王都の魔法学園のいんちき魔法使い 〜魔法なんて使えなくても世界最強〜

紅柄ねこ(Bengara Neko)

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アイシャたち

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 時は遡り、大会3日前。
 ソーマたちが教室で雑談をしているところに、別のクラスの生徒がやってくる。

「おぉ、アイシャじゃないっスか。
 お互いに大会頑張るっスよ」
「え……えぇ、そうね」
 レッドクラスの少女、12歳で金髪のお嬢様は悩んでいた。
 ただ、お嬢様らしい見た目とは裏腹に、割と男勝りな性格なのだとオルトが語っていたこともあった。
「どうしたんスか?
 いつもの元気が無いじゃないっスか」

 オルトとアイシャは旧友のようで、大会にオルトを誘ったのもこのアイシャだそうだ。

「実はちょっと相談があって……」
 若干重苦しくなる雰囲気の中、『なんでも言うっスよ。ソーマ師匠がなんとかしてくれるっス』などと言われてはアイシャの表情もさらに曇ってしまう。
 6歳児に何ができようか。
 しかも幼馴染でやんちゃな少年が、なぜか歳下の子を師匠呼ばわりだ。

 だが、アイシャも他に頼れるところがないのだろう。
「大会で優勝できない程度の実力なら、学園をやめろって……
 私がクラス分けでルビーを選択したからお母さん怒っちゃって……」

 どうやら、アイシャの母はアイシャに武器を持ってもらいたくはないらしい。
 大人しく家庭に入って穏やかな人生を歩んでほしいと思っていたらしく、魔法の道ですら若干の抵抗があったそうだ。

 それでも大会で優勝できてしまうくらいの才能があるなら、母も認めざるを得ないと言っているらしい。
 もちろん、そんなことはないだろうことは、アイシャの母もわかって言っているのだろうが。

「そんなのアイシャさんの自由じゃないの!」
 フランも珍しくちょっとしか怒りを表に出す。
「それがそうもいかないんスよね……
 アイシャんとこはお父さんもいないし、子供もアイシャ一人だから心配で仕方ないんスよ」

 親の反対を押し切ってまでやるべき事かと言われると困ってしまうものだろう。
 前世の相馬にも、危険な依頼があったりして、親がテレビ出演を拒否したことはあったのだ。

「ティナやシャロも、私の好きにしたら良いって言ってくれるんだけど……
 私もお母さんと喧嘩したいわけじゃないし」
「……っスよねぇ。
 じゃあ優勝してお母さんを納得させちゃえばいいんじゃないっスか?」
「そんな簡単に言わないでよっ。
 私たちの実力じゃ、ティアラビットを狩るのがせいぜいなのよ?」

 アイシャはティアハントが楽しみで、母にその事を報告したのだ。
 冒険者の真似事と言われようとも、街の外で狩りができる滅多にない機会。
 女の子らしくないのも良くわかっていたが、それでもオルトと共に冒険者になりたいという想いは隠し切ることができないでいた。

「じゃあ僕らが手伝ってアイシャさんを優勝させようよ。
 僕らが優勝を狙うよりも全然楽しそうじゃん」
 ソーマは優勝自体は簡単なことだとでも言いたげである。
 それを聞いてアイシャは再び不満そうにしている。

「そんなの、武道組のことを知らないから言えるのよ。
 毎年向こうが主役で、私たち学園組は
引き立て役なんだから」
「あぁ、武道組の奴らっスね。
 そういえば去年も大会開始と同時にティアサーバルの群れを狩ってたっスもんね」
「そうなのよ。
 ティアサーバルがあんなに群れることなんて聞いたことないのに。
 絶対になにかしてるとしか思わないじゃないの」

 話によれば、魔法ではなく武器を扱った訓練ばかりをやる武道組と呼ばれる人たちがいるそうだ。
 そして毎年優勝するのは武道組の中でも年長の者。
 開始時に大量得点を得て、そのまま有利な試合運びを行うのが通例になっているらしい。
 もちろん証拠などないが、おそらく前もって打ち合わせをしているのだろうという見解だった。

「まぁ僕らには裏技もあるし。
 アイシャさんが良いなら全然手伝うよ」
「そ……そこまで自信があるなら任せるわよ。
 どうせ私たちだけじゃ優勝なんて無理なんだし……」

 こうして、ソーマチームとアイシャチームは手を組むことになったのだ。
 マナを操ることができるソーマには、当然そのマナを感じ取る力もある。

 マナをもたないティアアニマルではあるが、マナをぶつければそこに何かが存在することは感じることができる。
 そう。ソーマの裏技とは、マナを使って隠れているティアアニマルを探すという、至極簡単なものであった。
 
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