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カラット王国編
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しおりを挟む(なんなんだ、このスリルと解放感は⁉)
メイを更衣室まで追い掛け、女子の着替えをこっそり覗き、歯止めがかからず、一人で気持ちよくなってしまうような有様でした。
変態に磨きがかかっていたのです。
もうどうしようもありません。
ただ、流石に結界の張られたエメラルド邸の中にまで入り込むことは不可能でした。クラウスはそれが気に入りませんでした。
(ああ、どうにかして、メイのすべてを見たい! 自分のものにしたい!)
陰で指をくわえてハァハァするのはもう沢山だと思ったのです。
そして二十歳にしてついにクラウスは我慢の限界を迎えました。
父王に願いを伝えたのです。
普段から真っ裸になって町を出歩き、解放感の中で一物を弄ってきただけに、随分と胆力がついていました。
「陛下! 私はメイ・エメラルド公爵令嬢との婚約を望みます!」
その堂々とした物言いに、王は胸を打たれました。
(ようやく、男らしい顔つきになりおったわ)
なよなよしていたクラウスの変化に、王は目を潤ませていました。おそらく、この物語の中で、誰より気の毒な勘違いをしたのはこの人でしょう。
とは言いましたものの、クラウスは決して王族らしくない訳ではありません。
確かに歪み切っていますし、透明化しているのにメイに触れることもできない、小物感満載などうしようもない変態ではあるのですが、外見だけで言えば、少し華奢で背が低いことを除けば完璧です。
威厳はありませんが、美という点でいえば三兄弟の中では最上でした。
腰まである滑らかで艶やかな金髪。白い肌、青い瞳。薄い桃色の唇。
世の女性どころか、男性ですらも恋に落ち溜め息を溢すほどです。
変態でさえなければ、メイも婚約を受けざるを得なかったでしょう。
クラウスの最大の失敗は、そこにありました。
そう、メイはやはり上をいっていたのです。クラウスが変態的な劣情を抱いて後をつけていることに気づいてはいませんでしたが、それは飽くまでクラウスだということに気づいていなかったというだけの話です。誰かが自分を変態的な視線で監視しているということにはしっかりと気づいていたのです。
そして、メイはもうそれがクラウスであると察していました。つけまわしてくる変態とクラウスの気配が、非常に似ていたからです。
メイは不愉快極まりありませんでした。そんな変態に、これまで積み上げてきた努力を崩されそうになっているのかと思うと、穏便に済ます気はなくなってしまいました。
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