感情下手な神泉さんは、危機を救ってくれた目立たない彼にベタ惚れの様です〜素直になれません!〜

松原 瑞

文字の大きさ
19 / 26

席替え大作戦②

しおりを挟む
 さて、これから席替えな訳ですが、決め方は当然クジ引き……だと思っていました。というか、それ以外に私は席替えの方法を知りません。稀に先生が勝手に決める場合もあるけど、大体クジじゃない?
 なぜ、思っていたと表現したか。それは今私は……というか私を含めた女子は全員が廊下に立っているからです。

「栞里、栞里」

 いつも元気な佐奈が小声で私の名を呼ぶ。一応他のクラスは授業中なため、お喋りは禁止との通達があったのだ。そのため、みんな極力小声で談笑しているのだが、

「あ、佐奈」
「これってどういうことだと思う? 席替えよね?」
「私もわかんないよ。なんか教室内が妙に騒ついているのが気になるけど」

 そう、何故か教室内に取り残された男子たちは、妙にウキウキしている様子なのである。
 他の女子たちも中の様子に聞き耳を立てている様だが、教室中でも声を抑える様に言われているのか、詳細までは聞き取れないらしい。男子の声に混ざり、時折先生の声も混ざっているのだとか。
 ……——待つこと数分、教室前方の扉から先生が出てきた。

「じゃあ男子たちは後ろから教室出るから、女子たちは入れ替わりで前の扉から入る様に。その際、一切の私語を禁ずる。もちろん男子もだ」

 先生がそう言うと、男子が後ろの扉からゾロゾロと出てきた。笑っている男子もいれば、何かしら心配そうな顔をしている男子もいる。
 何かをすごく言いたそうな男子たちであるが、先生の言いつけを守っているのだろう。口をむずむずとしながら女子たちを見ている。
 私と佐奈は最後尾で入ろうとすると、ちょうど男子の方では倉敷くんが教室から出てきた。目があった倉敷くんは困った笑顔を私に向けてくる。なにその庇護欲そそる困り顔、私にどうして欲しいの食べちゃうぞテへ!
 内心では食べちゃうぞアピールで「ガオー」とやっている私だが、当然できる訳もなく赤面しながら教室内へ向かうのであった……。

 教室内に女子が全員入り、扉を閉めると先生が教壇に立つ。

「あ~、今回の席替えでは基本的に好きな席を選んでいいぞ。あ、でも一応男子の列と女子の列は守ってくれよ」

 と、随分曖昧で開放的なことを言ってくれる。当然、女子からはあちこち質問されるが、男子でも同じだったのだろう。手で待ての合図をすると、さらに続ける。

「今回この方式を選んだのは、クジだと目の悪い奴や前の席で授業受けたい奴らから不満の声があってな。それにクジでもし仲の良い連中が固まると、先生たちも手に負えなくてよ。公平を期すためにクジを用いたのに、仲の良い連中を離れさす指示されたら、お前らだってキレるだろ?」

 先生の言葉に大体の女子が頷いている。まぁ確かに、だったら最初からクジにすんなや! ってなっちゃうもんね。

「かと言って先生が勝手に決めるのも、学生生活という限られた青春の時間に、水をさしてしまう訳だ」

 良いこと言っているけど、そのあとボソッと「こっちで考えるの面倒だしな」って言ってたのはみんな聞かなかったことにしてくれている。

「そこでまず男子から席を決めてもらい、その後に女子が決める、いわゆる『お見合い形式』を採用した訳だ。これなら自由に決めている最中に、俺からも口出しできるからな」

 ……お見合い形式!? なにその高校生の私たちには早い言葉は!? え、そういうのあるの? 本当にあるの? ……ググったら本当にそう言われてるじゃん!

「ってことで説明は終了だ。異論反論は受け付けないが質問は随時良いぞ。もう男子たちは決めてあるし、好きなところをまず選べー」

 なるほど、これなら目の悪い人たちは自分たちで前の席を選べるし、自分で選んだ席だから文句も出ない訳だ。
 ただこれは意外と……いやかなり……、

「さ、佐奈ぁ……」
「へへ、やってくれるじゃねーか先生よぉ」

 難しい! いや何が難しいって、倉敷くんはどこ!?
 他の女子たちもすぐに動ける者はいない。みんな察した様だ——……このお見合い席替えの難易度に!

「みんな、意中の人の思考パターンの解析に入ってるね」
「まぁ高二ともなれば、大体の女子は誰かに恋してるからねぇ。あたいはしてないけどさ……」
「さっ佐奈にもきっと素敵な人が現れるよ」

 頬の痩けた佐奈の背中を撫でながら、私はこれまでの倉敷くんとの思い出を振り返り、そして考える。倉敷くんの思考を、行動パターンを……ッ!
 大丈夫、こんなに倉敷くんのことが好きなんだもん。私ならできる、私なら!

 こうして、緊迫の席替えが幕を開けたのだった……ッ!。

「誰かあたいを見てぇ……」
「佐奈うるさい」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

五人姉妹の上から四番目でいつも空気だった私は少々出遅れていましたが……? ~ハッピーエンドへ走りたい~

四季
恋愛
五人姉妹の上から四番目でいつも空気だった私は少々出遅れていましたが……?

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します

みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが…… 余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。 皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。 作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨ あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。 やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。 この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。

皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜

百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。 「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」 ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!? ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……? サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います! ※他サイト様にも掲載

【完結】ありのままのわたしを愛して

彩華(あやはな)
恋愛
私、ノエルは左目に傷があった。 そのため学園では悪意に晒されている。婚約者であるマルス様は庇ってくれないので、図書館に逃げていた。そんな時、外交官である兄が国外視察から帰ってきたことで、王立大図書館に行けることに。そこで、一人の青年に会うー。  私は好きなことをしてはいけないの?傷があってはいけないの?  自分が自分らしくあるために私は動き出すー。ありのままでいいよね?

子育てが落ち着いた20年目の結婚記念日……「離縁よ!離縁!」私は屋敷を飛び出しました。

さくしゃ
恋愛
アーリントン王国の片隅にあるバーンズ男爵領では、6人の子育てが落ち着いた領主夫人のエミリアと領主のヴァーンズは20回目の結婚記念日を迎えていた。 忙しい子育てと政務にすれ違いの生活を送っていた二人は、久しぶりに二人だけで食事をすることに。 「はぁ……盛り上がりすぎて7人目なんて言われたらどうしよう……いいえ!いっそのことあと5人くらい!」 気合いを入れるエミリアは侍女の案内でヴァーンズが待つ食堂へ。しかし、 「信じられない!離縁よ!離縁!」 深夜2時、エミリアは怒りを露わに屋敷を飛び出していった。自室に「実家へ帰らせていただきます!」という書き置きを残して。 結婚20年目にして離婚の危機……果たしてその結末は!?

没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。

亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。 しかし皆は知らないのだ ティファが、ロードサファルの王女だとは。 そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……

処理中です...