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あっという間
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ペストリー先生が教壇に立ち、その隣に立たせた一人の男を生徒たちに紹介する。
「今日から特別授業の講師を務めてくれるスルト先生だ」
黒い衣装に身を包んだ男は、生徒達を一瞥すると小さく息を整える。
「俺の名はスルトル=メ=ナイアス。
隣国ヴィルツゥスカ出身だが、見聞を広めるために各地を旅している。
専門は……まぁ失われた魔法の研究といったところだが、簡単なことならば質問にも応じれよう」
挨拶は何の変わりもないものであったが、その中でただ1人驚いている者がいた。
以前、異変があった時に街の入り口で出会った男だったのだ。
ソーマは口を開けて、呆気に取られた表情でスルトを見る。
質の良い服装ではあったが、名前から考察するに貴族なのだろうか?
そもそもこの世界において、貴族とは名ばかりな場合が多く、畏れ敬うほどの存在ではないと習う。
何百年も前に起きた精霊戦争と呼ばれる世界大戦以前は、権力を笠に着てやりたい放題だったとも聞くのだが、今では名残で名乗っている者を除けば王族かその繋がりくらいだという。
「先生は彼女がいるんですかー?」
「旅をしているって、前はどこにいたんですか?」
そんな魔法とは関係のない質問が続き、旅がカッコいいだの容姿が素敵だのと生徒の私語はなかなか止まなかった。
また、昔話も交えた変わった授業も人気だった。
この世界で当たり前とされる精霊を介した詠唱による魔法ではなく、マナが大気中にもたらす現象を理論づけた考え。
大昔には魔法が使えない国もあり、そこでは前世でいう化学の様な研究もされていたようだ。
「今では誰もが魔法を使える様になって、昔みたいな争いごとも少なくなったわけだね」
最後にそう言って授業は終了。
魔法と言うよりも歴史の授業に近いものだったが、随分と好評の様だ。
教室を去ろうとするスルトに、生徒の数名は課外授業はやるのかと聞いていた。
いわゆる部活動みたいなものだが、ソーマも古代魔法の授業は気になってしまう。
「古代魔法っスかぁ……それに今よりも街が栄えてたって本当なんスかねぇ?」
「どうなんだろう?
大昔に戦争があったっていうのは聞いたことあるけど」
オルトもフランも、スルトの話に興味津々。
1人魔法を使えないソーマは、少しだけ寂しい気分になってしまった。
翌日からもまた、わずかな時間ではあったが、ソーマたちのクラスにだけ特別授業が行われた。
魔石や杖、魔法使用時の理論は、確かに現代の考えとはかけ離れている。
1週間……2週間が過ぎ、その違和感は顕著に現れる。
既に生徒の大部分は理解が追いつかずに、授業に身が入っていないのだ。
そりゃあ分子レベルの話をこの世界でしたところで、そもそもその様な概念が無いのだから仕方ない。
風が吹いて、水が湧き、火は燃えて、そして大地に作物が実る。
理由なんて魔法の使える世界ではそこまで重要じゃないのかもしれないし、だからこそソーマも今まで黙っていた。
酸素と水素が、と言ったところで理解がされないのだ。
では酸素とは何か……などソーマには説明のしようもなかった。
しかし、スルトの授業はそんなことお構いなし。
マナの複合においても、ケノンが知らないマナ同士の力の差異による影響までも説明をする。
他には魔道具を作るのに適した金属、その加工方法。
とある日に、スルトは一言呟いていた。
「……いるものはこんなところかな?
じゃあ……会える時を……」
小さな声でソーマをジッと見て呟いていた。
それがソーマにはほとんど聞き取れなかったのだが、何かあるのだろうと感じたソーマには恐怖心もあった。
そして翌日には、スルトの姿は学園から消えてしまったのだった……
「今日から特別授業の講師を務めてくれるスルト先生だ」
黒い衣装に身を包んだ男は、生徒達を一瞥すると小さく息を整える。
「俺の名はスルトル=メ=ナイアス。
隣国ヴィルツゥスカ出身だが、見聞を広めるために各地を旅している。
専門は……まぁ失われた魔法の研究といったところだが、簡単なことならば質問にも応じれよう」
挨拶は何の変わりもないものであったが、その中でただ1人驚いている者がいた。
以前、異変があった時に街の入り口で出会った男だったのだ。
ソーマは口を開けて、呆気に取られた表情でスルトを見る。
質の良い服装ではあったが、名前から考察するに貴族なのだろうか?
そもそもこの世界において、貴族とは名ばかりな場合が多く、畏れ敬うほどの存在ではないと習う。
何百年も前に起きた精霊戦争と呼ばれる世界大戦以前は、権力を笠に着てやりたい放題だったとも聞くのだが、今では名残で名乗っている者を除けば王族かその繋がりくらいだという。
「先生は彼女がいるんですかー?」
「旅をしているって、前はどこにいたんですか?」
そんな魔法とは関係のない質問が続き、旅がカッコいいだの容姿が素敵だのと生徒の私語はなかなか止まなかった。
また、昔話も交えた変わった授業も人気だった。
この世界で当たり前とされる精霊を介した詠唱による魔法ではなく、マナが大気中にもたらす現象を理論づけた考え。
大昔には魔法が使えない国もあり、そこでは前世でいう化学の様な研究もされていたようだ。
「今では誰もが魔法を使える様になって、昔みたいな争いごとも少なくなったわけだね」
最後にそう言って授業は終了。
魔法と言うよりも歴史の授業に近いものだったが、随分と好評の様だ。
教室を去ろうとするスルトに、生徒の数名は課外授業はやるのかと聞いていた。
いわゆる部活動みたいなものだが、ソーマも古代魔法の授業は気になってしまう。
「古代魔法っスかぁ……それに今よりも街が栄えてたって本当なんスかねぇ?」
「どうなんだろう?
大昔に戦争があったっていうのは聞いたことあるけど」
オルトもフランも、スルトの話に興味津々。
1人魔法を使えないソーマは、少しだけ寂しい気分になってしまった。
翌日からもまた、わずかな時間ではあったが、ソーマたちのクラスにだけ特別授業が行われた。
魔石や杖、魔法使用時の理論は、確かに現代の考えとはかけ離れている。
1週間……2週間が過ぎ、その違和感は顕著に現れる。
既に生徒の大部分は理解が追いつかずに、授業に身が入っていないのだ。
そりゃあ分子レベルの話をこの世界でしたところで、そもそもその様な概念が無いのだから仕方ない。
風が吹いて、水が湧き、火は燃えて、そして大地に作物が実る。
理由なんて魔法の使える世界ではそこまで重要じゃないのかもしれないし、だからこそソーマも今まで黙っていた。
酸素と水素が、と言ったところで理解がされないのだ。
では酸素とは何か……などソーマには説明のしようもなかった。
しかし、スルトの授業はそんなことお構いなし。
マナの複合においても、ケノンが知らないマナ同士の力の差異による影響までも説明をする。
他には魔道具を作るのに適した金属、その加工方法。
とある日に、スルトは一言呟いていた。
「……いるものはこんなところかな?
じゃあ……会える時を……」
小さな声でソーマをジッと見て呟いていた。
それがソーマにはほとんど聞き取れなかったのだが、何かあるのだろうと感じたソーマには恐怖心もあった。
そして翌日には、スルトの姿は学園から消えてしまったのだった……
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