王都の魔法学園のいんちき魔法使い 〜魔法なんて使えなくても世界最強〜

紅柄ねこ(Bengara Neko)

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必殺技

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「わ、私もやってみたい!」
 初めて見たソーマの魔法……正確には魔法ではない何かを見たフランだったが、そのあまりの凄さに今の自分と比較をしたくなっていた。
 魔法の威力もそうだが、何よりエーテル先生の研究していたリダクションの完成系を見たような気がしたのだ。

 詠唱を縮める方法は、自らが精霊の役割を務めるという考えが一般的。
 自身のマナを体外に出すだけでは、魔法とは到底呼べない。
 火や水に変えて、それをどうするか、どう維持するかも自身で考え思考しなくてはならないのだ。
 そのためにはイメージとマナ操作という特殊な訓練が必要だった。

「だよね、ソーマくんっ!」
 割と丁寧に説明が入った気もするが、ソーマはそのフランの説明に対して『そうだね』と答える。
 遠くにいるティアラビットに狙いを定めてフランは構える。
 そしてオルトもまた、リダクションには興味があったのだ。

「正直……マナ操作のコツとか聞かれてもよくわかんないんだよなぁ……
 まぁイメージはなんとなくわかるけど……」
 最初からマナを好き勝手に動かすことのできたソーマは、一人ポツリと呟く。

 マナを動かすことはできても、魔法に変化させることはできないソーマ。
 その近くでうんうん唸りながら、杖の先からマナがこぼれ出まくるフラン。
「だめだぁ、やっぱり無理だよこんなの」
「そんなことないっスよ!
 ドバッと水が溢れてたし、あとちょっとっスよ」

 時折ポタポタ出ていたので、威力はともかく魔法自体はできていたようだ。
 エーテルですら、多大なマナを消費して効果はわずかだと言っていたのだから当然の結果ではあったが。

「あっ、逃げたっス!」
 さすがに時間をかけすぎてティアラビットはどこかへ消えてしまった。
「ごめんなさい……私のせいで」
 本番ならば、少しはマシな魔法が発動するかと思っていたフランだったが、そんなに甘いものではないのだと知った。
 いや、最初からわかってはいたのだが、自分よりも歳下の少年が見事な魔法を使ったものだから、さすがのフランも少々悔しいところもあったのだ。

「良いんじゃないっスか?
 まだ始まったばかりだし、俺たちなら100点くらいはすぐに取れるっしょ」
 オルトのその自信はどこから出てくるのかと疑問に思うが、逃したこと自体はソーマも特に気にしてはいなかった。

 さらに林の奥に行くと、ロープが張ってあり向こう側への移動は禁じられていた。
 大会の会場はわりと狭く、半径およそ1キロといったところだ。

「見つけたっス!」
 今度はティアラビットを発見したオルト自身で狙ってみると言う。
 詠唱を始めると、その声に気付いたティアラビットはソーマたちの方をジッと見ている。
「アースバレット!」
 地中から土がせり出して、細長くなったそれがティアラビットめがけて飛んでいく。

 威力や速度は魔法によって様々だが、物理的な威力は地魔法が一番だろう。
 しかし、動きの素早いティアラビット相手にそれは愚策である。
 速度だけならば風や火魔法の方が速いし、範囲もそちらの方が広い。
「あぁっ、避けるなっスよ!」
 そりゃあ当たったら死んでしまうのだし、避けもするだろう。

 しかし一目散に逃げるかと思ったティアラビットは、再びソーマたちを見る。
 背中を見せるよりも、警戒し続ける方が良いとでも思っているのか?
 それともナメられているのだろうか?

「も、もう一発っス!」
 再びオルトが魔法を放つが、ティアラビットもまたギリギリまでそれを引きつけてから避ける。
 もしかしたら遊ばれている可能性もあるようだ。

「惜しいよオルト、もうちょっとで当てられそうなのに」
 などとソーマも言うが、どう考えても無理そうだった。
 ならば、ギリギリでマナを操作して、ティアラビットの方向へ向きを修正してやろうかとソーマは考えていた。
 遠ければ遠いほどマナの操作は難しいが、不可能と言うほどでもない。
 前世ではさまざまな物体を宙に浮かせたりしていたのだから、という自信もソーマにはあった。

 そして三度魔法は放たれる。
「ぐさっ!」
 ティアラビットの喉元に、見事に刺さったのだ。
 しかしそれはオルトの魔法ではなかった。
「お前ら……さっきはよくもやりやがったな」
 太った少年は、これでもかと怒りを露わにしてソーマたちの前に姿を見せたのだった。
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