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席替え大作戦②
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さて、これから席替えな訳ですが、決め方は当然クジ引き……だと思っていました。というか、それ以外に私は席替えの方法を知りません。稀に先生が勝手に決める場合もあるけど、大体クジじゃない?
なぜ、思っていたと表現したか。それは今私は……というか私を含めた女子は全員が廊下に立っているからです。
「栞里、栞里」
いつも元気な佐奈が小声で私の名を呼ぶ。一応他のクラスは授業中なため、お喋りは禁止との通達があったのだ。そのため、みんな極力小声で談笑しているのだが、
「あ、佐奈」
「これってどういうことだと思う? 席替えよね?」
「私もわかんないよ。なんか教室内が妙に騒ついているのが気になるけど」
そう、何故か教室内に取り残された男子たちは、妙にウキウキしている様子なのである。
他の女子たちも中の様子に聞き耳を立てている様だが、教室中でも声を抑える様に言われているのか、詳細までは聞き取れないらしい。男子の声に混ざり、時折先生の声も混ざっているのだとか。
……——待つこと数分、教室前方の扉から先生が出てきた。
「じゃあ男子たちは後ろから教室出るから、女子たちは入れ替わりで前の扉から入る様に。その際、一切の私語を禁ずる。もちろん男子もだ」
先生がそう言うと、男子が後ろの扉からゾロゾロと出てきた。笑っている男子もいれば、何かしら心配そうな顔をしている男子もいる。
何かをすごく言いたそうな男子たちであるが、先生の言いつけを守っているのだろう。口をむずむずとしながら女子たちを見ている。
私と佐奈は最後尾で入ろうとすると、ちょうど男子の方では倉敷くんが教室から出てきた。目があった倉敷くんは困った笑顔を私に向けてくる。なにその庇護欲そそる困り顔、私にどうして欲しいの食べちゃうぞテへ!
内心では食べちゃうぞアピールで「ガオー」とやっている私だが、当然できる訳もなく赤面しながら教室内へ向かうのであった……。
教室内に女子が全員入り、扉を閉めると先生が教壇に立つ。
「あ~、今回の席替えでは基本的に好きな席を選んでいいぞ。あ、でも一応男子の列と女子の列は守ってくれよ」
と、随分曖昧で開放的なことを言ってくれる。当然、女子からはあちこち質問されるが、男子でも同じだったのだろう。手で待ての合図をすると、さらに続ける。
「今回この方式を選んだのは、クジだと目の悪い奴や前の席で授業受けたい奴らから不満の声があってな。それにクジでもし仲の良い連中が固まると、先生たちも手に負えなくてよ。公平を期すためにクジを用いたのに、仲の良い連中を離れさす指示されたら、お前らだってキレるだろ?」
先生の言葉に大体の女子が頷いている。まぁ確かに、だったら最初からクジにすんなや! ってなっちゃうもんね。
「かと言って先生が勝手に決めるのも、学生生活という限られた青春の時間に、水をさしてしまう訳だ」
良いこと言っているけど、そのあとボソッと「こっちで考えるの面倒だしな」って言ってたのはみんな聞かなかったことにしてくれている。
「そこでまず男子から席を決めてもらい、その後に女子が決める、いわゆる『お見合い形式』を採用した訳だ。これなら自由に決めている最中に、俺からも口出しできるからな」
……お見合い形式!? なにその高校生の私たちには早い言葉は!? え、そういうのあるの? 本当にあるの? ……ググったら本当にそう言われてるじゃん!
「ってことで説明は終了だ。異論反論は受け付けないが質問は随時良いぞ。もう男子たちは決めてあるし、好きなところをまず選べー」
なるほど、これなら目の悪い人たちは自分たちで前の席を選べるし、自分で選んだ席だから文句も出ない訳だ。
ただこれは意外と……いやかなり……、
「さ、佐奈ぁ……」
「へへ、やってくれるじゃねーか先生よぉ」
難しい! いや何が難しいって、倉敷くんはどこ!?
他の女子たちもすぐに動ける者はいない。みんな察した様だ——……このお見合い席替えの難易度に!
「みんな、意中の人の思考パターンの解析に入ってるね」
「まぁ高二ともなれば、大体の女子は誰かに恋してるからねぇ。あたいはしてないけどさ……」
「さっ佐奈にもきっと素敵な人が現れるよ」
頬の痩けた佐奈の背中を撫でながら、私はこれまでの倉敷くんとの思い出を振り返り、そして考える。倉敷くんの思考を、行動パターンを……ッ!
大丈夫、こんなに倉敷くんのことが好きなんだもん。私ならできる、私なら!
こうして、緊迫の席替えが幕を開けたのだった……ッ!。
「誰かあたいを見てぇ……」
「佐奈うるさい」
なぜ、思っていたと表現したか。それは今私は……というか私を含めた女子は全員が廊下に立っているからです。
「栞里、栞里」
いつも元気な佐奈が小声で私の名を呼ぶ。一応他のクラスは授業中なため、お喋りは禁止との通達があったのだ。そのため、みんな極力小声で談笑しているのだが、
「あ、佐奈」
「これってどういうことだと思う? 席替えよね?」
「私もわかんないよ。なんか教室内が妙に騒ついているのが気になるけど」
そう、何故か教室内に取り残された男子たちは、妙にウキウキしている様子なのである。
他の女子たちも中の様子に聞き耳を立てている様だが、教室中でも声を抑える様に言われているのか、詳細までは聞き取れないらしい。男子の声に混ざり、時折先生の声も混ざっているのだとか。
……——待つこと数分、教室前方の扉から先生が出てきた。
「じゃあ男子たちは後ろから教室出るから、女子たちは入れ替わりで前の扉から入る様に。その際、一切の私語を禁ずる。もちろん男子もだ」
先生がそう言うと、男子が後ろの扉からゾロゾロと出てきた。笑っている男子もいれば、何かしら心配そうな顔をしている男子もいる。
何かをすごく言いたそうな男子たちであるが、先生の言いつけを守っているのだろう。口をむずむずとしながら女子たちを見ている。
私と佐奈は最後尾で入ろうとすると、ちょうど男子の方では倉敷くんが教室から出てきた。目があった倉敷くんは困った笑顔を私に向けてくる。なにその庇護欲そそる困り顔、私にどうして欲しいの食べちゃうぞテへ!
内心では食べちゃうぞアピールで「ガオー」とやっている私だが、当然できる訳もなく赤面しながら教室内へ向かうのであった……。
教室内に女子が全員入り、扉を閉めると先生が教壇に立つ。
「あ~、今回の席替えでは基本的に好きな席を選んでいいぞ。あ、でも一応男子の列と女子の列は守ってくれよ」
と、随分曖昧で開放的なことを言ってくれる。当然、女子からはあちこち質問されるが、男子でも同じだったのだろう。手で待ての合図をすると、さらに続ける。
「今回この方式を選んだのは、クジだと目の悪い奴や前の席で授業受けたい奴らから不満の声があってな。それにクジでもし仲の良い連中が固まると、先生たちも手に負えなくてよ。公平を期すためにクジを用いたのに、仲の良い連中を離れさす指示されたら、お前らだってキレるだろ?」
先生の言葉に大体の女子が頷いている。まぁ確かに、だったら最初からクジにすんなや! ってなっちゃうもんね。
「かと言って先生が勝手に決めるのも、学生生活という限られた青春の時間に、水をさしてしまう訳だ」
良いこと言っているけど、そのあとボソッと「こっちで考えるの面倒だしな」って言ってたのはみんな聞かなかったことにしてくれている。
「そこでまず男子から席を決めてもらい、その後に女子が決める、いわゆる『お見合い形式』を採用した訳だ。これなら自由に決めている最中に、俺からも口出しできるからな」
……お見合い形式!? なにその高校生の私たちには早い言葉は!? え、そういうのあるの? 本当にあるの? ……ググったら本当にそう言われてるじゃん!
「ってことで説明は終了だ。異論反論は受け付けないが質問は随時良いぞ。もう男子たちは決めてあるし、好きなところをまず選べー」
なるほど、これなら目の悪い人たちは自分たちで前の席を選べるし、自分で選んだ席だから文句も出ない訳だ。
ただこれは意外と……いやかなり……、
「さ、佐奈ぁ……」
「へへ、やってくれるじゃねーか先生よぉ」
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他の女子たちもすぐに動ける者はいない。みんな察した様だ——……このお見合い席替えの難易度に!
「みんな、意中の人の思考パターンの解析に入ってるね」
「まぁ高二ともなれば、大体の女子は誰かに恋してるからねぇ。あたいはしてないけどさ……」
「さっ佐奈にもきっと素敵な人が現れるよ」
頬の痩けた佐奈の背中を撫でながら、私はこれまでの倉敷くんとの思い出を振り返り、そして考える。倉敷くんの思考を、行動パターンを……ッ!
大丈夫、こんなに倉敷くんのことが好きなんだもん。私ならできる、私なら!
こうして、緊迫の席替えが幕を開けたのだった……ッ!。
「誰かあたいを見てぇ……」
「佐奈うるさい」
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