王都の魔法学園のいんちき魔法使い 〜魔法なんて使えなくても世界最強〜

紅柄ねこ(Bengara Neko)

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ケノンの研究

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「おかえりケノンさん」
「おぉ、飯を作っておいてくれたのか」

 料理はどちらの仕事というわけではない。
 なんとなく食べたい時に食べたいものを作るのがソーマだった。
 しかし6歳に台所を任せるものかと言われれば、普通はそうではないだろう。

「今日は寒いし鍋にしておいたよ。
 まぁ、ケノンさん帰ってくるの遅いから冷めちゃったけど」
「構わん構わん。
 いやぁしかし、ソーマを嫁にもらえる奴は幸せだな」
「僕は男ですけど……」

 いつも通りのダラけたケノンが冗談を言いながら鍋をつつく。
 毎度のことながら、こんな感じで魔法の話になるわけがない。
 ならばと、自分から聞いてみるべきだろうとソーマは行動を起こす。

「そういえば、ケノンさんって複合魔法の研究をしているんだよね?」
 質問を受けたケノンは、一瞬だけ学園モードに切り替わる。
「ん……っと、まぁそうだな。
 なにか聞きたいことでもあるのか?」
 本当に一瞬だったが、質問には真面目に答えてくれる様子。

 ソーマは鍋を突きながら聞いてみる。
 そもそも複合魔法とはなんなのかと。
「んー……そうだな」
 この世界の魔法は4つの精霊による4つの魔法によって構成されている。と、されている。

 火属性とは、熱を生み出し何者をも寄せ付けない強き力。
 水属性とは、潤いをもたらし平和に導く統率の力。
 風属性とは、自然を感じて自由を得るための穏やかな力。
 地属性とは、豊かな実りを……

「……なんだったかな?
 まぁそんな4つの力をそれぞれ使うのが魔法なんだが」
「いや、教師なんだからそこは覚えておいてよ。
 それで、混ぜ合わせるとどうなるの?」
「混ぜるとだな……
 まぁ見たほうが早いか」

 ケノンは聞いたことのない詠唱を初めて、1つの魔法を行使する。
 水属性に火属性の合わさった不思議な言葉が綴られる。

 ケノンはヒートウォーターと言っていたが、できた魔法はエクスプロージョンと言う方が合っている。
 杖の先に生まれた小さな水球が、急に爆発して周囲に飛び散った。
 おかげで鍋の汁も飛び散ったわけだが、そこはあまり責めないでおこう。

 ケノンは顔を拭きながら説明を加える。
「まぁ、うまく制御ができないんだがな。
 どうしても複合魔法は発動タイミングが早すぎて扱いづらい」
 それはマナが外に漏れた瞬間に起きることらしい。

 通常は火の玉を杖の先で育て上げ、撃ち出すまでを自らの意思で操作ができる。
 しかし、混ざった状態で生み出そうとすると、即時爆発だそうだ。

 ちなみに、魔道具作りでも同じ事がおき、2個以上の魔石が魔道具作りに使えないのは同様の理由であった。

「興味があるなら放課後に俺の研究棟に来いよ。
 エーテルのやつよりも濃密な授業をしてやるぞ」

 普段から魔法の話はしなかったせいか、珍しく上機嫌なケノンを見たソーマであった。
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