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決着の行方
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「こんなガキども放っておいて、さっさと狩りに戻ろうぜ。なぁ、ファット」
「うるせぇ、ナックは黙ってろ!
……俺は相手がガキだろうが、ナメられたまま引き下がるのは許せねぇんだよ」
太った少年たちは、剣を握ったままソーマたちの前に立ちはだかり、中でもファットというリーダーのような少年が今にも襲いかかってきそうな雰囲気さえ出している。
だが、もちろん個人的な恨みであろうが大会の戦略であろうが、参加者同士の争いは禁止である。
木の影から運営側の冒険者が気にして見ているのだろうが、今のところは止めに入る様子は感じられない。
「な……なんの事かわからないけど、獲物の横取りは感心できないかな」
ソーマも面倒なものに絡まれたもんだと思うが、そもそもが原因を作ったのがソーマたちなのだ。
逃げるにも足は向こうのほうが速いだろうし、魔法を放つわけにもいかない。
そんなソーマたちの状況を知ってか、ファットも勝ち誇ったように言う。
「とことんお前らの邪魔をするって決めたんでな。
獲物の横取りはルール違反じゃねぇし、これで万に一つもお前たちの優勝は無いだろうなぁ。
まぁ、お遊び程度の魔法で優勝するなんざ、端っから無理な話だろうがな」
ファットの後ろでナックと呼ばれた少年と、もう一人はやれやれといった様子。
ソーマたちもすぐに移動して場を離れようとするが、宣言通り少年たちはついてくる。
「ナックは向こうだ!
俺とレザはガキどもの動きを止めてやる!」
「オッケー、ティアラビットは任せてくれ」
獲物を発見すれば先回りして狩られてしまい、魔法を使おうにも少年たちが前に出て邪魔になり使えない。
優勝も狙えるならば狙いたかったソーマたちだが、次々と発見したティアラビットはファットたちの麻袋の中へ。
そうこうしている内に、日も沈み始めて終了の時刻が迫っていく。
「おっ?!
おいファット、向こうに良い獲物がいるぞ」
「なるほど、あれを仕留めればまだ優勝の可能性はあるな……
……ふん。おいレザ、ちょっと耳を貸せ」
ソーマたちも獲物の存在に気付いている。
首を地面に下げ草を食べている巨体。
茶色く大人しいティアアニマル最大級の獲物、ティアバイソン。
ファットたちも相談を終えたようで、ソーマたちに向かって不敵な笑みを浮かべている。
「よかったなお前ら。
俺らがあの獲物と戦っている内に逃げることもできるだろうよ。
今からでも必死に探せば、2点か3点くらいは取れるんじゃねぇか?」
クスクスと笑いながら、ファットたちはティアバイソンの元へ歩いていく。
そして狩りが始まるかと思ったその瞬間……
「ナック! レザ!
全速力で走れ!」
一足早く二人が猛ダッシュ。
ファットを残して、ティアバイソンではなくソーマたちの元へと駆けていく。
「な、なんだアイツら?
どうかしたんスか?!」
「どうもこうもしねぇよ!
やられたらやり返す! ……3倍にしてな!」
驚いたオルトに答えてやるようにファットは叫ぶ。
そしてそのままファットの右足がティアバイソンの顔に直撃だ。
そして逃走。
この中で誰よりも速いファットは、たちまちソーマたちを追い越した。
意表をつかれ出遅れたこともあり、焦ったフランが木の根に足を取られて転んでしまう。
「きゃっ!」
オルトもまた焦り、ソーマは転んだフランの声が可愛いなどと思っている。
「バァカ、そのままそいつに吹っ飛ばされちまえ!
ヤバかったら大人たちが助けてくれるだろうよ、じゃあな!」
最後の最後に厄介な獲物を押しつけてきたファットたち。
高得点よりも、純粋に嫌がらせを楽しんでおり、気分はかなり晴れたのであった。
「うるせぇ、ナックは黙ってろ!
……俺は相手がガキだろうが、ナメられたまま引き下がるのは許せねぇんだよ」
太った少年たちは、剣を握ったままソーマたちの前に立ちはだかり、中でもファットというリーダーのような少年が今にも襲いかかってきそうな雰囲気さえ出している。
だが、もちろん個人的な恨みであろうが大会の戦略であろうが、参加者同士の争いは禁止である。
木の影から運営側の冒険者が気にして見ているのだろうが、今のところは止めに入る様子は感じられない。
「な……なんの事かわからないけど、獲物の横取りは感心できないかな」
ソーマも面倒なものに絡まれたもんだと思うが、そもそもが原因を作ったのがソーマたちなのだ。
逃げるにも足は向こうのほうが速いだろうし、魔法を放つわけにもいかない。
そんなソーマたちの状況を知ってか、ファットも勝ち誇ったように言う。
「とことんお前らの邪魔をするって決めたんでな。
獲物の横取りはルール違反じゃねぇし、これで万に一つもお前たちの優勝は無いだろうなぁ。
まぁ、お遊び程度の魔法で優勝するなんざ、端っから無理な話だろうがな」
ファットの後ろでナックと呼ばれた少年と、もう一人はやれやれといった様子。
ソーマたちもすぐに移動して場を離れようとするが、宣言通り少年たちはついてくる。
「ナックは向こうだ!
俺とレザはガキどもの動きを止めてやる!」
「オッケー、ティアラビットは任せてくれ」
獲物を発見すれば先回りして狩られてしまい、魔法を使おうにも少年たちが前に出て邪魔になり使えない。
優勝も狙えるならば狙いたかったソーマたちだが、次々と発見したティアラビットはファットたちの麻袋の中へ。
そうこうしている内に、日も沈み始めて終了の時刻が迫っていく。
「おっ?!
おいファット、向こうに良い獲物がいるぞ」
「なるほど、あれを仕留めればまだ優勝の可能性はあるな……
……ふん。おいレザ、ちょっと耳を貸せ」
ソーマたちも獲物の存在に気付いている。
首を地面に下げ草を食べている巨体。
茶色く大人しいティアアニマル最大級の獲物、ティアバイソン。
ファットたちも相談を終えたようで、ソーマたちに向かって不敵な笑みを浮かべている。
「よかったなお前ら。
俺らがあの獲物と戦っている内に逃げることもできるだろうよ。
今からでも必死に探せば、2点か3点くらいは取れるんじゃねぇか?」
クスクスと笑いながら、ファットたちはティアバイソンの元へ歩いていく。
そして狩りが始まるかと思ったその瞬間……
「ナック! レザ!
全速力で走れ!」
一足早く二人が猛ダッシュ。
ファットを残して、ティアバイソンではなくソーマたちの元へと駆けていく。
「な、なんだアイツら?
どうかしたんスか?!」
「どうもこうもしねぇよ!
やられたらやり返す! ……3倍にしてな!」
驚いたオルトに答えてやるようにファットは叫ぶ。
そしてそのままファットの右足がティアバイソンの顔に直撃だ。
そして逃走。
この中で誰よりも速いファットは、たちまちソーマたちを追い越した。
意表をつかれ出遅れたこともあり、焦ったフランが木の根に足を取られて転んでしまう。
「きゃっ!」
オルトもまた焦り、ソーマは転んだフランの声が可愛いなどと思っている。
「バァカ、そのままそいつに吹っ飛ばされちまえ!
ヤバかったら大人たちが助けてくれるだろうよ、じゃあな!」
最後の最後に厄介な獲物を押しつけてきたファットたち。
高得点よりも、純粋に嫌がらせを楽しんでおり、気分はかなり晴れたのであった。
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