がを使うところなど見たこともなかった。
 もしそれが、カードの数字を当てるだとか、テレポートして覆いかぶせた布から出てくるとかであれば、当然タネも仕掛けもあるトリックだとしか思わないだろう。

「な、なにこの子……
 魔法なんてそんな珍しくもないでしょ……」
 少女はたじろいでいた。
 そりゃあ万人が同じような魔法を使えるかと言われれば、そういうわけではないが。
 少なくとも人族であれば、聖霊の力を借りて風や火を出すことくらいは容易いはずなのだ。

 いわゆる下級魔法ライトマジックは、誰もが扱えて生活における必修スキルでもある。
「まぁ、5つか6つくらいの子にはまだ使えないでしょうけど……
 それで親……は?」
 少女は当たりを見回すが、荒野には岩か草かスライムか。

 少し考えて相馬も喋る。
「親はいないみたいです。
 気付いたらこの近くの洞窟にいて、街に入る前に身体だけ洗っておこうと思って」

 嘘は必ずどこかで矛盾が生じると思ったのだ。
 今世の記憶はないわけだし、目の前の少女は結構優しそうに見えたのだ。

「そう……
 じゃあ気をつけてね」
 スッと目を背けて、少女は川の下流へと歩き出す。
「いや、え?
 行っちゃうんですか?」
 そりゃあ捨てられて記憶を無くしたような子供には関わりたくないのかもしれないが、せめて街までは連れて行くとかなにか無いんですかね?
 などと思うと、相馬は急いで少女の後を追いかけていた。

「どうしてついてくるの?」
「なんでって言われても……」
 打算でしかない。
 見知らぬ街に入って、初めて見る人たちに声をかけるよりも楽そうだったから。
 少女なら優しそうだったし、魔法も気になる。

「私、今から仕事だし……」

「邪魔はしないようにします」

 前へと歩きながら会話は続く。

「それだけ物言いもしっかりしてるなら一人で平気でしょ……」

「ママいなくてさびちい……」

「嘘ね」

「嘘です」

 少女はため息を一つ。
 相馬が諦めてはくれないと知ると、振り向いて相馬の顔を見る。

「私はエーテル。
 見ての通り魔法使いだし、街に戻るまでしか相手しないから……」
「僕はそ……ソーマ。
 多分5歳です」

 こうして、二人はしばらく共に行動することになった。
 ちっぽけな物体を動かすだけではない。
 もっともっと凄いことのできる魔法が使える。
 そう思うと、ソーマは期待せずにはいられなかった……
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