第三王子アルベルトの日常〜変わり者ばかりですが楽しく過ごしているようです〜

月城 亜希人

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ルルモア大学進学~二年生編

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 第一の計画失敗後、ジュリーは何事もなかったかのように次の講義を受けました。時折、アルベルトとメイを見てうっとりしたり、エイプリルを見て歯軋りしたりしますが、学業を疎かにすることはありません。ジュリーは真面目で、切り替えができる人なのです。そして何事にも全力です。それゆえに、次の計画を実行すると決めたら必ずやり遂げます。講義終了の鐘を耳にするなり、我先にと講義室を飛び出しました。

 第二の計画は『貴族令嬢ですけど、使用人の真似事をしてお掃除してみましたの。でも慣れないことはするものじゃありませんわね。ごめんあそばせ』です。
 これは、校内清掃を行った振りをして、死角となる曲がり角からバケツの水を浴びせ掛けるというものです。最初は、本当に掃除をして雑巾を絞った汚水をぶっ掛ける気でいたのですが、例の如く『それは、いくらなんでもやりすぎじゃろう』という人情で、とことん洗浄したバケツに、飲んでも平気なとても綺麗な水が入っています。

 先程の講義は、午前中最後のものでした。よって、次にアルベルトたちが向かう場所は食堂です。ジュリーはアルベルトたちが食堂に向かうルートを知っています。
 これまで、散々、後を追い回してきているので、三人がどのような経路を辿って食堂に向かうかという情報を得ているからです。決して褒められた行為ではありませんが、これもまた真面目であるがゆえの、努力の賜物と言えるでしょう。

(待っとけドラム缶! びしょ濡れにしたる!)

 ジュリーは水の入ったバケツを手に、階段前の壁に隠れてエイプリルがやってくるのを今か今かと待ちました。三人が並んで歩くときは、必ずエイプリルがアルベルトとメイのやや後ろにいます。横並びになると幅を取り往来の邪魔になってしまうからです。
 ジュリーは、もし自分なら、そういうことにもなっていないのにと思います。アルベルトを真ん中に、メイと自分がその左右に寄り添う姿を想像し、思わず軽くよだれを垂らす程にうっとりします。ですが、それがよくありませんでした。そんな幸せな白昼夢の中に身を置いてしまった為に、手の力が緩んでバケツを落としてしまったのです。

(あっ! いかん!)

 我に返ったジュリーの目には、落下していくバケツがスローモーションになって映りました。中に入っている水が粘性を得たように緩やかに動き、縁を溢れて跳ねる飛沫がバケツに追い越されていきます。宙に留まった透明な球体が、踊り場の窓から差し込む陽射しでキラキラ光り、アルミ製のバケツの角が爪先にめり込みました。
 
 
 
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