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討伐大会
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学園生活も数ヶ月が過ぎ、6歳になったソーマだが、あれ依頼ずっと大人しくしていた。
ケノンにも杖を強化したことがバレてしまい、次にその力を使ったら退学も考えなくてはいけないと言われたのだ。
強化……ではなく、マナを杖全体に行き渡らせただけなのだが、もし自然に任せて同じ杖を作ろうと思うと数百年はかかるだろうということだった。
世界にそのような杖が全く無いわけではないが、そんな何本もポンポン製作してしまっては他国との軋轢が生じてしまうだろう。
「師匠、今日は走りに行かないんですか?」
「あぁオルトか……うん、なんかやる気にならなくって……」
事件以来、オルトはソーマの言うことを聞くようになっていた。
例の杖が無くても、オルトの魔法の腕前はかなり上がっていたのだ。
毎日マナが枯渇するまで魔法を使わせられて、走り込みで疲れればポーションで強制的に回復させられた。
オルトもまた『どうせ効果なんて出ないだろうから、終わったら殴ってやる』と思いながら取り組んだおかげで効果はてきめんだった。
「俺も座学ばっかりで正直つまんないス。
あ、そういえばレッドの奴らにティアハント誘われてるんスけど、師匠たちも一緒にどうスか?」
「ティアハント?」
聞いたことのない言葉に首を傾げるソーマ。
「知らないっスか?
ティアラビットとかティアサーバルって生き物。
魔石を持たないティアアニマルを狩って得点を競うんスよ」
真夏の熱い時期が過ぎた頃、運動不足を解消するための祭りが行われるそうだ。
周辺の魔物は依頼を受けた冒険者が倒しておき、残ったティアアニマルのみを狩る大会が行われる。
ティアアニマルは数種類いて、ティアラビットが1点、ティアサーバルが2点、大人しいが怒らせると怖いティアバイソンは5点という高得点になっている。
25点が優勝の目安で、年によっては10点台が最高になることも多い。
逆に誰も40点を超えたことが無く、それもまた一つの目標だそうだ。
「しかも優勝したチームにはそれぞれ好きな武器が与えられるんスよ!
俺はやっぱり剣が欲しいっスね」
「へぇ……買うと高いし、狙ってみるのもいいかもね。
フランはどう?」
「えっ、私?
私は……今の杖があれば大丈夫かな。
刃のついたものって、なんだか怖いし。
あ、でも家の草刈りに使うから鎌なら欲しいかも」
「っしゃ、決まりだな師匠!
早速申し込んでくるぜ」
オルトは急いでギルドへと向かっていった。
「お兄様も倉庫の片付けに追われてるそうですし、今年も盛り上がりそうですわね」
ちなみにフランからの補足で、狩ったティアアニマルはその年の冬の備蓄にされるそうで、全てギルドが回収するらしい。
最後に鍋が振る舞われるが、それも前年の余りを消費してしまうのが目的だとも教えてくれたのだ。
そして時はあっという間に過ぎ、次の休みの日にそれは開催されることとなった。
ケノンにも杖を強化したことがバレてしまい、次にその力を使ったら退学も考えなくてはいけないと言われたのだ。
強化……ではなく、マナを杖全体に行き渡らせただけなのだが、もし自然に任せて同じ杖を作ろうと思うと数百年はかかるだろうということだった。
世界にそのような杖が全く無いわけではないが、そんな何本もポンポン製作してしまっては他国との軋轢が生じてしまうだろう。
「師匠、今日は走りに行かないんですか?」
「あぁオルトか……うん、なんかやる気にならなくって……」
事件以来、オルトはソーマの言うことを聞くようになっていた。
例の杖が無くても、オルトの魔法の腕前はかなり上がっていたのだ。
毎日マナが枯渇するまで魔法を使わせられて、走り込みで疲れればポーションで強制的に回復させられた。
オルトもまた『どうせ効果なんて出ないだろうから、終わったら殴ってやる』と思いながら取り組んだおかげで効果はてきめんだった。
「俺も座学ばっかりで正直つまんないス。
あ、そういえばレッドの奴らにティアハント誘われてるんスけど、師匠たちも一緒にどうスか?」
「ティアハント?」
聞いたことのない言葉に首を傾げるソーマ。
「知らないっスか?
ティアラビットとかティアサーバルって生き物。
魔石を持たないティアアニマルを狩って得点を競うんスよ」
真夏の熱い時期が過ぎた頃、運動不足を解消するための祭りが行われるそうだ。
周辺の魔物は依頼を受けた冒険者が倒しておき、残ったティアアニマルのみを狩る大会が行われる。
ティアアニマルは数種類いて、ティアラビットが1点、ティアサーバルが2点、大人しいが怒らせると怖いティアバイソンは5点という高得点になっている。
25点が優勝の目安で、年によっては10点台が最高になることも多い。
逆に誰も40点を超えたことが無く、それもまた一つの目標だそうだ。
「しかも優勝したチームにはそれぞれ好きな武器が与えられるんスよ!
俺はやっぱり剣が欲しいっスね」
「へぇ……買うと高いし、狙ってみるのもいいかもね。
フランはどう?」
「えっ、私?
私は……今の杖があれば大丈夫かな。
刃のついたものって、なんだか怖いし。
あ、でも家の草刈りに使うから鎌なら欲しいかも」
「っしゃ、決まりだな師匠!
早速申し込んでくるぜ」
オルトは急いでギルドへと向かっていった。
「お兄様も倉庫の片付けに追われてるそうですし、今年も盛り上がりそうですわね」
ちなみにフランからの補足で、狩ったティアアニマルはその年の冬の備蓄にされるそうで、全てギルドが回収するらしい。
最後に鍋が振る舞われるが、それも前年の余りを消費してしまうのが目的だとも教えてくれたのだ。
そして時はあっという間に過ぎ、次の休みの日にそれは開催されることとなった。
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