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総合得点
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夕焼け雲が空に広がり、大会は終了を告げられた。
各地にいる冒険者たちも会場に戻ってきて、運ぶのが大変なティアバイソンを担いでいたり、片や退屈そうであくびをしたりと状況は様々なようであった。
そんな中、参加者であるファットたちが戻ると、会場は大いなる歓声が沸き起こっていた。
帰り道でティアサーバルを3匹、ティアラビットは合計19匹に大会開始時のティアバイソン。
30点は、大会史上稀に見る高得点だったのだ。
「アイツら、うまい具合に獲物を見つけてくれたんで結果オーライでしたね」
「あぁ、まさか15匹も見つけるとはな。
まぁどれだけ見つけても俺たちがいたんじゃ運もへったくれも無いがな」
「去年なんて最高得点が17点だったし、もう優勝は決まりっしょ」
歓声に気持ちを良くしたファットたちは、係から受け取ったジュースを片手にすでに祝杯をあげている。
そして少し遅れてソーマたちも歩いて戻ってきたのだ。
手には最初に倒したティアラビットが1匹だけであり、ティアバイソンの姿は見受けられなかった。
「なんだ、アイツら結局ティアバイソンからは逃げられたのかよ。
もう1匹くらい見つけて押しつけてくりゃあ良かったぜ」
怪我もなく歩いて戻ってくるソーマたちに不満を洩らすファット。
「なんかアイツら笑ってません?」
「本当だ、何考えてんだか……」
他の二人もソーマたちを見てそれぞれ呟いている。
さらに後ろには別の参加者たちもいて、ティアバイソンを担いだ冒険者も現れる。
偶然別の参加者が発見して助けに入ったか横取りをしたか。
まぁそんなところだろうとファットは考えた。
「さぁ皆さん!
素晴らしい狩りのお時間は、あっと言う間に終わってしまいました!」
全ての参加者が戻り、司会の男性は再び会場を盛り上げる。
集計の終わったチームから、どんどんと成績を発表していき、会場に設置された大きなボードに書き加えられていく。
『チームアクトーー6点』
『チームベリルーー11点』
『チームソーマーー1点』
『チームロンドーー12点』
「1点のチームがあるじゃねーか」
「あれだろ? 魔法学園のちびっ子たち」
「あぁ、そういやいたな」
『チームパーロットーー18点』
「おぉ! 高得点じゃねーか!
よくやったパーロット!」
知り合いからの歓声だろう。
そんな声も次々と飛んでくる。
そんな場で、ファットたちはソーマの近くへやってくる。
「この分だと、俺たちの優勝は決定だな。
どこかのガキどもが獲物を見つけてくれるおかげで楽勝だったぜ」
嫌味なのはわかっていたが、ソーマもオルトも平然を装っている。
「おめでとうございます。
僕たちが役に立ったのなら良かったです」
そんなセリフを嫌味を言った相手から聞かされるのだから、苛立ちもするだろう。
まぁ今回は許す。
何故なら24点という高得点が今から発表されて、まだまだ良い気分になれるはずなのだから。
そうファットは思い、笑いながらその場を去ろうとしたのだった。
「おぉっと?!!
この得点は本当なのかぁ??
ティアバイソンを倒したチームの得点が、前代未聞だぞぉぉ!!」
司会は盛り上げるのがとても上手い。
前代未聞は言い過ぎだろうと思いながら、ファットは笑いを堪えられないのであった。
「俺たちのことじゃね?」
「あぁ、せっかくだからアイツらの前で笑ってから帰ってやるか」
ファットたちが立ち止まってニヤニヤとしている。
そして司会は続きを読み上げたのだ。
「チームアイシャ!
ティアラビット35匹にティアバイソン1匹!!
なんと誰もがなし得なかった40点の壁をぶち破ったーーー?!!」
そしてその瞬間、会場はかつて無いほどに沸き上がったのだった。
各地にいる冒険者たちも会場に戻ってきて、運ぶのが大変なティアバイソンを担いでいたり、片や退屈そうであくびをしたりと状況は様々なようであった。
そんな中、参加者であるファットたちが戻ると、会場は大いなる歓声が沸き起こっていた。
帰り道でティアサーバルを3匹、ティアラビットは合計19匹に大会開始時のティアバイソン。
30点は、大会史上稀に見る高得点だったのだ。
「アイツら、うまい具合に獲物を見つけてくれたんで結果オーライでしたね」
「あぁ、まさか15匹も見つけるとはな。
まぁどれだけ見つけても俺たちがいたんじゃ運もへったくれも無いがな」
「去年なんて最高得点が17点だったし、もう優勝は決まりっしょ」
歓声に気持ちを良くしたファットたちは、係から受け取ったジュースを片手にすでに祝杯をあげている。
そして少し遅れてソーマたちも歩いて戻ってきたのだ。
手には最初に倒したティアラビットが1匹だけであり、ティアバイソンの姿は見受けられなかった。
「なんだ、アイツら結局ティアバイソンからは逃げられたのかよ。
もう1匹くらい見つけて押しつけてくりゃあ良かったぜ」
怪我もなく歩いて戻ってくるソーマたちに不満を洩らすファット。
「なんかアイツら笑ってません?」
「本当だ、何考えてんだか……」
他の二人もソーマたちを見てそれぞれ呟いている。
さらに後ろには別の参加者たちもいて、ティアバイソンを担いだ冒険者も現れる。
偶然別の参加者が発見して助けに入ったか横取りをしたか。
まぁそんなところだろうとファットは考えた。
「さぁ皆さん!
素晴らしい狩りのお時間は、あっと言う間に終わってしまいました!」
全ての参加者が戻り、司会の男性は再び会場を盛り上げる。
集計の終わったチームから、どんどんと成績を発表していき、会場に設置された大きなボードに書き加えられていく。
『チームアクトーー6点』
『チームベリルーー11点』
『チームソーマーー1点』
『チームロンドーー12点』
「1点のチームがあるじゃねーか」
「あれだろ? 魔法学園のちびっ子たち」
「あぁ、そういやいたな」
『チームパーロットーー18点』
「おぉ! 高得点じゃねーか!
よくやったパーロット!」
知り合いからの歓声だろう。
そんな声も次々と飛んでくる。
そんな場で、ファットたちはソーマの近くへやってくる。
「この分だと、俺たちの優勝は決定だな。
どこかのガキどもが獲物を見つけてくれるおかげで楽勝だったぜ」
嫌味なのはわかっていたが、ソーマもオルトも平然を装っている。
「おめでとうございます。
僕たちが役に立ったのなら良かったです」
そんなセリフを嫌味を言った相手から聞かされるのだから、苛立ちもするだろう。
まぁ今回は許す。
何故なら24点という高得点が今から発表されて、まだまだ良い気分になれるはずなのだから。
そうファットは思い、笑いながらその場を去ろうとしたのだった。
「おぉっと?!!
この得点は本当なのかぁ??
ティアバイソンを倒したチームの得点が、前代未聞だぞぉぉ!!」
司会は盛り上げるのがとても上手い。
前代未聞は言い過ぎだろうと思いながら、ファットは笑いを堪えられないのであった。
「俺たちのことじゃね?」
「あぁ、せっかくだからアイツらの前で笑ってから帰ってやるか」
ファットたちが立ち止まってニヤニヤとしている。
そして司会は続きを読み上げたのだ。
「チームアイシャ!
ティアラビット35匹にティアバイソン1匹!!
なんと誰もがなし得なかった40点の壁をぶち破ったーーー?!!」
そしてその瞬間、会場はかつて無いほどに沸き上がったのだった。
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