王都の魔法学園のいんちき魔法使い 〜魔法なんて使えなくても世界最強〜

紅柄ねこ(Bengara Neko)

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 筆記試験の最中、ソーマは色々と考える。
 険悪な仲になったところで、この先しばらくは一緒に暮らすのだからメリットはほとんどない。
 ましてや、喧嘩でもしようものなら成績に響きエーテルやケノンにも迷惑がかかるのではないかと考えてしまう。

「よーし、そこまでだ」
 ペストリー先生は次々に答えを言って、生徒には自己採点をさせている。
 4つの番号から正解を選ぶ選択式で、ソーマは試験のことなど上の空でそれを解いていたのだ。

 最後の50問目の答えを伝えられた時、ペストリー先生はソーマの横に立っていた。
「さすがソーマくんだな。
 しかし、まさか満点を取るとは思わなかったぞ」
「……あっ」

 魔法やマナ、詠唱や魔道具についてはエーテルから色々と聞いている。
 苦手な詠唱に関する問題も、意味を考えれば属性や効果はなんとなくわかるものだ。
 ソーマは余計なことばかり考えてしまい、またも適当な点数を取ることを失念してしまっていたのだ。

「くそっ……いい気になってられるのも今のうちだぞ……」
 なんだか遠くでモブのセリフが聴こえてくるようだ。
 フランは『凄い凄い』と喜んでいるが、それがソーマには少し苦しかった。

「フランさんも間違いは2問だけですか。
 これはエーテル先生の教え方が相当良いのでしょうねぇ」
 ペストリー先生が褒めれば誉めるほど、クラスの間に大きな溝ができるような気がしてしまうソーマ。
 しかし、初日は結局そのまま帰ることになってしまう。

 次の日ももちろん登校するのだが、学園の入り口ではソーマとフランの姿を見ようと他のクラスの生徒までもが入り口で待機をしていたのだ。
 こうなってしまえばソーマが取る手段は一つである。

「なぁオルト……
 僕が君をこの学園で一番の生徒に育ててやろうか?」
 切羽詰まったソーマの苦肉の策であった。
 これほどに注目を浴びては生活もし辛く、フランやケノンにも迷惑がかかってしまう。
「な、何ふざけたことを……」
 オルトもまた信用しないどころか、聞く耳を持たない状況だ。

「ふざけてなんていないよ……
 僕は目立ちたくはない。
 君はこの学園で優秀な成績を収めて卒業がしたい。
 打算だよ、打算。
 僕が君を有名な魔法使いにしてあげると言っているんだから素直に聞いてみてはどうだい?」

 本当なら殴ってやろうかとも思っていた相手だが、ソーマはそれを諦めた。
 常識を知るために学園に入学したというのに、既に特別視されてしまっているのだ。
 これでは常識を学ぶどころの話ではないと思い知ったのだった。
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