理想とは違うけど魔法の収納庫は稼げるから良しとします

水野(仮)

文字の大きさ
12 / 50

こだわり

しおりを挟む
「これは良いですね」
「だろ?」

収納庫に入っている池水槽で殺せない大型魔獣の討伐訓練もひと段落した頃、王都邸の庭も完成した。
黒い岩を積み上げて作った山から流れる水流が白い線を描き川に合流後に池に溜まるのがなかなか良い感じだ。
ん、でも、なんか見覚えがえるな?

「何か見たことがあるような」
「わかるか。色彩鯉の居た湖を小さく作ってみたんだ」 
「あ、たしかに!」

へえ、こう言うの面白いな。

「でしたらあの湖から岩や石を集めてきましょうか? 色合いとかも違うでしょうし」
「そいつは良いな、頼めるか!」
「はい、ちょっと相談してきます」

竜騎士さんが居るうちじゃないと一ヶ月以上掛かるからなぁ。



最初は渋ってた竜騎士さんだけど、義理両親がその気になったので行くことになった。
竜騎士さんは一緒に王都へ来たお嬢様やその家族と話してるらしいんだけど、どんな展開になってるかは知らない。
まぁ、義理両親が楽しそうなので変なことにはなっていないと思う。

「お前は早く自分の騎獣を持てよ。俺は何時迄も居ないんだからな」

今は王都を離れたくないのか、そんなことを不機嫌そうに言われた。
わかっては居るんだけれど、つい甘えてしまうんだよね。

収納庫の中に空を飛ぶ魔物はそれなりに入っているのだけれど、乗って言うこと聞いてくれるとも思えないからなぁ。
騎乗訓練をした魔物を売っている店が有るらしいのだが、王宮で認められた人にしか売らないらしいし。
竜騎士さんが言うには王様に認められた俺なら問題無いだろと言うのだけれど、今のところ何もしてないから頼みづらい。何もしてないのに要求するのは周囲からあまり良い目で見られないだろうし、貴族めんどくさそうだし。

「魔物を簡単に乗りこなすスキルなんてないんでしょうか?」
「有るぞ」
「有るんだ!」

それは調教と言うらしい。
魔物や動物に信頼されやすくなるスキルらしく、騎獣屋?で売られているのはその調教スキルを持った人が騎乗訓練をしたのだとか。
機会があったら調教スキル持ちを収納したい。

あと、竜騎士さんの飛竜は代々家に伝わる物なので違うそうだ。



湖の上を飛んでいる。

「色彩鯉が少なくなり黒いのばかりですね」
「売れると知った連中が乱獲したんじゃないのか?」
「それは有りそうですね」
「残りの収納しとくか?」
「この湖から色彩鯉が居なくなるのは寂しくないですか?」
「どうせ他の奴が取ってくさ」

それもそうかと思って収納した、後で王都邸に出しておこう。

自然に生まれてくる色彩鯉は居なくなるかも知れないな。
こうなる前にこの周囲の街や村で管理してもらえば良かったのか? 
そもそも観賞用の魚を育てるって伝わるのだろうか?

「なんか難しいこと考えてるだろ」
「そう言うわけではないですが…」
「考えてるだけ無駄だぞ、答えが出ても過去に戻れないんだからな」
「それもそうですね。気にするだけにしておきます」

岸に降りて目につく物や湖の中に有る岩や砂利、水草などを収納して帰ることにし…。

「なんだこれ?」
「どうした?」
「水の精霊を収納しました」
「戻せ」
「はい」

見なかったことにしよう。

「ひ…」
「どうした」
「右足首を何かに掴まれた気がします…」
「気に入られたか…」
「そんな気は全くしません、怖いだけです」
「貴方のせいよ」 
「俺はまだ死にたくないです、助けてください」

水の精霊だと知らなければずぶ濡れになった少女にしか思えない彼女は話し始める。
俺が色彩鯉と名付けた明るい色の鯉は彼女がこの湖で増やしていたそうだ。
たまたま見つけた色付きの個体だけを集めて交配させて池に住む鯉の4割くらいまで増やしたところを俺が持っていき、その後やってきた別な連中がごっそりと獲っていったのだとか。そいつらはろくな輸送手段もなく、近くの村で死んだ色彩鯉を捨てていったそうだ。

水の精霊には自分が住処にしている場所で汲まれた水の有るところを見る力が有るそうで、死んだ色彩鯉と一緒に捨てられるまで見ていたらしい。

「貴方が持ち出さなければあの男たちも獲りに来なかったと私は思うのよ」
「それは、おそらくそうですね」
「貴方が持ち出した鯉はまだ生きてるの?」
「はい。戻しましょうか?」
「また捨てられるだけだと思うわ」
「そうですね」

その後、良い考えがあるわと笑う水の精霊を収納して王都邸へ戻った。
途中海に寄り道して漁師さん達にクラーケンのお裾分けをした。
水の精霊が出たがったので出し、港町見学をした。収納庫の中から声がしたのは初めてだ、さすが精霊。



2泊3日の旅行?から帰宅。
両親に挨拶し、庭師さんに明日持ってきた物を出すと伝えて離れにこもる。今日は疲れてるので身体を洗って湯舟で疲れを癒した後寝るつもりだ。

「……」
「お風呂で寝ると風邪ひくわよ」
「……」
「仕方がないわね」



目が覚めたら水の精霊が部屋に居た。

「なんで出てるの?」
「精霊だからよ」

答えになってない気もするけど、精霊は出れると覚えた。

「流石に入れないよね?」
「入れるわよ?」

精霊は出入り自由らしい。



水の精霊は庭師さん達に細かく指示をしながら池を作る手伝いをしている。時々庭師さんや出入りの業者と口論してるが、それはそれで楽しいらしい。
俺も池の形を整えるのに使われたが、彼ら彼女らが納得出来るものが完成するなら良いかなと思う。
この池の特等席は離れの部屋なのだから。



完成した池に水の精霊が水を注ぐ。

「あれは何してるの?」
「この池を水の精霊の住処にするってよ」
「へえ~…え? なにそれ?」

良い考えってそれ?
どうなんだろう、ここ俺のうちじゃないし…。

義理両親に確認したら精霊が家に住むのは大歓迎だそうな。
あと、勘違いした貴族がなんかしてくる前に王様に連絡してくれるらしい。
精霊は人の王より上の存在なのだが、人間の貴族以外を認めない困った連中も王都には住んでいるので先手を打って貰うのだとか。

聞かされてないけど、この家と王家ってなんか近しいよね?
王様と領主様の仲が良いってだけではない?
その辺りを先生が説明し忘れてるとも思えないし、知っていて当然なので説明するまでもないのことなのかたんに俺が忘れてるだけなのか。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身

にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。  姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。

身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」 魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。 鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。 (な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?) 実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。 レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。 「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」 冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。 一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。 「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」 これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

甲斐性無し王子と共働き聖女

あんど もあ
ファンタジー
国で唯一の聖女のルーナは18歳のお年頃。いい加減に寿退職したいのだが、そうはさせまいと国王は第二王子とルーナの婚約を決める。 「なぜ王子の私が平民の聖女などと!」 「王子様と結婚しても聖女を続けないといけないの? 王子って、共働きしないといけないくらい甲斐性無しなの?!」 さて、すれ違ってる二人は結ばれるのか……。

処理中です...