王都の魔法学園のいんちき魔法使い 〜魔法なんて使えなくても世界最強〜

紅柄ねこ(Bengara Neko)

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原初の魔物 ゴブリン

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「ところでお仕事って何をされてるんですか?」
 ソーマは訊ねた。
 出会ったばかりの人と話すことなど天気か職業か。
 ここで嫌われては困るのだし、できる限り丁寧にと思うと、自然とこのような喋り方になってしまうのだ。

「……普通に喋ってくれない?」

 子供らしくなくて気持ちが悪い。
 馬鹿にされているように聞こえる。
 エーテルはソーマの喋り方が嫌だった。
「あ、ごめん。
 仕事って何してるの?」
「それでいいのよ。
 ……仕事は魔法教師よ。学校前の子に基本的なことを教えるの。
 どこの親も我が子だけは特別扱いされたいのね」

 ふむ。九九を覚えさせたり日本地図を買い与えたりするようなものか。
 魔法だと、それも簡単じゃないんだろう。
「じゃあ今からその生徒のところに行くんだね?」
「えっ……違うわよ。
 入学は春からだし、今は仕事もないから狩りをしているだけよ」

 季節は夏。
 雪は降らないみたいだが、空気が冷たくなった頃になると依頼があるそうだ。
「ほらいたわよ、アイツ」
 ソーマは、エーテルの指差す方を見る。
 深緑の皮膚に覆われた、二足歩行の化物。
 前傾姿勢でぽっこりと出た腹と尖った耳が特徴的だ。
 餓鬼とも見てとれるが、どうやらこれが今回の獲物『ゴブリン』であるらしい。

「あっ、気付かれた……」
 ポツリとエーテルは呟く。

 その瞬間、およそ50メートル先から鬼の形相で駆けてくるゴブリン。
 会話など成立しようもなさそうである。

「えっ?
 あれ、襲ってきてるの?!」
 平和な日本に、何かに襲われるなどという機会はそう無い。
 自分と同じくらいの背丈だが、それはおそらく子供の喧嘩では済まないレベルのものになるだろう。

 少しだけ怯えつつも、エーテルの魔法でどうにかなるとも思っていた。
 そして始まる魔法の詠唱。
「我ーー激情たる汝の半身より穿孔にたる業火の槍を賜らんとす。
 懇請に応じて、仇なす者を討ち滅ぼしたまえ。
 フレイムランス!!」

 長い。
 とにかく長くて、ゴブリンが残り3メートルの距離まで接近していたのだ。

 杖の先に渦巻いた炎が現れ、次第に細く長く象っていく。
 詠唱の終わりと同時に放たれたそれは、ゴブリンの胸を貫き、地面にまで大きな穴を開けていた。

 さらには、穴の空いたゴブリンの胸から、液体が噴き出す。
 それが顔にまで飛んできて、洗ったばかりの服もすぐに緑色で汚れてしまったのだ。

「あ、あぁなるほど……エーテルの服のそれって、ゴブリンの血だったのね?」
 エーテルの着ている服は何も変わらない。
 白い生地に深緑の模様。
 今、その模様が少し大きくなったのみ。

「ゴブリンだもの、服の汚れなんて気にしてたら相手できないわ……」


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