50 / 51
学園祭①
しおりを挟む
いつもならば割と静かな校内も、この時だけは随分と賑やかしい。
実技を中心に学んできた上級生たちは、それぞれ思い思いの特技を発表して卒業を迎えることとなる。
以前よりスカウトされている者もいれば、学園側からの推薦で将来が約束されている者もいる。
「まるで出荷されるみたいだ」
なんてソーマが冗談めいたことを言うが、逆にここで出荷されなければ学園に来た意味の半分は失ったようなものであった。
王宮魔法使いの見習いはじめ、大手の商会や騎士団からの斡旋もあり、条件の良いものが軒並み揃っているのだ。
そんなのんびりと学園祭を漫遊する傍らで、フランはソーマの服の裾を掴んでいた。
「うぅ、緊張してきたよ……」
「まぁなんとかなるっスよ。
メインは俺たちじゃなくて上級生たちっスもんね」
オルトはいつも通りで、特に何かを気にする素振りもない。
下級生にはお遊び程度のお祭りなのだし、よほど優れていなければスカウトされることなど、まぁあり得ない。
そのくらい下級生と上級生ではレベルが違うものなのだ。
会場に近づくと、早速ソーマたちの姿を見つけたタリアとポーラが手を振って出迎える。
「フランー! こっちー!!」
試合会場には身長ほどもあるフラッグが30本。
また、障害物として地魔法で拵えた壁が幾つも設置されている。
「本当だ、練習で使ったのよりも大きいね」
「そりゃあ、これは下級生用のフラッグだもん。
練習だと妨害もされないけど、フランだって本番じゃどれだけ当てれることか」
あれから何日も練習をしてきたフランたちだが、周りからは優勝候補の一角だとさえ言われるほどだった。
ただ、それほどずば抜けて凄い魔法を見せていたわけではなく、魔法の命中精度が高いという程度。
中でもフランは百発百中に近いレベルで的に当てることができている。
まぁ実際は詠唱破棄によって精度の落ちた魔法なわけで、周囲と同じく完全詠唱ならば確実に的を射抜くのだろうけども。
そんなフランに対してタリアもここぞとばかりに強がりを言っているようだった。
大会の準備は整い、選手たちが紹介されていく。
フランたち下級生は、上級生たちが戦う前座といった感じ。
各クラスから希望者が集まり、雰囲気だけでも感じてもらおうといった趣旨らしい。
攻撃側が次々と魔法を放ち、防御側はありとあらゆる手段でフラッグを死守する。
魔法が直接選手に当たることもあるが、割とダメージは無いように見える。
「魔法攻撃ありとはいえ、結構危なっかしいけど……
あの指輪が炎耐性の魔道具?」
魔法よりも転んだダメージの方が大きいらしいが、とてもそのようには見えずにソーマはヒヤヒヤとしながら観戦していた。
「そうっスね。
あと、燃えないローブを必ず着用するんで、やばいくらい暑いらしいっス。
去年も暑さと魔法の熱にやられて、試合中に医務室送りになった生徒がいたらしいっスね」
マナによる影響と暑さは関係がないのだろう。
意外なところに罠が潜んでいるものだと思ってしまうソーマであった。
そして下級生たちの前座、第3試合。
フランたちの初めての試合は、攻撃側として始まったのだった。
実技を中心に学んできた上級生たちは、それぞれ思い思いの特技を発表して卒業を迎えることとなる。
以前よりスカウトされている者もいれば、学園側からの推薦で将来が約束されている者もいる。
「まるで出荷されるみたいだ」
なんてソーマが冗談めいたことを言うが、逆にここで出荷されなければ学園に来た意味の半分は失ったようなものであった。
王宮魔法使いの見習いはじめ、大手の商会や騎士団からの斡旋もあり、条件の良いものが軒並み揃っているのだ。
そんなのんびりと学園祭を漫遊する傍らで、フランはソーマの服の裾を掴んでいた。
「うぅ、緊張してきたよ……」
「まぁなんとかなるっスよ。
メインは俺たちじゃなくて上級生たちっスもんね」
オルトはいつも通りで、特に何かを気にする素振りもない。
下級生にはお遊び程度のお祭りなのだし、よほど優れていなければスカウトされることなど、まぁあり得ない。
そのくらい下級生と上級生ではレベルが違うものなのだ。
会場に近づくと、早速ソーマたちの姿を見つけたタリアとポーラが手を振って出迎える。
「フランー! こっちー!!」
試合会場には身長ほどもあるフラッグが30本。
また、障害物として地魔法で拵えた壁が幾つも設置されている。
「本当だ、練習で使ったのよりも大きいね」
「そりゃあ、これは下級生用のフラッグだもん。
練習だと妨害もされないけど、フランだって本番じゃどれだけ当てれることか」
あれから何日も練習をしてきたフランたちだが、周りからは優勝候補の一角だとさえ言われるほどだった。
ただ、それほどずば抜けて凄い魔法を見せていたわけではなく、魔法の命中精度が高いという程度。
中でもフランは百発百中に近いレベルで的に当てることができている。
まぁ実際は詠唱破棄によって精度の落ちた魔法なわけで、周囲と同じく完全詠唱ならば確実に的を射抜くのだろうけども。
そんなフランに対してタリアもここぞとばかりに強がりを言っているようだった。
大会の準備は整い、選手たちが紹介されていく。
フランたち下級生は、上級生たちが戦う前座といった感じ。
各クラスから希望者が集まり、雰囲気だけでも感じてもらおうといった趣旨らしい。
攻撃側が次々と魔法を放ち、防御側はありとあらゆる手段でフラッグを死守する。
魔法が直接選手に当たることもあるが、割とダメージは無いように見える。
「魔法攻撃ありとはいえ、結構危なっかしいけど……
あの指輪が炎耐性の魔道具?」
魔法よりも転んだダメージの方が大きいらしいが、とてもそのようには見えずにソーマはヒヤヒヤとしながら観戦していた。
「そうっスね。
あと、燃えないローブを必ず着用するんで、やばいくらい暑いらしいっス。
去年も暑さと魔法の熱にやられて、試合中に医務室送りになった生徒がいたらしいっスね」
マナによる影響と暑さは関係がないのだろう。
意外なところに罠が潜んでいるものだと思ってしまうソーマであった。
そして下級生たちの前座、第3試合。
フランたちの初めての試合は、攻撃側として始まったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
狼になっちゃった!
家具屋ふふみに
ファンタジー
登山中に足を滑らせて滑落した私。気が付けば何処かの洞窟に倒れていた。……しかも狼の姿となって。うん、なんで?
色々と試していたらなんか魔法みたいな力も使えたし、此処ってもしや異世界!?
……なら、なんで私の目の前を通る人間の手にはスマホがあるんでしょう?
これはなんやかんやあって狼になってしまった私が、気まぐれに人間を助けたりして勝手にワッショイされるお話である。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』
KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。
日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。
アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。
「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。
貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。
集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。
そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。
これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。
今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう?
※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは
似て非なる物として見て下さい
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる