大切なはずだった君と

りさ

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3.別れ

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シンシアは記入欄を確認し、満足気に頷いた。

「短い間でしたが、お世話になりました。私の荷物についてはマジックボックスに収納してあるので、私は書類の提出もありますし今すぐこちらを発ちます。こちらに私物は残っていないことは確認しました。こちらの物を持ち出していないことも執事のアルベルトさんが立ち会いましたので証明してくださいます。残している物の処分はお任せ致しますわ。」

と最後にシンシアは自分の指から結婚指輪を抜き取り、テーブルに置いた。

「指輪もお返しします。王宮に急ぎ提出に向かいますので、この場で失礼致しますわ。
およそ半年間、ありがとうございました。」

その瞬間、部屋に魔力が渦巻く。

「それでは、失礼致します」

感情を何ものせない声で、表情で言葉が紡がれた。
シンシアの姿が消え、室内に静寂が訪れた。

移動魔法か・・さすが魔術師団副団長を勤めていただけはある。保有魔力量も多く、難易度の高い魔術を巧みに操るその腕前は魔術師団の中でもトップだった。

しばらくシンシアのつけていた指輪をただただ見つめていた。シンシアとの別れが、実感できない。

指輪を手に取り、シンシアにあてがわれた私室へ移動し室内を見回した。彼女の香りがする。家具はそのままだ。
クローゼットの中を見てみると・・。
自分が今までシンシアに贈ったドレス、宝飾品に小物。結婚前に贈った贈り物まで残っていた。
彼女の言った通り、私が贈ったものは全て置いていかれたようだ。
手の中の小さな指輪を再び見て、情けなくも涙が出てきた。

背後にきたアルベルトに言う。

「アルベルト・・、俺を一発殴ってくれないか。」

アルベルトは執事ではあるが年も近く、自分にとっては幼い頃から側にいた兄のような、幼なじみのような存在だった。

「そんなこと、できません。」

とピシャリと言われた。

「俺・・ばかだな。」

「えぇ、ばかですね。何度も申し上げましたのに。」

うん、容赦がない。俺の行動を何度も咎めてくれたのはアルベルトだけだった。数少ない信頼できるやつでもある。

「シンシアを苦しめたものを、排除したい。俺もその一人だが・・まずは掃除をする。早急に掃除を終わらせて、シンシアにもう一度・・」

「無理かと存じますが。」

・・へこむぞ。まぁ、俺の自業自得だが。

「許しはもらえないでしょうが、一発もらうならシンシア様からがよろしいかと。おわかりでしょうが、一切防御してはなりませんよ。」

シンシアは魔法での攻撃はもちろん、物理的な攻撃手段も身につけている。獣人の俺はそれなりに回避はできるが。

「わかっている。避けないよ。」

来るだろう未来を思い、ため息がでた。
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